ゆったり鑑賞!東博総合文化展 彫刻・曼荼羅図・工芸
国宝‘金光明最勝王経宝塔曼荼羅図’(平安12世紀 岩手・大長寿院)
‘黒綸子地波鴛鴦模様小袖’(重文 江戸時代 17世紀)
東博の総合文化展はいつもは分野を絞ってゆったり鑑賞しているのだが、この度は時間があったので1階2階とも各部屋をのぞいてみた。
こうしてじっくりみてみると、東博はやはりすごい美術館だなと思う。国宝がここにもあそこにもという感じなので、高い料金をとられる他館の企画展とついついその内容をくらべてしまう。
2階の仏画のところで存在感を発揮しているのが武士の彫像‘伝源頼朝像’。こうした立烏帽子を被った貴族風の装束に身をつつんだ武士の姿はほかにも‘北条時頼’や‘上杉重房’(ともに重文)がある。足のまわりのフォルムはどういうわけかバッタの足や角々した羽を連想する。だから、勝手にバッタ彫刻とよんでいる。
岩手の中尊寺大長寿院にある‘宝塔曼荼羅図’はこの部屋でよくみる。毎年一度は展示されてる感じなので、今では経典の文字で形づくられた9層の宝塔にも目が慣れてきたが、はじめてこれをみたときは目が点になった。最接近してみると、塔の線が金の文字、文字、ありゃらー、こういう装飾経を思いつく発想がおもしろい。展示は12/11まで。
寛文小袖の大胆な模様をひさしぶりにみた。この大きく弧を描く網干のフォルムをみて瞬間的に思いつくのは北斎の‘神奈川沖浪裏’の荒れ狂う波頭。江戸に生きた人々の時空をこえた意匠センスにはほとほと感服させられる。これは浮世絵の部屋に飾られている(12/11まで)
小袖の模様同様、心がハイになるのが仁清の色絵陶器(1階 11/22~2/12)。この水指のまるっこい胴に中国的な窓をつくる構成にとても惹かれている。隣には華麗な‘色絵月梅図茶壺’もあるので存分に仁清ワールドを楽しんだ。
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