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2011.11.13

美術に魅せられて!美術館マナーが読者の声にとりあげられた

3252     ロンドンナショナル・ギャラリーにおける学童向けの教育活動

朝日新聞の‘読者の声’(11月10日)に興味深い話が載っていた。題名は‘美術館マナーの戸口を広げて’、投稿したのはライターの伊東亜希子さん(東京都台東区 
41歳)、以下はその全文。

‘美術館、おしゃべりもやめて’(10月25日)を拝読しました。

20代の頃、大学で美術史を専攻していた私は、卒業論文で扱う画家の作品が多く所蔵されているドイツで美術館巡りをしました。新鮮だったのは、絵の前で自由に語り合う現地の女子学生たちの姿です。そんな経験のない私は驚き、残念ながら語るべき言葉がありませんでした。

ドイツの学芸員は、作品へのいたずら防止のため、客がジャケットを手に持ったり、鉛筆以外の筆記用具を使ったりすればすぐに注意します。その一方で、熱い討論を続ける学生たちのことはニコニコと眺めていました。

美術品の鑑賞とは、それを通して心の中に何かが生まれるまでのことだと思います。特に子どもたちには、絵をみて率直に感想を言い合う経験が必要です。少し騒がしいかもしれませんが、‘美術鑑賞は静かにする’というマナーの戸口を、少し広げていただければ幸いです。

10月25日の‘美術館、おしゃべりもやめて’は新聞を処分したため読んでないが、どんなことが書かれていたかはおおよそ察しはつく。この問題については、‘美術館の中でしゃべるのは悪いこと?’(拙ブログ09/3/15)に書いたが、この女性ライターの意見にまったく同感である。

日本の美術館では美術館が図書館のようにシーンとした空間であるべきだという一見もっともらしい考え方が支配している。長いこと美術館に通っているからわかるのだが、これは昔からちっとも変わらない。だから、日本の美術館とはこんなものだと思ったほうがいい。いい企画展を開催し好感度の高い美術館でも、館内のおしゃべりに関してはどこも同じように過剰に反応する。何度も書いているが美術館関係者というのは保守的で権威主義、これは常識。例外は2割くらい。頭がえらく硬いから、海外の美術館の事例などはなから受けつけない。

ロンドンのナショナル・ギャラリーへ行くたびに遭遇するのが子どもたちの絵画鑑賞教育。このちびっ子集団が部屋のかなりのスペースを占領し、説明する先生の話を聞き、そして自分の意見を述べたり質問したりしている。美術館は毎年平均8万人の学童を受け入れているそうだ。日本の美術館へ出かけて人のおしゃべりがうるさいと神経質に反応する人は、この美術館や世界中から観光客が押し寄せもっと騒がしいルーヴルでは頭がカッカして絵の鑑賞どころではないだろう。

日本の美術館でも子どもたちをどんどん受け入れて、絵を楽しく自由にみせればいいのである。それに前向きな美術館を知らないわけではないが、まだまだ少ない。美術館は皆が集うところではあるが、絵をみて自然と沸き起こる感動を口にすることもできず、なにか気持ちが束縛されるような空間だったら美術館へ行くことの楽しみがおおいにそがれてしまう。美術館は多くの人たちの憩いの場、そのなかには生き生きとした笑いや楽しい会話も含まれていることを忘れないでほしい。

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コメント

同感です。
町田市国際版画美術館ではトークの日を設けていますね。
まぁ美術館が過剰反応するのは、作品に対する議論とどうでも良い世間話しの区別がつかないこともあるのかもしれませんが。
あと美術館で閉口するのは荷物持っているとコインロッカーにと声をかけられることが多いこと。
作品保護もあるでしょうがこちらは実印とか持ち歩いてるわけでー。

投稿: oki | 2011.11.13 22:59

私もいづつやさんの意見には賛成です。
いわば奥座敷のような雰囲気のただよう日本橋のある美術館に友人と行った時、作品のことをちょっと話していたら係の人から注意されました。そんなに大きな声で話していたわけでもないのにーー。 かえって気分を悪くしてしまいました。それより私が気になるのは携帯電話の呼び出し音です!(異次元に居るのに!!)それもそのまま受けて話しているその神経! いづつやさんは美術館での携帯電話に関してはどうおもいますか? 

投稿: Joyce | 2011.11.13 23:03

to okiさん
海外の美術館では線の前に出るなとかは注意され
ますが、おしゃべりは全然問題ないですね。
イタリアの美術館では監視員が集まっていつまで
もおしゃべりしてます。おもしろいですよ。

それに比べると日本の美術館はシーンとした空間
にしたがりますね。異常です。日本人の芸術の楽しみ
方が変わらないかぎり、このままでしょね。こと
美術館の運営に関しては全く期待してません。

投稿: いづつや | 2011.11.13 23:39

to Joyceさん
日本の美術館は本当に窮屈ですね。美術館を
いつまでたっても図書館だと思ってます。
目の前の絵の話をしてどこが悪いのといいたい
ですね。まわりにいる人で迷惑を感じる人が
どれほどいるかです。それほど気にしてない
と思うのですが。

携帯電話が鳴るとやはり困りますね。これは
作品とは関係ない話ですし、それに携帯だと
声が大きくなりますから(本人は気づいて
いませんが)とてもノイジーです。

投稿: いづつや | 2011.11.13 23:55

いづつや様
私のように見た瞬間に「あっ!」とか「わっ!」とかの感嘆詞を発し、「きれい!」と叫ぶ人間をとめる方法はないと思われているのか、世界中どこの美術館でも注意されたことはなかったのですが、マナーを守りつつ、作品とのコミュニケーションを楽しみたいものですね。
さて、ど素人的質問で大変聞きづらいのですが、思い切ってお尋ねいたします。東博の国宝を見るには常設展覧会の展示予定をチェックするしかないのですか?夏、春、冬休みはとても込みますか?西洋美術館の第二と第四の土曜日はやはり避けるほうが無難でしょうか?どうぞよろしくご指導ください。

投稿: 黄色いカナリア | 2011.11.14 08:32

to 黄色いカナリアさん
日本の美術館は館内のおしゃべりにはもっと
おおらかになってほしいですね。別にここで
世間話をしているわけではないのですから。
とにかく緊張感ばかりでおだやかで楽しい空気
が流れてません。

東博の国宝はHPの案内を定点観測しています。
平常展はどのシーズンも企画展のように大勢の
人はいませんのでゆったりした気分で名品が
楽しめます。

西洋美に土曜日でかけることがないのでわかり
ませんが、企画展はやはり混んでいるいるの
ではないでしょうか、ゴヤ展まだ行ってませんが、
混んでいるような気がします。

投稿: いづつや | 2011.11.14 10:47

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