夢の‘日本美術里帰り展’! 狩野派
狩野山楽の‘花鳥図屏風’(17世紀 ワシントン・フリーア美)
狩野山雪の‘長恨歌絵巻’(17世紀 ダブリン チェスター・ビーティー・ライブラリー)
狩野芳崖の‘飛龍戯児図’(1884~86年 フィラデルフィア美)
ワシントンのフリーア美は宗達の‘松島図’があるので、アメリカにある日本および東洋美術で知られる美術館のなかでは最重要美術館に位置づけている。美術本に載っている作品から所蔵品リストをつくってみると、ぐぐっと惹きこまれる質の高いものばかり。
狩野派では永徳の‘琴棋書画屏風’と山楽(1559~1635)の‘花鳥画屏風’がある。宗達の‘松島図’が展示されるとき、こうした作品も一緒にみられると幸せな気分だが。ワシントンは近くはないので夢の実現は簡単ではないが、公開の機会を粘り強く待ちたい。また、日本で狩野山楽&山雪展が開催されこの花鳥図が里帰りすることがあるかもしれない。何事も希望をもちつづけることは大切なこと。
山雪(1590~1651)は山楽の娘婿。アイルランドのダブリンにこの山雪が描いた‘長恨歌絵巻’というのがあり、2000年にコレクターのチェスター・ビーティー(1875~1968)が晩年、収蔵兼展示のために購入した邸宅(現在はライブラリー)で公開されている。
この絵巻は二巻からなり、ここに描かれているのは玄宗皇帝に寵愛された楊貴妃が反乱軍の兵士たちから自害を迫られる場面。裏彩色が多く使われ鮮やかな色合いや立体感が生み出されているという。一度みてみたい。こういう絵が日本に里帰りすることはないのだろうか?
明治以降に活躍した日本画家のなかで狩野派の流れをくむ狩野芳崖(1828~88)と橋本雅邦(1835~1908)は特別の存在。長いこと追っかけていた芳崖の‘仁王捉鬼図’(拙ブログ06/11/19)と雅邦の‘龍虎図屏風’(10/8/24)を目の中にいれたので、今は満ち足り安らぎモード状態にある。
次の目標はアメリカにある絵。芳崖は‘飛龍戯児図’(フィラデルフィア美)と‘谿間雄飛図’(ボストン美)、そしてフェノロサ指導による最初の作品‘雪山暮渓図’(フリーア美)、雅邦はフィラデルフィア美が所蔵する‘毘沙門天’、‘観音調停’とボストン美にある‘闘牛’。どれも心を揺すぶる傑作。一枚でも多くみたい。
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