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2011.10.26

納得の‘伊東深水展’!

3207_2     ‘雪の宵’(1931年 東近美)

3210_2       ‘鏡獅子’(1934年)

3209_2       ‘N氏夫人像’(1953年)

3208_2     ‘巷は春雨’(1955年)

平塚市美で待望の‘伊東深水展’(10/22~11/27)がはじまった。いつもは東京駅や渋谷にむかうJRに乗るのに、今回は熱海行きの電車。平塚駅に着くとルーチンの散歩をここですることにし、西口の改札から美術館まで20分ほど歩いた。途中まで商店街がつづく。この街の人口は30万人くらい?

この美術館の女性館長、草薙奈津子さんは近代日本画の鑑識眼にかけてはよく知られた方だから、速水御舟展や山本丘人展同様、いい絵が抜かりなく揃っている。その数、57点。これに新版画22点と南方風俗スケッチが21点。おかげでビッグな追っかけ画2点に済みマークがついた。

伊東深水(1898~1972)の回顧展を体験するのは2度目。5年前、京都の伊勢丹の中にある美術館でみたあと(拙ブログ06/4/6)、展示されなかったものを求めて巡回先の五浦美までクルマを走らせた。美人画となるとどうしてもこういう動き方をしてしまう。これで73点全部が体のなかに入った。

出品作57点のうち前回みたものが29点、新規のなかで心を打ったものをいくつか。東近美の平常展に時々でてくる‘雪の宵’は伊東深水の魅力を気づかせてくれた作品。深水は雪が降ると喜喜として写生に出かけたというほどだから、雪の描写が上手。図版が手に入ったのでこれからはいつでもこの名画を楽しめる。

一番長くみていたのが大作‘鏡獅子’。鏡獅子はいくつかバージョンがあるが、これが最もいい。美しく舞う姿が画面全体を使って描かれている。じっとみていて上村松園の‘序の舞’で感じられるのと同じ緊張感が伝わってきた。これは個人の所蔵だが、自慢のコレクションにちがいない。

‘N氏夫人像’も大収穫の絵。こういうすばらしい肖像画は日本画にはあまりなく、まるで洋画家安井曾太郎の描く女性の肖像画をみているよう。N氏は大映社長永田雅一。どうでもいい話をひとつ。ワンマン社長の永田氏はプロ野球の大毎オリオンズのオーナーでもあった。野球好きの方ならご存知かも。

1960年、西本監督に率いられた大毎オリオンズがパリーグを制し、日本シリーズでセリーグの覇者大洋ホエールズ(今度身売りする横浜ベイスターズの前身)と戦った。ところが、オリオンズは三原監督の大洋に4連敗のストレート敗け。これに怒った永田社長は西本監督に対して‘バカヤロー!’と電話で怒鳴った。西本も気が強いから‘あなたに馬鹿呼ばわりされる覚えはない’と言い返す。あの頃の監督は武士だった。

風俗画‘巷は春雨’は新発見の作品。これは日劇ミュージック・ホールの楽屋裏を描いたもの(4図)。福富コレクションのものと見比べると構成はまったく同じだが、4枚の絵の並べた方がちがい、服装の色合いが部分的に異なっている。画像は廊下ぞいの楽屋風景で左端にいるのが深水の娘、朝丘雪路。

いい絵はほかにも沢山ある。お気に入りの‘聞香’(東近美 4/9)は勿論展示されているし、出世作の‘指’や明るい女性たちの群像描写が目をひく‘婦女潮干狩図’にも魅了される。満足度200%の回顧展だった。

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