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2011.10.31

夏でもないのに缶ビールを歩きながら飲む人たち!

3215           曽我蕭白の‘酒呑仙人図’

2年前の夏、缶ビールを歩きながら飲む中高年が多くなったことを書いた(拙ブログ09/8/20)。この現象は夏の暑い時期には年々ふえる傾向にある。だから、またオッサンが飲んでるワという感じで別に気にとめることもなくなった。

今年はこの歩きながらの酒飲みに変化がでてきた。どういうわけが秋になってもこれが続いているのである。ワンカップ大関をもって歩くお爺さんはよく見かける御仁。だが、小雨のなか傘もささないで缶ビールを片手にもって進む人にはちょっと驚いた。この人は年は50代後半、まじめそうな顔をしていたから思わず顔をじっとみてしまった。

もう一回新現象にでくわした。横を20代前半の男性2人がしゃべりながら並んで歩いている。ともに左手に缶の発泡酒、そして右手につまみの袋をもっている。公園や広場のベンチでつまみをパクつきながら缶ビールを飲む光景は見慣れているが、野外での酒宴を歩きながらしている人はこれまでみたことがない。

これをみて勝手なことをいろいろ思う。車の中とか公園とかどこでもいいのだが、酒を座って飲むところはどこにもあるだろうに、缶コーヒー感覚で缶ビールを歩きながら飲むのならまだわかるがつまみを食べながらの酒飲みは落ち着かないだろう。二人は時間を節約するためにこういう飲み方をしているのだろうか?それとも経済的な理由?

居酒屋へ行くとお金がかかる、財布のなかにはそれほど入ってない。こうして歩いてつまみも買って飲めば酒代もあまりかからない。すると、毎日でも飲める。こういう飲み方が習慣になっているとは思えないが、これを続けていると結構楽しい酒宴になる?もっともミニ酒宴だが。

日本画のなかでお酒の絵は中国の人物を題材にして描かれることが多い。ここでとりあげたのは曽我蕭白(1730~1787)の酒呑仙人の絵。酒壺に口をつけて呑みたいだけ呑んでいればそれはそれはいい気持ちだろう。

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2011.10.30

散歩で街角ウォッチング! 増加する女子中高生の歩き食い

3214     稗田一穂の‘帰り路’(1891年 和歌山県近美)

このところめっきり寒くなってきたので、散歩のとき半袖はやめて長袖に切り替えた。決められたコースを大体一時間半ほど歩くが、歩く速さについてはアバウトな目安が一応ある。

かかった時間をチェックする場所を一箇所決めており、そこまで調子がいいときは一時間と5分くらい。これをだいたいキープするようリズミカルに歩くことにしているが、ときには10分をこえることもある。これはときどき膝や足の親指が痛くなることがあり、ペースを少し落として歩くとき。

今は体重の減量は週末のきつめのクロール泳法によって達成することにしているので、以前のように急ぎ足にして記録をつくるような歩き方はしてない。だから、膝や指先が痛くなる頻度は減ってはいるのだが、それでもどういうわけか膝の痛みがときどきでてくる。こういうときはパテックスのシップ薬をすぐ貼ることにしている。

散歩をしているといろんなことに出くわす。中華料理のお店が3ヶ月前に開店した。毎日6時前後に店の前を通るとき、店内をじっとみる。いつも客なしか、いてもせいぜい一組。料理が美味しくないのだろう。開店直後は値段を安くしていたのでお客が集まったかもしれないが、その期間がすぎると料理に魅力がないからリピート客にはならない。いつまでもつか?

2店ある弁当屋はどちらも繁盛しているが大きなスーパーマーケットの近くにある店のほうが客が多い。こちらは弁当だけでなくお惣菜の測り売りもやっているので自分の好みで量や品数を選べるのがいいのかもしれない。

昨年の10月、すれちがう女子中高生の歩き食いのことを書いたが(拙ブログ10/6/16)、その数はどんどん増えている。食べてるものは菓子パンであったり、スナック菓子であったり。とにかく多い。ちょうど夕食時だから皆腹が減っているのだろう。

2ヶ月前家の近くのコンビニの前にバンを使った焼き鳥の移動屋台が出現した。オッサンがコンビニで買ったお酒を飲みながらできたばかりの焼き鳥を美味しそうに食べている。メニューの横には‘お酒はコンビニでお求めください!’と書きそえている。いいタイアップ商売を思いついたものである。焼き鳥屋はクルマの置き代をいくらかコンビニの親爺に払っているはず。

焼き鳥はおかずのたしになるから客は結構来る。子どもを連れた若いお母さんも買っている。そこに女子高校生が二人やってきた。焼きあがるのをしばらく待って一本づつ買った。二人は嬉しそうに歩きながら焼きたての焼き鳥を食べている。思わず心の中で‘あんたら、オッサンか’とつぶやいた。

画像は日本画家、稗田一穂(1920~)の‘帰り路’。この絵との対面を長いこと待っているがまだ実現しない。

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2011.10.29

祝 カージナルスWシリーズ制覇!

3213_2大リーグのワールドシリーズはカージナルスが第7戦でレンジャーズを敗り、5年ぶりにワールドチャンピオンに輝いた。拍手々!

名将ラルーサ監督に率いられたカージナルスは過去8年間に3度Wシリーズへの進出を果たし、2度も頂点に立った。


そしてワールドチャンピオンになるのは通算11度目。これはヤンキースの27回に次いで多く、今回の勝利はまさに伝統球団の底力をみせつけるものだった。

この頂上決戦では昨年に引き続き駒を進めてきたレンジャーズを応援していた。だから、昨日の逆転敗け(9-10)はドッと疲れがでた。これで試合の流れはカージナルスにいった。

今日の試合もレンジャーズは初回2点入れたのに、その裏昨日の殊勲者フリースに2塁打を打たれすぐ追いつかれてしまった。こうなると、レンジャーズの強力な打撃にも勢いがなくなる。中3日で登板したカージナルスのエースのカーペンターに2回以降点がとれず、主導権をカージナルスにとられたままだった。結果は2-6で敗退、夢のワールドチャンピオンがまた遠のいてしまった。

レンジャーズが昨日の試合をものにできなかったのは絶対的な抑えのエースがいなかったから。若いフェーリスは球は速いがコントロールが不安定で精神的に弱い。選手個々の経験不足はいかんともしがたいが、レンジャーズはトータルのチーム力をアップさせるなかで磐石のリリーフ陣をつくっていくほかない。ワールドチャンピオンになるにはまだ時間がかかるということだろう。

ところで、戦前の予想でカージナルスの奮闘を予想した人が何人いただろうか?下馬評の一番はレギュラーシーズンの勝率が高かったフィリーズ、だが、このフィリーズを奇跡的な頑張りでワイルドカードを勝ち取ったカージナルスがあっさり敗ってしまった。

ここから、あるいは、ワイルドカードを得たときからカージナルスの栄光物語がスタートしていたのかもしれない。9月からカージナルスは勝ち続け、ついに最後の栄冠を手に入れてしまった。見事というほかない。

地元セントルイスの人々の喜びははかりしれなく大きく感動の袋は大きく大きく膨らんでいることだろう。Wシリーズが第7戦までもつれたのは9年ぶり。本当におもしろいWシリーズだった。これだから大リーグはやめられない。

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2011.10.28

ビッグ・ニュース! 2014年初頭 日本で台北故宮展覧会

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今日の新聞に嬉しい展覧会情報が載っていた。といっても来年の話ではなく、2年半後の14年の初頭に開かれるもの。わくわくするような話だが、なんとあの台北の故宮博物院が所蔵する名品が日本にやってくるという。

新聞によると超党派の‘日華議員懇談会’(平沼赳夫会長)がこれから実行委員会をつくって準備を進めるようだ。これまで日本で故宮展が開かれたことはなかった。これには理由があり、日本には展示で持ち込まれた海外の美術品を差し押さえから守る法律がなかったから。

故宮博物院は日本で展示されたものが中国政府から差し押さえられることをおそれているのである。が、今年3月に‘海外美術品公開促進法’が成立したため、この心配がなくなった。じつは、09年から中国と台湾の関係が改善され、北京故宮博物院と台北故宮博物院は交流を活発化させており、北京の収蔵品が台北で展示されている。だが、台北にあるお宝は中国に差し押さえを禁ずる法律が整備されてないので北京では公開されてない。

台北故宮にあるやきもの、工芸品、絵画、書、彫刻の名品のどれをもってくるのか夢はふくらむばかりだが、30年に一度クラスのビッグな展覧会であることは間違いないだろう。この美術館のすごさを知っているから、まだみてない名品に心が強く向かっていく。願いの気持ちを表す帆を思いっきり高くして、勝手に目玉出品リストを作ってみた。

★郭煕の‘早春図’(拙ブログ10/11/1
★范寛の‘谿山行旅図’(10/11/1)
★黄公望の‘富春山居図’
★蘇漢臣の‘秋庭戯嬰図’(10/11/1)
★‘宮楽図’
★徽宗の‘梅山禽図’
★‘青磁水仙盆’
★‘青磁鳳凰耳瓶’
★‘象牙透彫四段提食籠’

先走りもいいとこだが、このなかの3点でも実現するともう天にも昇る気分になるのだが。果たして思いの丈は叶うか?

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2011.10.27

散歩で街角ウォッチング! あやとりをする男子大学生

3211_2     鈴木春信の‘あやとり’(1767年 シカゴ美)

伊東深水の回顧展をみて帰宅する途中、電車のなかでとても興味深い光景にであった。男子大学生が3人立って話をしており、その一人があやとりの妙技を仲間に披露しているのである。ええー、男子があやとりするの!目が点になった。

男子があやとりをして遊んで悪いということはないが、あやとりは女の子の遊びと思っているから、この学生のあやとりの指捌さばきをちょっと複雑な気持ちでみていた。できあがる形がどうやったらつくれるのかを得意げに説明している。確かにあやとりも複雑な形になると、相当手の込んだ手順が必要になってくる。それがこの男子を夢中にさせているのだろう。

これも創作のひとつだから、嵌るとおもしろいかもしれない。一体、あやとりで遊んでいる男子高校生や大学生がどのくらいいるのだろうか?剣玉を楽しんでいる大人の男性がいるように、あやとり趣味の男子学生がたまたま目の前に現れただけのことなのか、それともあやとりが手品感覚の遊びとしてこの世代の男子に流行っているのか?

あやとりの形のことを思い出してみた。小学校では休み時間に女の子が鈴木春信の絵のようにあやとり遊びをするのをよくみかけた。できあがった形はどんなものだったか?すぐ思い出すのがよく対象を写している‘はしご’、そして‘ほうき’、‘蝶’、‘網’、あとは知らない。ところで、今小学校で女の子たちはあやとりで遊んでいる?

折り紙が紙のマジックなら、あやとりはひものマジック。小さいころはこういう遊びでなにもないところからをおもしろいフォルムを生み出していた。考えてみればたいしたアート心である。日本美術の特徴である豊かな装飾性は長い伝統をもつ着物文化やこうした身近な折り紙、あやとりなどがいろいろとり合わさってできあがったものではなかろうか。

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2011.10.26

納得の‘伊東深水展’!

3207_2     ‘雪の宵’(1931年 東近美)

3210_2       ‘鏡獅子’(1934年)

3209_2       ‘N氏夫人像’(1953年)

3208_2     ‘巷は春雨’(1955年)

平塚市美で待望の‘伊東深水展’(10/22~11/27)がはじまった。いつもは東京駅や渋谷にむかうJRに乗るのに、今回は熱海行きの電車。平塚駅に着くとルーチンの散歩をここですることにし、西口の改札から美術館まで20分ほど歩いた。途中まで商店街がつづく。この街の人口は30万人くらい?

この美術館の女性館長、草薙奈津子さんは近代日本画の鑑識眼にかけてはよく知られた方だから、速水御舟展や山本丘人展同様、いい絵が抜かりなく揃っている。その数、57点。これに新版画22点と南方風俗スケッチが21点。おかげでビッグな追っかけ画2点に済みマークがついた。

伊東深水(1898~1972)の回顧展を体験するのは2度目。5年前、京都の伊勢丹の中にある美術館でみたあと(拙ブログ06/4/6)、展示されなかったものを求めて巡回先の五浦美までクルマを走らせた。美人画となるとどうしてもこういう動き方をしてしまう。これで73点全部が体のなかに入った。

出品作57点のうち前回みたものが29点、新規のなかで心を打ったものをいくつか。東近美の平常展に時々でてくる‘雪の宵’は伊東深水の魅力を気づかせてくれた作品。深水は雪が降ると喜喜として写生に出かけたというほどだから、雪の描写が上手。図版が手に入ったのでこれからはいつでもこの名画を楽しめる。

一番長くみていたのが大作‘鏡獅子’。鏡獅子はいくつかバージョンがあるが、これが最もいい。美しく舞う姿が画面全体を使って描かれている。じっとみていて上村松園の‘序の舞’で感じられるのと同じ緊張感が伝わってきた。これは個人の所蔵だが、自慢のコレクションにちがいない。

‘N氏夫人像’も大収穫の絵。こういうすばらしい肖像画は日本画にはあまりなく、まるで洋画家安井曾太郎の描く女性の肖像画をみているよう。N氏は大映社長永田雅一。どうでもいい話をひとつ。ワンマン社長の永田氏はプロ野球の大毎オリオンズのオーナーでもあった。野球好きの方ならご存知かも。

1960年、西本監督に率いられた大毎オリオンズがパリーグを制し、日本シリーズでセリーグの覇者大洋ホエールズ(今度身売りする横浜ベイスターズの前身)と戦った。ところが、オリオンズは三原監督の大洋に4連敗のストレート敗け。これに怒った永田社長は西本監督に対して‘バカヤロー!’と電話で怒鳴った。西本も気が強いから‘あなたに馬鹿呼ばわりされる覚えはない’と言い返す。あの頃の監督は武士だった。

風俗画‘巷は春雨’は新発見の作品。これは日劇ミュージック・ホールの楽屋裏を描いたもの(4図)。福富コレクションのものと見比べると構成はまったく同じだが、4枚の絵の並べた方がちがい、服装の色合いが部分的に異なっている。画像は廊下ぞいの楽屋風景で左端にいるのが深水の娘、朝丘雪路。

いい絵はほかにも沢山ある。お気に入りの‘聞香’(東近美 4/9)は勿論展示されているし、出世作の‘指’や明るい女性たちの群像描写が目をひく‘婦女潮干狩図’にも魅了される。満足度200%の回顧展だった。

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2011.10.25

好きな食べ物の絵! 鯛

3203_2     歌川広重の‘鯛’(江戸時代 19世紀)

3204_2     仙厓の‘鯛釣恵比寿画賛’(江戸時代)

3206_2        石川豊雅の‘見立三福神’(江戸時代)

3205_2          歌川国芳の‘魚の心’(江戸時代 天保末期)

今日の好きな食べ物は魚の王様、鯛。鯛は刺身でも焼いても、また吸い物の具にしても皆美味しい。でも、高級魚だから、そう度々ありつけるわけではない。わが家は夕食に刺身を食べる習慣がない。だから、飲み会やパーティーのときにでてくる刺身以外で鯛を食べる機会は正月のお膳にのぼる塩焼きだけ。縁起のいい鯛を食べて一年がスタートする。

鯛には楽しい思い出が二つある。広島に住んでいたとき勤めていた会社に尾道出身の人がおり、‘浜焼鯛’のことを教えてもらった。瀬戸内海だから鯛が美味しいのはわかっているので、機会をみて元祖ウオスエまでクルマを走らせた。

この浜焼は天然真鯛を塩釜のなかで蒸し焼きにしたもので、江戸時代、将軍徳川吉宗に藩主浅野公が献上している。これをはじめたのがウオスエ、以来200年この製法を守り続けている。値段は安くはないが、その美味は格別だった。ご関心のある方は是非。尾道店(本店)のTEL:0848-25-2663

もうひとつ忘れられない鯛の味は横浜元町で食べた釜飯。このお店はあの黒澤明監督がスタッフを連れてよくでかけたという‘元町梅林’。こんなおいしい鯛の釜飯にありつけると幸せな気分になる。やはり食の力は絶大。この店のコース料理は品数が多く、一品々とてもおいしい。こりこりした刺身あり、牛の炭火焼あり、大きな海老フライあり、、、食べきれないほどでてくる。

今の体力では量が多すぎるのでここ数年はお休みしているが、いつか朝食も昼食もぬいてまたチャレンジしようとも思っている。この店のサービス精神は満点で、食べきれない料理は家に持って帰れるようにしてくれるのでご安心を。お奨めです。完全予約制、
TEL:045-662-2215 鯛の釜飯をやっているかどうかわからないので、確認してください。

鯛の絵を浮世絵から3点、仙厓の絵から選んだ。歌川広重(1797~1858)の魚シリーズをずっと追いかけている。鯛のほかにもぼら、さより、鮎、黒鯛、伊勢海老などを描いている。

仙厓(1750~1837)の鯛がこれぞお祝い絵なのに対して、歌川国芳(1797~
1861)の描いた‘魚の心’は戯画風。天保の改革で役者絵が禁止になったので、国芳はそれならと鯛や蛸や河豚などの顔を役者の顔に似せて描いた。この反骨精神が大いに受けた。国芳は度胸がすわっている。

石川豊雅は子ども絵。真ん中で鯛を抱える男の子を恵比寿、右の子を布袋、そして左の子を大黒に見立てている。子どもたちのい生き生きした動きと三角形の安定した構図に魅了される。

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2011.10.24

好きな食べ物の絵! 蛤

3201_2          伊藤若冲の‘蛤龍宮図’(江戸時代 18世紀)

3200_2     喜多川歌麿の‘潮干のつと’(江戸時代 1787~89年)

3199_2     福田平八郎の‘蛤’(1952年)

3202_2     奥村土牛の‘蛤’(1949年)

貝類でお馴染みは吸い物や味噌汁でよく食べる蛤、あさり、しじみ。そして、北海道へ行くとホタテが特別美味しく感じられる。また寿司ネタでは鳥貝を必ず注文する。普段の食卓にのぼるのはあさりとホタテ。あさりは味噌汁の具として、ホタテは焼肉をするとき一緒に食べることが多い。

身がぷりぷりしている蛤を食べる機会がいつもいつもあるわけではなく、国内を旅行し旅館に泊ったときの食事とか親しい人を家に招待するときくらい。昔は座敷の宴会が多くあり最後にでてくる定番の蛤の吸い物を美味しくいただいたが、今はホテルの立食パーティーが中心だから蛤にはありつけない。

名古屋に住んでいたとき、三重県の津市にある県立美術館を訪問したことがある。目的のシャガール展を見終わり、どこで食事をしようかと物色していたら、ある店で大きな焼き蛤を売っていた。これが有名な桑名の蛤かという感じ、すぐ席についた。日本各地、どこにも自慢のお美味しい食べ物がある。

伊藤若冲(1716~1800)の蛤の絵はとてもファンタジックな絵。上のほうに楼閣があり、下には大きな蛤が描かれている。その間には二本の線が円弧をつくり上のほうにのびている。これは何を描いている?ここではマジシャン蛤が得意技を披露している。吐く息によって空中に楼閣を出現させるのである!

喜多川歌麿(1753~1806)というとすぐ美人大首絵がイメージされるが、もうひとつその迫真の描写力に驚愕させられる絵がある。それは虫や鳥や貝を描いた絵本。‘潮干のつと’は潮干狩のみやげという意味。画面の下半分に貝殻や海草が精緻に描かれ、上にそれぞれの貝にちなんだ狂歌が書かれている。右にほうに蛤がみえる。最接近してみるとその尋常でない質感描写にびっくりする。

近代日本画では福田平八郎(1892~1974)と奥村土牛(1889~1990)がいい蛤の絵を描いている。平八郎は蛤を盛るのに皿とかいろいろ考えて、結局摺鉢を思いついて二日間探し回ったという。

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2011.10.23

好きな食べ物の絵! 蟹・海老

3197_2        伊藤若冲の‘蟹図衝立’(江戸時代 18世紀)

3196_2     与謝蕪村・円山応挙の‘蟹蛙図’(江戸時代 18世紀)

3198_2            伊藤若冲の‘海老図’(江戸時代 18世紀)

3195_3             鈴木其一の‘正月飾図’(江戸時代 19世紀)

蟹がお好きな方なら一度は旅行会社の‘北海道 蟹食べ放題ツアー’を体験されているにちがいない。6年前、ニコニコしながら蟹を食べまくった。だが、その次が実現してない。そのあと金沢での毛蟹の食べ放題にも参加したから、今のところは蟹を食べるのは宴会や正月の特別料理のときだけでOKにしている。

蟹を食べるときは男性でも女性でもしゃべるのも忘れて夢中になる。食べ応えのあるたらば蟹などは最高に美味しいからはさみや細い取り棒を使って肉をとりだすことも苦にならず、ひとかけらも残らないように丁寧に指と手を動かす。まあ30分も食べると
200%満ち足りた気分になるから、そのあたりで隣の人とは‘まだ食べられる?’なんて言いあったりしてまともな会話になる。

北海道は2回の旅行で一通りまわったので、次回は札幌に4、5日滞在するツアーに申し込むつもり。そのときの楽しみ方はおおよそイメージできている。食べることではもちろん蟹、そしてサッポロ塩ラーメン。名所訪問のお目当ては05年に完成した‘モエレ沼公園’。イサム・ノグチの設計によるこの公園は前回バスが高速道路を走っているとき遠くに見えた。いつか夢を叶えたい。

09年信楽のMIHO MUSEUMであった‘若冲ワンダーランド’展に蟹の絵が3点あった。そのなかで長くみていたのが伊藤若冲(1716~1800)が衝立に描いたたらば蟹。これは美味しそう! 興味深かったのが与謝蕪村(1716~1783)と円山応挙
(1733~1795)がコラボした絵。応挙が蟹を、蕪村が蛙を描いている。こういう絵があったとは!

海老も蟹同様、大好物。ふだん食べるのはてんぷらとかフライ。大きな海老フライを食べさせてくれる‘幸’という店(拙ブログ09/8/23)が千葉のJR佐倉駅近くにある(改札を出て右側のほう)。3年前くらいに知り、川村記念館を訪問したときここへ行くのが楽しみになっている。3回目のあと間隔があいているのでまた出かけようと思っている。

若冲の海老の絵をみたのは昨年静岡と千葉であった回顧展。ぴちぴちした立派な伊勢海老である。お正月飾りに描かれた鈴木其一の伊勢海老は典型的な吉祥絵。装飾性を特別に出して絵を華やかにするために中廻しのところに伊勢海老が描かれている。これを描表装(かきびょうそう)という(09/6/15)。

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2011.10.22

好きな食べ物の絵! 林檎

3191_2     カラヴァッジョの‘果物籠’(1597年 ミラノ・アンブロジアーナ絵画館)

3193_2     エスピノーサの‘林檎と葡萄のあるボデゴン’(1645~55年 プラド美)

3192_2     セザンヌの‘林檎の籠’(1890~94年 シカゴ美)

3194_2     岸田劉生の‘土瓶とシュスの布と林檎’(1917年)

普段食べる食べ物のなかで最も身近なのがトマトと林檎。トマトは毎日夕食にでてくる。これがもう何十年と続いている。果物のなかでは林檎が年間を通して食べる回数が圧倒的に多い。夏の時期はスイカとか桃が多いが、秋から春までは林檎を毎日といっていいくらい食べる。わが家では冬に蜜柑を食べる習慣がないから、その分林檎がふえる。

とくにお好みの品種があるわけではなく、スーパーにでてくるものをいろいろ食べる。量としては昼・夕食後の2回で一個。お好みの林檎なのだが、ジュースとなると葡萄同様、濃い味なので敬遠気味。海外へ旅行したとき飛行機の機内サービスでもらうのはいつもオレンジジュース。まわりをみわたしても、8割の人がオレンジを注文している。どうでもいいことだが、トマトは毎日食べているのにトマトジュースは飲めない。

スイーツではアップルパイが大好物。焼き林檎風の舌触りがとてもいい。この味は海外のホテルでの食事の際よくでてくる洋梨と似ている。アップルパイはカロリーが高いから調子にのって食べるとすぐ太る。だから、ほどほどにしている。

静物画というとセザンヌ(1839~1906)の林檎がまず思い浮かぶ。油絵というもののイメージができあがったのはこの林檎の絵からだった。以来、セザンヌの静物画をずっと追っかけている。シカゴ美が所蔵する林檎の絵は08年訪問のとき残念ながら展示されてなかった。次回のリカバリーリストの一番上に載せている。

カラヴァッジョ(1571~1610)の林檎やスペインのボデゴン(静物画)を知ったのは、セザンヌよりずっと後のこと。リアルに描かれた林檎はまさに目の前にあるかのよう。昨年カラヴァッジョの‘果物籠’と再会したときは、穴の開いた林檎を中心に夢中になってみた。その画技の高さにほとほと感服させられる。

岸田劉生(1891~1929)は林檎の絵をいくつも描いているが、最も好きなのが‘土瓶とシュスの布と林檎’。05年の末渋谷の松涛美でこの絵をみたときはマグニチュード7くらいの衝撃を受けた。‘麗子像’といいこの林檎の絵といい、岸田劉生は真にすごい画家である。

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2011.10.21

好きな食べ物の絵! 葡萄

3189_2     伊藤若冲の‘葡萄小禽図’(重文 1759年)

3190_2     柴田是真の‘果蔬蒔絵額’(1876年)

3188_2     速水御舟の‘葡萄と茶碗’(1926年)

3187_2     小倉遊亀の‘古九谷鉢葡萄’(1975年)

秋真っ盛りなので、食後に葡萄を食べることが多い。葡萄を食べるときの口の忙しさは蟹を食べるときと似ている。リンゴや梨とはちがって、葡萄はまず皮を剥がさなくてならない、そして食べたあとは種の始末がある。一つの皿に葡萄はのっかっているので、隣の方と分担して平らげる。この間あまりしゃべらない。

広島に住んでいたときは岡山が近かったから秋になるとピオーネが身近な果物になる。甘くて大きいからこれが食後にでてくると幸せ気分。といっても値段が高いから、いつもこればかりというわけにはいかない。普通の葡萄との組み合わせで美味しくいただいた。最近は種無しピオーネの割合が多くなってきたので、食べるペースが少し速くなってきた。

高校生のころジュースというとコカコーラのファンタグレープが定番だった。それが成長するにつれ、このグレープの味の濃さが重たくなってきた。コーラは大学生のころまでは飲んでいたが、グレープジュースはこれより前に嗜好が停止した。今、冷蔵庫に常時あるのはオレンジジュース。

ぶどう狩りは一度山梨県の勝沼で体験した。このときほうとう鍋を食べたりワインを試飲したりしたのも楽しい思い出。果物狩りはやはり、ぶどうとサクランボが一番いい。実が小さいので調度いいくらいに腹が満腹になる。

葡萄の絵で心に響くのは伊藤若冲(1716~1800)。鹿苑寺大書院障壁画に描かれた‘葡萄小禽図’は07年‘動植綵絵’が全点展示されたとき、念願の対面を果たした。若冲はほかにもプライスコレクションに入っている絵など葡萄を4,5点描いている。

柴田是真(1807~1891)の蒔絵額には秋の実りがいっぱい。南瓜、葡萄、梨、柿、そして栗。こういう額が自分の部屋にあったらどんなに心が豊かになることか。

西洋絵画の静物画をみているような錯覚を覚えるのが速水御舟(1894~1935)の葡萄。これは個人蔵、いつかお目にかかりたい。古九谷の鉢にもられた葡萄の絵にとても魅せられる。105歳まで生きた小倉遊亀(1895~2000)がこの絵を描いたのは80歳のとき。惚れ惚れする葡萄の絵である。

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2011.10.20

好きな食べ物の絵! 茄子

3183_2                 小林古径の‘茄子’(1928年)

3186_2     福田平八郎の‘茄子’(1957年)

3184_2     山口蓬春の‘茄子’(1949年)


3185_2     土田麦僊の‘茄子’(1934年)

食べ物の好き嫌いがなく何でも美味しく食べられるという人は最高に幸せな人生を送っている人ではなかろうか。だが、まわりをみわたしてみるとそういう人はあまりいない。

隣の方と義理の弟は鶏がダメだし、義理の母は煮魚が生臭いといって食べない。亡くなったっ父親はどういうわけか朝トーストを食べる習慣がなかった。でも、4人ともほかは何でも食べる。だから、嫌いなものがひとつや二つくらいだったら、まあ何でも食べるくちにはいるのだろう。

そんななかで、自分はというと好き嫌いがある人間の部類かもしれない。寿司ネタのいくら、ウニがダメでさらに臭い匂いの納豆、なめこ、餃子も口にしたことがない。

誰しも好きな食べ物の言いっこだったら、話ははずむ。秋に食べるもので茄子は大好物のひとつ。一番好きなのは焼き茄子、醤油をかけて食べると幸せな気分になる。‘秋茄子は嫁に食わすな’とはよくいったものである。また、ひき肉とたまねぎのみじんぎりを茄子の間にはさんでフライにあげたものも美味しい。わが家では‘茄子のサンド揚げ’と呼んでいる。

家でてんぷらを食べるときは茄子は欠かさない。小さい頃は味噌汁の具に茄子はよくはいっていたが、今は別の具。茄子の粕づけも美味しいが、これはふだんの食事では縁がなく国内を旅行したとき旅館で食するくらい。

近代日本画には茄子がよく描かれる。小林古径(1883~1957)、福田平八郎(1892~1974)、山口蓬春(1893~1971)、土田麦僊(1887~1936)の作品をとりあげてみたが、いずれも丸っこい茄子の形がじつにすっきり描かれている。

色的には青紫のてかてかした感じがよくでている福田平八郎の茄子が一番茄子らしい。お好みの茄子はどれだろうか?

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2011.10.19

ラヴェル‘亡き王女のためのパヴァーヌ’の王女は誰?

3181_2          ベラスケスの‘王女マルガリータの肖像’(1654年 ルーヴル美)

3182_2     ルーベンスの‘王妃アンヌ’(1622年 プラド美)

2ヶ月ほど前からBSプレミアムの音楽番組‘名曲探偵 アマデウス’に完全に嵌っている。はじめてみたラフマニノフの‘ピアノ協奏曲2番’のあと毎週あるのかなと思っていたがそうでもなく、今日放送されたラヴェルの‘亡き王女のためのパヴァーヌ’が6曲目。放送時間は10/12から毎週水曜の午後6時に変わった。

ラヴェルが24歳のとき作曲した‘亡き王女のためのパヴァーヌ’はお気に入りの曲。これまで数えきれないほど聴いたアシュケナージの演奏でその美しい旋律が心に沁みこんでいる。でも、ピアニストや音楽家が通じている専門的な音楽知識はゼロに等しい。

わが家では講談社学術文庫からでている‘クラシック音楽鑑賞辞典’(83年11月)がクラシックのバイブル。ここに書かれていることが名曲についての唯一の情報だが、悲しいかな音符や長調、短調といった音楽理論は??なので、いつ作曲されたことくらいしか頭に残らない。

その状況がこの番組で一気に変わった。毎回、曲の専門的な解説を貪欲に吸収している。1年くらい観続けたら、クラシックの音楽理論が普通レベルくらいまで引き上げられるかもしれない。いい番組に出会った。

‘亡き王女のためのパヴァーヌ’には興味深い話がでてきた。‘亡き王女’は誰か?に関していろいろ説があるという。そのひとつがベラスケス(1599~1660)が描いた3歳の王女マルガリータ。件の‘音楽辞典’には‘この曲はパリのルーヴル美にあるスペインの画家ベラスケスの描いた若い王女の肖像にヒントを得て作曲したと伝えられている’と書かれている。

もうひとり歴史上の人物としてとりあげていたのがルーベンス(1577~1640)が描いたルイ13世の王妃アンヌ・ドートリッシュ。この絵は今年の一月プラドで開催された回顧展でみたものだか、番組では1625年に描かれたものが使われていた。

王妃アンヌはスペイン王のフェリペ3世の娘で弟がフェリペ4世。色の白いなかなかの美人。ルイ13世とは同い年で二人は14歳のとき結婚した。長い間子どもができなかったが、アンヌは37歳のときやっと男の子を産む。この王子が後の太陽王ルイ14世。

‘亡き王女’が誰かは決め手がないようだ。今回は音楽理論とお馴染み絵画のセットで楽しませてもらった。

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2011.10.18

今タイガースの新監督問題などどうでもいい!

3180プロ野球はこれからクライマックスシリーズ(CS)、日本シリーズという一番大事な興行をやろうというのに、来期の新任監督を誰にするとかナベツネによる横浜ベイスターズの売却問題のリークなどタイミングをわきまえない動きばかり。

日本のプロ野球組織というのは何年たっても統率のとれないダメな組織である。

なぜこういう勝手な動きがでてくるかというと、今年のプロ野球が‘がんばれ日本!’という旗印をかかげていても、例年に比べてつまらないから。

大方の野球ファンはソフトバンクが日本シリーズを制すると思っているにちがいない。二位の日ハムに18ゲーム離しているのにCSをやる意味があるの? 日ハムと西武は試合はやらなくていいから、じゃんけんで決めてよといいたくなる。そして、ソフトバンクとの試合では一つ敗けたら即終了。そう思わざるをえないほど今年のCSは価値がない。

セリーグも盛り上がらない終盤戦。それは中日の落合が自分の意地で試合をやっているから。優勝して中日ファンに喜んでもらおうという気持ちがまったく表にでてこず、マスコミの質問にもまともに答えない。この男は野球が興行、エンターテイメントであることがいつまでたってもわからない、だから、解任されるのである。

ヤクルトには4連勝したが、世間にはこの男は意地でやっているなとうつる。こういう心で試合をやっているかぎり、天は微笑まない。‘この男は自分の監督としても力をみたかといいたいのだろうが、それは思い上がりもはなはだしい。チーム力がヤクルト、巨人を大きく回っているわけではないことを意地が悪さをして忘れさせている’。勝利は皆から祝福されないとダメなのである。巨人に3連敗したことで、流れは変わった。CSでは巨人が勝って日本シリーズへ進出すると思う。

タイガースの真弓は4位、2位、4位の実績では解任は当たり前。梨田はいい人選だと思うが、今はまだ日ハムの監督なのだから、、静かにしていなきゃ。関西はこれからの興行はおもしろくないから、スポーツ新聞が毎日でもとりあげたい新監督問題に関心がいくのはよくわかるが。

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2011.10.17

Wシリーズ レンジャーズ VS カージナルス!

3179大リーグのポストシーズン(PS)はカージナルスが第6戦でブリュワーズをくだし4勝2敗でナショナルリーグチャンピオンになった。

前日アメリカンリーグを制したレンジャーズ同様、12-6と点差が大きく開きカージナルスの大勝だった。

これでワールドシリーズはアリーグ連覇のレンジャーズと5年ぶりの進出となるカージナルスの戦いとなった。

さて、どちらが勝つか?今年は予想が難しい。名将ラルーサ監督が率いるカージナルスは5年前タイガースを敗ってチャンピオンに輝いた。ナリーグのワイルドカードはてっきり東地区のブレーブスと思っていたが、中地区のカージナルスが猛烈な頑張りでPSにでてきた。

その勢いがそのままPSでも続き、ワールドシリーズを制するとみられていたフィリーズをなんと打ち負かしてしまった。そして斉藤のいるブリュワーズにも勝利。勝因は好調な打線。スーパースターの3番プポルスが打率.478で打ちまくっているのをはじめ3番から6番までが皆3割をこえている。

打線が好調なのはレンジャーズも同じこと。クルーズは6本のホームランを放ち絶好調、そして中心選手の4番ヤングが最後の試合で3安打といい仕事をした。打線全体でみるとレンジャーズのほうが少しいい感じだが、ほぼ互角。試合は打ち合いになるような気がする。

心情としては昨年ジャイアンツに1勝しかできなかったレンジャーズを応援したくなるし、チームには頂点に昇りつめるという熱気が感じられるから勝利を呼び込むようにも思える。が、ワイルドカード争いからずっと高いテンションで試合をし勝ち続けているカージナルスが勢いに乗って再度チャンピオントロフィーを手にするかもしれない。

レンジャーズの監督は黒人のロン・ワシントン。ワールドシリーズを制したチームで監督が黒人だったチームはまだない。9年前、ボンズのいたジャイアンツは優秀な黒人監督ベーカーに率いられていたが、惜しいことに3勝4敗でツインズに敗れた。ロン・ワシントンが大リーグの歴史にその名を刻むか?決戦は20日(日本時間)からはじまる。

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2011.10.16

出光美のゆるーい文人画展!

3176_2               池大雅の‘瓢鯰図’

3177_2     池大雅の‘秋社之図屏風’(右隻の部分)

3178_2     与謝蕪村の‘山水図屏風’(重文)

3175_2            浦上玉堂の‘雙峯挿雲図’(重文)

出光美では現在、とてもゆるーい展覧会が行われている。‘大雅・蕪村・玉堂と仙厓ー笑いのこころ’展(9/10~10/23)。

これは日本の美・発見シリーズの第5弾。1~4弾は皆勤してないが、これは見逃さないようにしていた。お目当ては与謝蕪村(1716~1783)の‘山水図屏風’(重文 
1763年)。出光は文人画のいい絵があることで有名だが、10数年前これらがどっと公開されたとき、運悪く展示替えでみれなかった。その後MIHO MUSEUMであった回顧展(08年)などでみる機会はあったのに、いずれもすれ違い。

やっと会えたのでじっくりみた。画像は右隻だが、左隻に比べるとこちらのほうに惹かれる。山水画を数多く体験してきたが、山々に心がこれほど強くむかうのはそうない。中央と右に量感のある山々が斜めの方向に大きなビスケットを並べるように描かれている。真ん中の向こうにはこれまた形のいい山が霞のなかにそびえている。期待値以上にいい絵だった。

会場に入ってすぐおもしろい絵が登場する。池大雅(1723~1776)の‘瓢鯰図’。これははじめてみた。じっとみてしまうのは下のなんとも可愛い鯰。瞬間的に鯰というより大山椒魚をイメージした。これなら鯰のゆるキャラとしてすぐデビューできる。

10点ある大雅のなかで嬉しい再会があった。それは5年前京博であった‘18世紀 京都画壇の革新者たち’展で楽しんだ‘秋社之図屏風’。これは右隻で祭りに心ウキウキの唐子たちが門からどどっと出ているところ。大雅の描く人物は大人でも子どもでもみなまるっこくてやさしい顔をしている。この人物描写をみていると気分は自然とゆるゆるモードになる。

今回の展覧会ですごくいいなと思うことが二つある。ひとつは展示作品は全点会期中でていること。所蔵品だからできることとはいえ、展示替えなしははじめてのことではないか。100%スッキリ展示(勝手に京博方式と呼んでいる)をやっと実現してくれた。

もうひとつは図録のつくり方。拡大図のところにつけられたキャプションがじつに楽しい。京博で曽我蕭白展(05年)があったとき、狩野博幸さん(現在、同志社大教授)は図録の表紙に‘円山応挙が、なんぼのもんぢゃ!’と入れて江戸絵画ファンをハッとさせた。この主催者による遊び心にとんだフレーズづくりが板橋区美に飛び火し、そして出光美にも浸透してきた。

巧みな表現に絵をみるのがいっそう楽しくなったものをいくつか紹介したい。
★上の‘秋社之図’では ‘浮かれ騒いでコロコロ、おもちゃの仔馬もコロコロ’ 
★大雅の‘江上笛声図’では ‘ピョーン、、、、水面を揺らす笛の音’
★仙厓の‘百寿老画賛’では ‘踊る酔狂、笑う酔狂’

浦上玉堂(1746~1820)も重文2点を含む15点を展示する豪華なラインアップ。お気に入りは大作で見ごたえがある‘雙峯挿雲図’。しばらく息を呑んでながめていた。‘笑い’のこころとくれば、これはそのまま仙厓の絵。お馴染みの‘鯛釣恵比須画賛’などが心を和ませてくれる。

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2011.10.15

魅了される鈴木其一の花鳥画!

3171_2     ‘夏秋渓流図屏風’

3174_2     ‘群禽図’

3173_2                  ‘夏宵月に水鶏図’

3172_2     ‘秋草図’

事前に購入した図録には鈴木其一(1796~1858)の絵が沢山あったので、鑑賞エネルギーのタンクをもう一本用意していた。会期中に59点でてくる。全点みたいのでまた足を運ぶつもり。

酒井抱一同様、人気の高い作品の展示期間をまず書いておきたい。
★‘夏秋渓流図’(根津美):10/10~10/23
★‘萩月図襖’(東京冨士美):10/25~11/13
★‘風神雷神図襖’(東京冨士美):10/25~11/13
★‘東下図’(遠山記念館):10/10~10/23
★‘三十六歌仙図’(出光美):10/10~10/23
★‘雪月花三美人図’(静嘉堂文庫):通期
★‘芒野図屏風’(千葉市美):11/1~11/13

これまで其一の絵を一番多くみたのは‘大琳派展’(08年 東博)。このとき24点出品されたが、その半分は今回の展覧会にもでている。人気のど真ん中に位置するのはやはり根津美のお宝‘夏秋渓流図’。画像は秋の紅葉が描かれている左隻。右隻の蝉と白ユリもしっかりみた。

‘群禽図’(10/10~23)で視線が向かうのは存在感のあるミミズク。そこから目を移動させると俄然忙しくなる。木の幹と枝が画面の端をぐるっとまわり円を形どり、それにそって大勢の鳥がワイワイガヤガヤ円運動をしている。だから、あまり長くみていると目がまわる。

鳥を単独で描いたいい絵があった。それは周囲の描表装も見事な‘夏宵月に水鶏(くいな)図’(通期)。丈のながい花に囲まれた水鶏と月の巧みな配置に見蕩れていた。これは大収穫!

初見の花の絵で立ち尽くしてみていたのが‘秋草図’(通期)。これは徳島市立徳島城博の所蔵。こういう名品がみれるのが回顧展の醍醐味。図録に載っている‘牡丹図’(個人)にとても惹かれるが、これは11/1~13の展示。あともう一点、すばらしい四幅対がある(10/10~30)。みてのお楽しみ!

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2011.10.14

満足度200%の‘酒井抱一と江戸琳派の全貌’展!

3169_2     ‘州浜に松・鶴亀図’

3167_2     ‘秋草花卉図’

3170_2     ‘十二ヶ月花鳥図屏風’

3168_2         ‘妙音天像’

千葉市美ではじまった‘酒井抱一と江戸琳派の全貌’展’(10/10~11/13)は期待通りのすばらしい展覧会だった。いつものことながらこの美術館で行われる回顧展はとにかく数が多い。浦上玉堂展(06年)、鳥居清長展(07年)のときと同様、‘酒井抱一、鈴木其一の絵、全部みせます!’という展示スタイルだから、体が通常より倍くらい熱くなる。

じつはこの展覧会の図録は本屋で市販されている。先月末横浜そごうでたまたま見つけ先行して購入していた。分厚い図禄だから、千葉市美へ出かけたときバッグをふくらませない作戦。嬉しいことに、追っかけの絵(3点)の2点が載っていた。だから、開幕する前から満足度200%モードになっている。

酒井抱一(1761~1828)の絵は蒔絵の箱の意匠などを含めて122点ほどでている。東博であった‘大琳派展’(08年)のときが35点だから、その3倍くらいの作品が集結している。まさに大回顧展!会期は一ヶ月だが、展示替えがある。有名な絵の展示期間をお知らせしとくと、
★‘四季花鳥図屏風’(陽明文庫):10/25~11/13
★‘夏秋草図屏風’(重文 東博):11/1~11/13
★‘四季花鳥図巻’(東博):10/10~10/30
★‘十二ヶ月花鳥図’(三の丸尚蔵館):通期
★‘八橋図屏風’(出光美):10/10~10/23
★‘風神雷神図屏風’(出光美):11/1~11/13

これまで図版などでもみたことのなかった作品でとくに惹かれたのがおめでたい絵‘州浜に松・鶴亀図’(通期展示)。昨年ギッターコレクションでみた‘朝陽に四季草花図’のように晴れやかな気分になった。そして、四角い画面の大作‘秋草花弁図’(10/10~30)、みた瞬間思わず‘うわー!’と声がでた。この絵が一番の収穫。

‘十二ヶ月花鳥図屏風’(10/10~30)と‘妙音天像’(通期)が追っかけの2点。6点ある‘十二ヶ月花鳥図’はこの神戸の香雪美が所蔵するものが最後に残っていた。やっとみることができ感慨深い。出光美蔵と同じ屏風に貼られたものだが、一点々がなかなかいい。真ん中の薄と月が一体化したような表現が心を打つ。

技芸の神様、妙音天(弁財天)を描いたものは個人コレクターの所蔵。衣装の青や黄色の地に金色の線で描かれた模様がじつに精緻。黄色と緑の対比が印象的で綺麗なお顔を時間が経つのも忘れてながめていた。

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2011.10.13

‘ロートレック展’には極上のポスターがいっぱい!

3165_2         ‘ディヴァン・ジャポネ’(1893年)

3166_2         ‘快楽の女王’(1892年)

3163_2        ‘54号室の女船客’(1896年)

3164_2      ‘化粧’(1898年)

三菱一号館美の‘トゥールーズ・ロートレック展’(10/13~12/25)を楽しんだ。ロートレック(1864~1901)の回顧展は最近4年間では08年にサントリー美(拙ブログ08/2/17)、09年にはBunkamura(09/12/8)でもあった。

サントリーのときは油彩が目を楽しませてくれたが、今回はポスターやリトグラフがメイン。出品作はお馴染みものが多いが摺りの状態やコンディションが極めてよく、またこれまでみたことのないヴァージョンがあるので、グラフィックアーティスト、ロートレックの魅力を新鮮な気持ちで味わうことができる。

ロートレックの個性あふれるポスターはどれも惹き付けられるが、最も好きなのは‘ディヴァン・ジャポネ’。真ん中に横向きで描かれたジャン・アヴリルの着ている黒の洋服が画面をひきしめている。向こうのオーケストラボックスからは音楽が聴こえてくるよう。

また、舞台にいるイヴェット・ギルベールの描写が大胆、大事な顔がカットされている。でも、それがジャンの美しい顔に見蕩れ、カフェの楽しい雰囲気に乗せられるから意識されず空間に奥行きを与えている。これがロートレックのポスターの斬新なところ。

風俗描写丸出しで、とてもグラフィカルな作品に仕上がっているのが‘快楽の女王’。こんなポスターが街にあったら、そこを行き交う人たちは楽しくてたまらないし、小説の宣伝としては特○の効果が期待できる。平面的なところは日本の浮世絵風で赤や黄色、黒の色面をうまく使っている。

収穫のひとつが最後の部屋に飾ってあった‘54号室の女船客’。サントリーでもみたが、これは‘サロン・デ・サン’という展示会場の名前などの文字が入ってないヴァージョン。広重の‘名所江戸百景’を連想させるような手前に女性を大きく描く構成に思わず足がとまった。文字が入るとポスターになる作品だが、油彩の傑作をみている気分だった。

アルビのトゥールーズ・ロートレック美が所蔵する油彩が2点ある。画集によく載っている‘化粧’と‘モーリス・ジョワイヤン’。これは想定外のビッグなオマケ。アルビへはなかなか行けないので、2点もみられるのは有難い。

三菱一号館美が近年手にいれたこのロートレックコレクションはもとはジョワイヤンが所有していたもの。一級のコレクションと運良くめぐり合えたことは一生の思い出になる。

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2011.10.12

‘モダンアート、アメリカン’展でモーゼスおばあさんの絵をみた!

3159_2     グランマ・モーゼスの‘フージック・フィールズの冬’(1944年)

3160_2     ホーマーの‘救助に向かう’(1886年)

3161_2     ホッパーの‘日曜日’(1926年)

3162_2     ブルースの‘パワー’(1933年)

国立新美で開催中のフィリップス・コレクション‘モダン・アート、アメリカン’(9/28~
12/12)のお目当てはオキーフでもホッパーでもなく、モーゼスおばあさん(1860~
1961)。美術館へ足を運んだのはこの農婦が84歳のときに描いた‘フージック・フィールズの冬’をみるため。はじめからこの展覧会は1点買いと決めている。

絵は章立てでいうと7章‘記憶とアイデンティティ’のコーナーに展示してある。冬一色の景色がとてもあたたかく感じられるが、絵のサイズは想像していたものより一回り小さかった。視線が集中するのが海坊主のように大きく蛇行する川と中央の鉄橋を渡る列車。人物も家々も平べったく子どもが描いたような絵だが、なぜか惹きつけられる。この絵を知ったのは今から25年前。次回のワシントン旅行で対面のはずだったが、日本でみれることになった。素直に嬉しい。

もうひとつの収穫はホーマー(1836~1910)の‘救助に向かう’。とびっきりの絵というのではないが、この画家の特徴である動きのある描写に思わず足がとまった。ホーマーの油彩の回顧展と遭遇することを願っているから、1点でもヴァリエーションが増えると心がはずむ。

ホッパー(1882~1967)は2点ある。3年前シカゴ美の回顧展でみた‘日曜日’と‘都会に近づく’。‘日曜日’をみていて、家の前で座っているつるっぱげの男の位置について思いをめぐらした。もし右端、あるいは左端に座っていたらどんないイメージになるか?都会に生きる人間が体験する孤独さはやはりこの絵のように真ん中でないと強く伝わってこない。

NYはまだ3回しか行ったことがないので、この街の風景をあれもこれも知らない。ブルースの‘パワー’ではNYが豊かな近代社会における理想都市として崇高な雰囲気で描かれている。しばらく息を呑んでみていた。

好きな画家オキーフ、ポロック、ロスコはどれも小さくてグッとこない。あまり期待しないほうがいい。これよりローレンスの‘大移動’シリーズの5点のほうが心を打った。展覧会の満足度は◎とはいかないが、モーゼスおばあさんの代表作があったから○とした。

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2011.10.11

愛蔵 美術雑誌&定期刊行本!

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美術とのかかわりが日々の生活に潤いをもたらしてくれるようになると、美術品や作家に関する情報、美術館が実施する展覧会の開催スケジュールを得るためTVの美術番組をみたり美術雑誌や定期的に刊行される美術本を手に入れることに熱が入る。

現在、新聞の広告などで見逃さないようにしているのは新潮社の月間雑誌<芸術新潮>と平凡社の<別冊太陽 日本のこころ>。これまで手に入れたのをあげてみると、
<芸術新潮>
04年2月 ‘円山応挙’
04年5月 ‘中国絵画の極み’
04年10月 ‘岩佐又兵衛の逆襲’
04年11月 ‘マティスの冒険’
05年2月 ‘謎の男マルセル・デュシャン’
05年4月 ‘蕭白がゆく’

05年10月 ‘琳派の七不思議’
05年12月 ‘パウル・クレーの静かな闘い’
06年2月 ‘ひらがなの謎を解く’
06年4月 ‘藤田嗣治の真実’
06年10月 ‘クリムト’
07年11月 ‘天下の狩野永徳!’
08年4月 ‘ヴィーナス100選’

08年7月 ‘ゴヤの「戦争と平和」’
09年7月 ‘ゴーギャンという人生’
10年3月 ‘長谷川等伯’
10年5月 ‘ふしぎなマネ’
11年2月 ‘シュルレアリスムそうだったのか宣言’
11年6月 ‘ワシントン・ナショナル・ギャラリー’
11年7月 ‘青木繁’

<別冊太陽>
04年10月 ‘狩野派決定版’
06年6月 ‘横山大観’
07年3月 ‘桃山絵画の美’
07年12月 ‘江戸絵画入門’
08年5月 ‘河鍋暁斎’

09年12月 ‘柴田是真’
10年2月 ‘長谷川等伯’
11年1月 ‘酒井抱一’
11年4月 ‘長沢芦雪’
11年5月 ‘写楽’

とりあげられる作家やテーマは美術館で開催される回顧展や特別展にシンクロしているから、図録と合わせて読むと情報の厚みがます。どちらも作品の情報が多く、これまで知らなかった作品を見つけるとあらたな追っかけ力が沸いてくる。

この先どの作家が登場するのだろう。‘芸術新潮’は西洋美の‘ゴヤ展’(10/22~
1/29)に合わせてまたゴヤの特集を組む?二度はないか。

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2011.10.10

散歩で街角ウォッチング! 休日に多い走る人・歩く人

3156_2     酒井抱一の‘秋草鶉図屏風’

土日は水泳をし月~金に散歩をするのが一週間の運動ルーチンなので、夕方いつものコースを1時間半ばかり歩いた。驚いたことに平日の3倍くらいの歩く人やジョギングをする人とすれ違う。勝手がちがうのは今日は体育の日でお休みだから。

もう何年も同じコースを同じ時間帯に歩いているから、お馴染みさんの数と顔はおおよそインプットされている。向こうは知らないだろうが、こちらは人の顔を見るのが好きというへんな趣味の持ち主。でも、これほど運動をする人が多いと知らない人ばかりという感じ。

仕事をしている人は平日に運動をする時間はなかなかとれないから、休日に体を動かしているのだろう。土日は散歩をしないのでこういう状況はわからなかったが、ざっと見た感じでは走っている人は30代、40代が多い。女性も結構いる。男女の割合は6:4くらい。夫婦で走っているのもよくみかける。

シニアウォーカーでも最近は夫婦組が増えてきた。わが家でも30分は隣の方が横を歩いている。毎日ではないが、ある場所に来ると特異な存在感を発揮している高齢のペア(80歳くらい)に出くわす。羨ましいくらい元気がいい。

お二人は大きな声で周りを気にせずぺちゃくちゃしゃべりながらお歩きになる。まさに似た者夫婦。どうでもいいことだが、おしゃべりの人は社交的だから人の顔をよくみる性向がある。この方たちも例にもれずこちらをじっとご覧になる。

今日はどういうわけか歩道の脇や横の崖に茂る薄をしげしげとみた。身近な草木では薄が一番秋を感じさせてくれる。画像は酒井抱一の‘秋草鶉図屏風’、千葉市美で今日からはじまった‘酒井抱一展’でまたお目にかかれそう。

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2011.10.09

美術に魅せられて! どの美術番組がお好き?

3155_2

普段の生活の中で美術に接する機会はいろいろあるが、わが家では長年TVの美術番組や文化・歴史番組をみることが展覧会を見に行くのと同じくらい大きな楽しみになっている。その楽しみをさらに膨らませてくれたのが地上デジタル化に伴うTVの切り替え。これまでのお馴染みの番組にBSやCSチャンネルにある魅力的な美術関連番組が加わった。

今、ビデオに収録したり熱心にみているのは、
★日曜美術館 (NHKEテレ)
★美の巨人たち (テレビ東京)
★THE世界遺産 (TBS)
★極上美の饗宴 (BSプレミアム)
★世界遺産・塔シリーズ (BSプレミアム)

★世界の名画~美の殿堂への招待~ (BS朝日)
★BBC地球伝説 (BS朝日)
★日本人こころの巡礼~仏像の祈り~ (BSフジ)
★ぶらぶら美術・博物館 (BS日テレ)

‘日曜美術館’と‘美の巨人たち’がこれまでの美術番組の定番。来週の‘美の巨人たち’は伝ブリューゲルの‘イカロスの墜落の風景’、とても楽しみ。新たな定番にしているのが‘世界の名画’(水曜9時)。みていてわかってきたのだが、この番組は手持ちのソフトが一巡するとまた同じものを流している。オスロ国立美やドレスデン国立美がまたでてきた。

‘BBC地球伝説’は04年に制作されたもの。古代遺跡や歴史物のときは必ずみているが、ときどき美術物をやってくれる。日本の美術史家とは異なる視点で切り込んでいるのが興味深い。

BS朝日は美術文化番組が充実しており、昨日はスペシャルで‘ダ・ヴィンチの指紋’(2時間)。またBSプレミアムでも10月から‘世界遺産 塔シリーズ’がはじまった。

BSプレミアムの‘極上美の饗宴’(月曜9時)は情報が多く見ごたえのある番組。少し前、プライスコレクションを3回にわたって多角的に取り上げていた。今月31日は期待の‘クリムト’。どんな風にみせてくれるのだろうか?

‘仏像の祈り’(BSフジ)は十いくつある話が終了。最初からみてないが、また‘世界の名画’のように間隔をあけて再放送する?この番組はとても丁寧に仏像を語ってくれるのでお気に入りだった。全編ビデオ収録したい。

BS日テレの‘ぶらぶら美術・博物館’は3回みたが、もう終わった?サントリー美の‘あこがれのヴェネチアン・グラス展’はおもしろかった。

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2011.10.08

クロール新泳法で体重1㎏減を達成!

3154今日は毎週土日に行っている水泳の話。

ここ2年くらい体重1㎏減に挑戦しているのだが、今年やっとこれを達成した。

めざした体重は63㎏。身長は170cmちょっとだから、64㎏でなんら問題ないのだが、63㎏にこだわった。

どうでもいいことだが、こだわりの理由はあることはある。減量というのはなかなか思い通りにはいかない。

通常月でもカステラも食べる和菓子も食べるというようにいろいろ誘惑があり、0.5㎏くらいはすぐ太る。で、翌週は甘い物を食べるのを極力控えたりして、いつもの体重64㎏に戻す。体重が一時的にこれ以上に増えるのが海外旅行をしたときとお酒を飲んだり食べる料理が多くなる盆や正月のとき。1~1.5㎏はすぐ増える。

減量をされてる方ならよくおわかりのはずだが、この体重アップの調整には苦労する。必死の努力を続けないとベース体重のラインが上がったままになり、減量のペースが大幅にダウン。63㎏を目標にしているのは、旅行やハレの月に体重がアップしても、
65㎏以内におさまるから。きわめて心理的なもの。

1㎏の減量に成功したのはクロールの泳法を以前よりちょっとキツめにした効果がでたため。泳ぐ時間は1時間。8月までは足をあまりバタバタさせず気楽に泳いでいた。だから、泳いだ後疲れるということはない。トレーニングをするというよりは、体を週2回ほぐしているという感じ。

9月からは30分だけ目一杯足をバタバタさせることにした。これはキツい。でも、目にみえて腹がへこんできた。効果があるのでこの泳ぎ方を続けてると62㎏も射程に入ってくるような気がする。あまり体重を落とすと衣服が合わなくなるのでほどほどにしようと思うが、当面は63㎏をキープしあわよくば62㎏に突入という構えでいる。

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2011.10.07

夢の‘日本美術里帰り展’! 喜多川歌麿

3152_2           ‘当時三美人’(1793年 ボストン美)

3150_2              ‘霞織娘雛形 夏衣装’(1795年ブリュッセル王立美術歴博)

3153_2     ‘吉原の花’(1793年 ハートフォード ワーズワース・アテネウム)

3151_2     ‘月見の座敷図’(1791年 フリーア美)

夢の‘日本美術里帰り展’!の最後は回顧展の開催を首を長くして待っている喜多川
歌麿(1753~1806)。

千葉市美が開館記念展として歌麿の回顧展をしたのは96年の1月、それから15年の月日が流れた。このときは広島にいたので残念ながらみれなかった。で、ずーっと歌麿の回顧展を待ち続けている。そろそろかなと思うのだがまだ情報がない。期待しているのは東博。大北斎展を05年にやり、そして今年がこれまた超一級の写楽展。次はやはり歌麿だろう。

これまでどの浮世絵師の回顧展を体験したか、レビューしてみると、
★鈴木春信:02年山口県立萩美・浦上記念館
★鳥居清長:07年千葉市美
★東洲斎写楽:95年東武美(今は無し) 11年東博
★葛飾北斎:93年東武美 05年東博 07年江戸東博 08年日本橋三越 
        10年太田記念美
★渓斎英泉:97年太田記念美
★歌川広重:97年太田記念美 06年千葉市美 07年神奈川県歴博
★歌川国芳:96年下関大丸 97年サントリー美 04年東京ステーションギャラリー 
        10年府中市美 11年太田記念美 

東博の写楽展にびっくり仰天の歌麿の絵が里帰りした。ホノルル美蔵の‘ポペンを吹く娘’と‘難波屋おきた’、そしてギメ美からは‘高島おひさ’、‘物思恋’、‘深く忍恋’。期待する回顧展ではこういう浮世絵の本に載っている絵との対面を夢見ている。

‘当時三美人’はほかの美術館が所蔵するものをいくつかみているが、ボストンの極上の摺りのものをみないと済みにならない。女が透かし物を通してみえる‘夏衣装’に大変魅せられている。このシリーズは3点あるらしい。また、蚊帳のなかで母親が幼児に乳を飲ます場面を描いた‘幌蚊帳’(ニューヨーク市立図書館)にもいつか遭遇したい。

‘吉原の花’と‘月見の座敷図’は肉筆画で‘雪月花’の三幅対の二枚、もうひとつの‘深川の雪’も海外に流出した。08年フリーア美へ行ったとき、‘月見の座敷図’に会えるかと心がときめいたがやはりダメだった。そう上手くはいかない。‘吉原の花’は千葉市美の回顧展のとき展示されている。その華やかな花見の様子に心打たれるが、また里帰りしてくれるだろうか? ミューズにひたすらお願いするほかない。

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2011.10.06

夢の‘日本美術里帰り展’! 浮世絵

3147_2         鈴木春信の‘虫撰び’(1765~70年 大英博物館)

3146_2        鈴木春信の‘縁先美人’(1767年 ギメ美)

3149_2     葛飾北斎の‘蟹尽し図’(フリーア美)

3148_2     歌川広重の‘四季の花尽 朝顔’(1844~48年 ボストン美)

日本の美術品の里帰りといったとき、それを心の底から喜べるのは浮世絵の展覧会。びっくりするほど摺りの状態のいい浮世絵が目の前にずらずらと現れるのだから、これほど楽しいことはない。ここ5年の間に行われた里帰り展は、

06年 ‘ボストン美蔵 肉筆浮世絵展’ (江戸東博)
07年 ‘ギメ美蔵 浮世絵名品展’ (太田記念美)
07年 ‘ヴィクトリア&アルバート美蔵 浮世絵名品展’ (太田記念美)
07年 ‘ミネアポリス美蔵 浮世絵コレクション展’ (松涛美)
08年 ‘ボストン美蔵 浮世絵名品展’ (江戸東博)
08年 ‘浮世絵 ベルギーロイヤルコレクション展’ (太田記念美)

09年 ‘マノスコレクション 写楽 幻の肉筆画展’ (江戸東博)
10年 ‘ハンブルク浮世絵コレクション展’ (太田記念美)
10年 ‘ボローニャ秘蔵浮世絵名品展’ (板橋区美)
11年 ‘ボストン美蔵 浮世絵名品展’ (山種・千葉市美)

そして、今年前半のビッグイベント‘写楽展’も嬉しい々里帰り展だった。主役の写楽だけでなく、歌麿、豊国も一級のものが世界中の浮世絵ブランド美術館や個人のコレクションからやってくるのだから、もう天にも昇るような気分。

浮世絵の人気は衰えることはないから、これからの展覧会にも期待が膨らむ。そんな夢の名品をピックアップしてみた。

里帰りを待ち続けている鈴木春信(1725~1770)の絵が3点ある。大英博が所蔵する‘虫選び’、パリのギメ美の‘縁先美人’と‘見立寒山捨得(墨流し)’。いずれもみたくてしょうがない絵。歌麿同様、春信はミューズに特別の祈りをささげている。

ワシントンのフリーア美にある葛飾北斎(1760~1849)の肉筆画‘蟹尽し図’はとても惹かれるが、遺言によりこれは現地でしかみることができない。08年ここを訪問したときは幸運にも‘雷神図’(拙ブログ08/4/18)と‘玉川六景’が展示されていた。次回は蟹の絵と200%参っている‘富士と笛吹き童子’(06/3/22)との対面が叶うと言うことないが、、果たして?

歌川広重(1799~1858)の描いた花や魚の絵がまだいくつか残っている。その一枚が‘朝顔’。ボストン美名品展の第4弾があるかわからないが、この絵の里帰りを勝手に決めている。

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2011.10.05

夢の‘日本美術里帰り展’! 河鍋暁斎・柴田是真

3142_2     河鍋暁斎の‘ネコとナマズ’(1871年 ゴールマン・コレクション)

3143_2      河鍋暁斎の‘耳長と首長’(1871年 ピーボディー・エセックス博)

3145_2                柴田是真の‘鍾馗に鬼図’(大英博物館)

3144_2           柴田是真の‘瀑布群猿図’(1872年 キンベル美)

江戸の末期から明治にかけて活躍した河鍋暁斎(1831~1889)と柴田是真(1807~1891)の回顧展を運良く08年、09年と立て続けに体験し、その豊かな想像力と高い画技に200%KOされた。

回顧展があるときは関連の本が出版されたりするので、作品情報がぐんとふえる。そうした作品に関心を惹くものを見つけたときから次の追っかけがはじまる。海外に流出し個人の部屋に収まったものや美術館の所蔵となった日本美術は絵画、彫刻などいろいろあるが、日本にあったら国宝や重文に指定されるような琳派作品とか絵巻だと、‘琳派傑作展’とか‘大絵巻展’といったテーマ型の特別展のとき日本にやって来る可能性がある。

これに対し暁斎や是真などは誰でも知っている絵師ではないから、このタイプの展覧会では動きはない。里帰りがあるとすればやはり回顧展のとき。二人の次の回顧展がいつになるかわらないが(だいぶ先だろうが)、そのときお目にかかりたい絵をあげてみた。

暁斎の戯画は魅力いっぱい。‘ネコとナマズ’はまさに‘鳥獣戯画’の延長線にある絵。ネコの絵のほかにおもしろい蛙が登場する絵もある。こういう絵を描かせたら国芳と暁斎(拙ブログ08/5/4)の右にでるものはいない。‘耳長と首長’にはまったく意表をつかれる。首長はよくみるが、耳長はぎょっとした。焼いた餅のように耳が長くのびるという発想はなかなかでてこない。

是真の掛け軸の中から鬼が飛び出てくる絵にぐっと引き寄せられる。同じようなだまし絵で京都の野村美に鯉がとびはねるのがあるが、この鐘馗から逃げる鬼もじつに楽しい。これは大英博物館の所蔵。来春のボストン美の至宝展につづいて、大英博の日本美術コレクションの公開があればまた体が震えるのだが、、

とても気になる‘瀑布群猿図’があるのはアメリカ、フォートワースのキンベル美。ここはカラヴァッジョの‘いかさま師’(10/5/14)をもっている美術館としてインプットされているからすぐ反応する。でも、是真のこの絵をコレクションしているとは思わなかった。

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2011.10.04

夢の‘日本美術里帰り展’! 狩野派

3141_3     狩野山楽の‘花鳥図屏風’(17世紀 ワシントン・フリーア美)

3140_2 狩野山雪の‘長恨歌絵巻’(17世紀 ダブリン チェスター・ビーティー・ライブラリー)

3138_2     狩野芳崖の‘飛龍戯児図’(1884~86年 フィラデルフィア美)

3139_2       橋本雅邦の‘毘沙門天’(1885年 フィラデルフィア美)

ワシントンのフリーア美は宗達の‘松島図’があるので、アメリカにある日本および東洋美術で知られる美術館のなかでは最重要美術館に位置づけている。美術本に載っている作品から所蔵品リストをつくってみると、ぐぐっと惹きこまれる質の高いものばかり。

狩野派では永徳の‘琴棋書画屏風’と山楽(1559~1635)の‘花鳥画屏風’がある。宗達の‘松島図’が展示されるとき、こうした作品も一緒にみられると幸せな気分だが。ワシントンは近くはないので夢の実現は簡単ではないが、公開の機会を粘り強く待ちたい。また、日本で狩野山楽&山雪展が開催されこの花鳥図が里帰りすることがあるかもしれない。何事も希望をもちつづけることは大切なこと。

山雪(1590~1651)は山楽の娘婿。アイルランドのダブリンにこの山雪が描いた‘長恨歌絵巻’というのがあり、2000年にコレクターのチェスター・ビーティー(1875~1968)が晩年、収蔵兼展示のために購入した邸宅(現在はライブラリー)で公開されている。

この絵巻は二巻からなり、ここに描かれているのは玄宗皇帝に寵愛された楊貴妃が反乱軍の兵士たちから自害を迫られる場面。裏彩色が多く使われ鮮やかな色合いや立体感が生み出されているという。一度みてみたい。こういう絵が日本に里帰りすることはないのだろうか?

明治以降に活躍した日本画家のなかで狩野派の流れをくむ狩野芳崖(1828~88)と橋本雅邦(1835~1908)は特別の存在。長いこと追っかけていた芳崖の‘仁王捉鬼図’(拙ブログ06/11/19)と雅邦の‘龍虎図屏風’(10/8/24)を目の中にいれたので、今は満ち足り安らぎモード状態にある。

次の目標はアメリカにある絵。芳崖は‘飛龍戯児図’(フィラデルフィア美)と‘谿間雄飛図’(ボストン美)、そしてフェノロサ指導による最初の作品‘雪山暮渓図’(フリーア美)、雅邦はフィラデルフィア美が所蔵する‘毘沙門天’、‘観音調停’とボストン美にある‘闘牛’。どれも心を揺すぶる傑作。一枚でも多くみたい。

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2011.10.03

夢の‘日本美術里帰り展’! 中国美術

3135_2     徽宗の‘翠竹双禽図巻’(北宋時代 12世紀前半 メトロポリタン美)

3137_2     伝徽宗の‘搗練図(とうれんず)’(部分 北宋時代 12世紀前半 ボストン美)

3136_2         ‘観音菩薩倚像’(宋時代 12世紀 ボストン美)

3134_3       ‘青磁水差し’(北宋時代 11~12世紀 メトロポリタン美)

ここにとりあげた中国の美術品はもともと日本にあったものかは不明だが、傑作の香りがするので日本の絵や彫刻と一緒にやって来てくれることを強く願っている。

6年前、名古屋ボストン美で幸運にも徽宗(1082~1135)の‘五色鸚鵡図’(拙ブログ05/11/15)をみることができた。これと同じような雰囲気をもつ花鳥画がNYのメトロポリタン美にある。それは‘翠竹双禽図巻’。08年に訪問したとき必見リストを握りしめて中国コーナーに急いだのだが、残念ながら展示されてなかった。なんとかリカバリーしたい。

ボストン美にある絵の名前の‘搗練(とうれん)’は生絹を練って光沢のある絹をつくること。描かれているのはこの作業の最後の行程で、炭火を入れた火熨斗でしわをのばしているところ。これは宮女たちの伝統の行事で、唐時代の作品を参考にして描いている。図版をみているだけでも鑑賞欲がぐっと刺激される。今中国の宮廷画でターゲットにしているのはこの絵と台北の故宮博物院にある‘宮楽図’(唐時代)。

北京にある故宮博物院はまだ訪問していない。17年前中国旅行をしたときは紫禁城をみるお決まりの流れだから、ここの見学は時間のなかに入ってない。ところが、今ではどのツアーも故宮のお宝をみることになっている。次回は至宝の数々が楽しめそう。そのなかで最も気になっているのがボストン美蔵の‘観音菩薩倚像’のように立てた右膝で右腕を支えるポーズをとる‘観音菩薩坐像’(宋時代)。どちらを先にみることになるだろうか?

メトロポリタンにある青磁の水差しに大変惹かれている。こういう鋭い彫り模様がオリーブグリーンの釉に映える北方青磁をみる機会は滅多にない。‘ボストン美 日本美術の至宝展’があれば、次は‘メトロポリタン美の日本・東洋美術名品展’を期待したくなる。そうすると、この青磁の名品とも対面できるのだが。

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2011.10.02

夢の‘日本美術里帰り展’! 絵巻・風俗画

3133_2     ‘天神縁起絵巻’(13世紀後半 メトロポリタン美)

3132_2     土佐広周の‘天雅彦草紙絵巻’(15世紀中頃 ベルリン国立アジア美)

3131_2     ‘遊楽人物図屏風’(17世紀 ワシントン・フリーア美)

3130_2     ‘文使い図屏風’(17世紀後半 プリンストン大美)

海外に流失した日本美術のなかで日本にあったら即国宝に登録されるお宝が来春日本にやってくる。それはボストン美が所蔵する‘平治物語絵巻・三条殿夜討巻’と‘吉備大臣入唐絵巻’、二つが一緒に里帰りしてくれるのだから盆と正月が一度にやってくるようなもの。最高に嬉しい。

美術本に載っている絵巻でいつか遭遇したいと願っているのはこのビッグな二点のほかにもう二点ある。‘天神縁起絵巻’はメトロポリタン美の図録に入っているが、まだ日本美術コーナーで実際に対面する幸運に巡りあわせてない。常時展示されないのは日本の美術館と同じ。だから、現地を訪れたとしても必ずみれるとは限らない。

これは鎌倉時代にいくつもつくられた天神縁起絵巻の一つで、高僧の日蔵(にちぞう)が地獄の洞窟に入ろうとする場面が描かれている。日蔵は吉野の金峯山(きんぷせん)で修行中に突然亡くなるが、菅原道真の霊に案内されて冥界(六道)めぐりをする。この絵の前に立つ機会があるだろうか。

‘天雅彦草紙絵巻’をはじめてみたとき目が点になった。右では赤鬼が赤い衣装に身とつつんだ娘と話をしている。そして左にも同じ娘が描かれている。その間になにやら虫の大群が斜めに垂れた帯のように地面を動めいている。目を画面に近づけるとこの虫の正体がわかる(拡大図で)。そう、蟻!

蟻たちは何をしているのか?この図版ではでてこないが左端に米倉があり、その米を一粒々上の別の倉に運んでいるのである。この絵巻は長者の美しい娘と天に住む貴公子、天雅彦が結ばれるという七夕伝説を題材にしたもの。天雅彦の父は怖い鬼。この鬼が意地悪をする。二人は一年に一回しか会えないというのに、娘に難題をふっかける。

‘千石の米を一粒残さず別の倉に運んでくれたら、息子との再会を許してやる’。娘を助けたのが蟻、‘さあー、皆で米を運ぶか、こんなの俺たちにとっちゃー朝飯前さ’、やさしい蟻たちだねぇー、エライ。この絵は08年郡山市美で開催された‘ベルリン国立アジア美蔵 日本美術名品展’で里帰りしていた!うかつにもこの展覧会はNOタッチ。惜しいことをした。

海外には気をひく風俗画がいくつかあるが、一度みてみたいのはプリンストン大美とフリーア美にあるもの。フリーアの‘遊楽人物図’は京都の細見美でみたものの別ヴァージョン。登場する人物はともに同じポーズで描かれているが、着物の柄や色とグルーピングされた人物の配置の仕方が異なっている。

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2011.10.01

夢の‘日本美術里帰り展’! 仏画・水墨画

3127_2     ‘法相曼荼羅’(鎌倉時代 ボストン美)

3129_3              ‘五百羅漢図’(南宋時代 1178年 ボストン美)

3128_2     雪舟の‘三教図’(15世紀 ボストン美)

3126_2     雪村の‘龍虎図屏風’(16世紀前半 クリーブランド美)

9/25に終了した東博の大イベント‘空海と密教美術展’で曼荼羅図の最高傑作をずらずらとみて、仏画の世界にまた浸りたくなった。これまで一生の思い出となる仏教美術展を2回体験した。いずれも奈良博で開催されたもので、‘日本仏教美術名宝展’(95年)と4年前あった‘美麗 院政期の絵画’。

これにボストン美から日本なら国宝級のお宝仏画が里帰りした。名宝展に出品されたのは4点。16年前のことだから記憶があいまいだが、全部みたという実感がないから、一部は展示替えですれ違いだったかもしれない。

そのリカバリーを果たしたいのが‘法相曼荼羅’。来年の3月、東博で開かれる‘ボストン美 日本美術の至宝展’には日本初お目見え?の‘釈迦霊鷲山説法図’がやってくる。これはかつて東大寺・法華堂の本尊として祀られていた曼荼羅図。‘法相曼荼羅’も連れだってくる?

2年くらい前?奈良博で大徳寺蔵の‘五百羅漢図’が全幅展示されたが、出かける元気がなく見逃した。4、5点別の展覧会で体験したことがあり全部はまあいいかという感じだったのだが、この先まとまってでてくるのは20年後くらいになることを思えば、ちょっぴり後悔している。ボストン美にある10幅はもとは大徳寺が所蔵していたもの。至宝展に入っているか、それともお休み組か?

海外の美術館におさまっている水墨画で気になっているのは雪舟(1420~1506)の若い頃の作品‘三教図’と雪村(1500年ころ~1585年ころ)の‘龍虎図’。広島に住んでいたとき、山口県美で行われた雪村の回顧展(02年)を体験した。

クリーブランド美が所蔵する‘龍虎図’はこのときの図録に掲載された参考図版によりその存在を知った。龍の絵はいろいろみたいので以来対面を夢見ているが、縁遠い感じのまま。これを目のなかにいれたら、雪村は済みマークがつけられるのだが、これからが長い。

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