こんなはずではなかった‘ドニ展’!
損保ジャパン美で行われている‘モーリス・ドニ展’(9/10~11/13)をみてきた。損保ジャパンの西洋画展はこれと‘セガンティーニ展’(11/23~12/27)に○印をつけていたのだが、ドニ展は当てがはずれた。
フランス象徴派のドニ(1870~1943)の回顧展を体験するのははじめて。だから、ドニの画業を通観できるものがベスト。ところが今回は子どもや家族が描かれた作品にスポットを当てている。昨年あったオルセー展にやってきたドニの絵は7点(拙ブログ10/6/13)、抽象画風のもの、平板で装飾的なドニらしい絵、そして女性の肖像画。
オルセーにある一級の作品をみてしまったので、回顧展もこういう作品で構成されるものと期待していた。ここに集まった作品の質が低いというのではない。ただ、赤ん坊や子どもの絵、そして聖母子のような絵がこれだけ並ぶとちょっと飽きちゃうのである。ドニは象徴派の画家だから、その装飾的ですっきりした画面構成の絵が出品作の7割占めないと印象が薄くなる。
足がとまったいい絵が3点はあるから、展覧会の満足度は○と◎の間。長くみていたのはチラシに使われている‘家族の肖像’。お母さんのやさしいまなざしとテーブルにある果物をとろうとしている女の子の愛くるしい笑顔にとても惹かれる。また、子どもに眩しいほど強い光があった‘子どもの身づくろい’と‘バルコニーの子どもたち’にも思わず頬がゆるむ。
‘家族の肖像’とともに大きな収穫だったのが鮮やかな色調が目にとびこんでくる‘ボクシング’。一見するとアンリ・ルソーの手前に人物が大きく描かれた絵を連想させるが、ここには動きがありお兄ちゃんと妹は元気いっぱいにボクシングで遊んでいる。
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