東博浮世絵エンターテイメント! ‘木曾街道六捨九次’(後半)
英泉・広重合作の‘木曾街道六捨九次’の後半の35枚(薮原から大津まで)が現在、東博の浮世絵コーナーで展示されている(8/23~9/19)。
街道物のような揃い物は‘東海道五捨三次’でも第二弾の‘木曾街道六捨九次’でも全部を一堂に会してみると、単発でみるよりずっと大きな感動が得られる。35枚はそれぞれ旅の趣がありとても味わい深い。前半(拙ブログ8/18)同様、足がとまったのをいくつか。
歌川広重(1797~1858)の‘上ヶ松’は画面の左、垂直に落ちる滝の光景を橋の上にいる旅人と一緒に眺めているような気になる。川の水流の描き方はモザイク的だが、その刺刺しいフォルムは渓斎英泉(1791~1848)が描いた‘野尻’(06/9/19)にでてくる伊奈川とよく似ている。
この木曾街道シリーズには対象がシルエットで描かれたものが6点ある。‘須原’は‘宮ノ越’(6/1)とともにいつもシンミリさせられる。巧みなのが斜めの雨の線と中景の人物と馬のシルエット。突然の夕立のあわただしさをよく伝えている。
雪一色の画面が心をとらえて離さない‘大井’は広重の全作品のなかでお気に入りの上位にあげている絵。ほかの絵とはちがい旅人の顔はなく、人物、馬、松、背後の山が意匠化され雪の情景が装飾的に表現されている。
後半で英泉の描いたのは5枚。長良川の鵜飼は一度体験したことがあるから、‘河渡’に見入ってしまう。川は青のグラデーションをきかせており、鵜が水面にもぐり魚をとる様子がじつにリアル。漁は順調のようで篝火を焚き鵜を操る鵜匠も満足そうな顔をしている。
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