個人コレクション 夢の傑作選!(10)
アンリ・ルソーの‘ジョゼフ・ブリュメルの肖像’(1909年)
ルオー(1871~1958)の絵は出光美と汐留ミュージアムへ定期的に出かけているので、西洋画家のなかでは慣れ親しんでいる画家といえる。でも、手元の画集に載っている油彩でこれまでみたのは2割しかない。だから、代表作の見たい度はほかの画家の倍以上ある。
昨年パリのポンピドーセンターを訪問したとき、追っかけ画の‘見習い職人’や‘鏡の前の女’はまたしても姿をみせてくれなかった。また、08年のアメリカ美術館めぐりでも、必見リストに載せていたシカゴ美とボストン美蔵の作品にも会えずじまい。パリあたりでどーんと大ルオー展があればこれまでの状況を一気に変えられるのだが、今のところそういう情報は入ってない。
横顔の人物像に深い精神性がうかがえる‘最後のロマン主義者’は同じ構図で描かれた‘老いた王’(ピッツバーグ カーネギー協会蔵)とともに大変魅せられている。この2点は夢の絵で終わりそうだが、ボストン美にある横向きの‘ピエロの頭部’は望みがあるので、鑑賞の時をを静かに待ちたい。
ドイツ表現主義の画家グロスの絵を連想させるブラマンク(1876~1958)の‘酒場の女’は強いインパクトをもっている。映画の酒場のシーンではこういうふてぶてしい顔をした女が必ずいる。ブラマンクの風景画はあまり惹かれないのだが、この人物画は昔から気になっている。
アンリ・ルソー(1844~1910)の作品で惹かれているのは幻想的な熱帯風景を緑いっぱいに描いたものと正面向きの人物が手前にどんといる絵。‘ジョゼフ・ブリュメルの肖像’はルソー最晩年の作品。背景の草木の描写はジャングルの一部をもってきた感じ。
レジェ(1881~1955)の‘オレンジ色の人物’は一度みてみたい絵。レジェというと人間をオブジェ化し、キューブのような形で表現するというイメージがあるが、この絵ではそれがやわらぎ、マティスがのびやかな線で描いた女性の素描画をみているような気がする。
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