フィレンツェの忘れもの ドナテッロ!
フィレンツェは昨年行ったばかりなので次はすこし間があくかもしれないが、どこを中心にまわるかはもう決めてある。そのひとつがドゥーモの裏のところにある付属美術館。前回は生憎工事のため閉まっていた。
ここは最初の訪問のとき入館し、ミケランジェロの‘ピエタ’を目に焼き付けた。彫刻でもう一点よく覚えているのは髪がびっくりするほど長い‘マグダラのマリア’。これはとてもインパクトのある作品だから忘れようがないが、これをつくった彫刻家ドナテッロ(1387~1466)の印象はミケランジェロと比べると分が悪いのは否めない。だから、ほかの作品の記憶はまったくとんでいる。
で、27年前のリカバリーを果たそうと意気込んでドゥーモへ。ところが開いてなくガックリ。どうしてもみたいのは異様な頭部をした‘ハバクク’。強烈な印象を与える顔である。この彫像は当時市民からはズッコーネ(かぼちゃ頭)の愛称で親しまれていたという。
付属美にはもうひとつ見逃せないものがある。それはドゥーモ内に設置されていた装飾彫刻の‘聖歌壇’。長い大理石から彫り出されたプットーの生き生きとした踊りをじっくりみてみたい。
ドナテッロのリアリズムを極めた作品のすばらしさはバルジェロ国立博物館で体験した‘ダヴィデ’や‘聖ゲオルギウス’(拙ブログ10/2/17)で腹の底から実感した。何人かの彫刻家によってつくられた聖人像のあるオルサンミケーレ聖堂へ行ったかどうかは記憶があいまい。建物の四方に穿たれたくぼみに置かれた‘聖マルコ’(現在はレプリカ、本物は聖堂の中に展示)はドナテッロが制作したもの。これもみごたえがありそう。
昨年11月、ロンドンのヴィクトリア&アルバート美でみたドナテッロの浅浮彫に大変魅了された。で、サン・ロレンツォ聖堂の聖具室にある浅浮彫のブロンズの小扉もみたくなった。ドナテッロは二つ制作し、‘12使徒’と‘殉教者’が表されている。これらと対面するのがとても楽しみ。
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