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2011.07.31

いつか行きたい美術館! ミュンヘン 州立近代美

2918_2         マグリットの‘アクロバットの練習’(1928年)

2920_2     クレーの‘光とその他のもの’(1931年)

2919_2     マルクの‘ティロル’(1913~14年)

2917_2     ベックマンの‘誘惑’(1936~37年)

ミュンヘンを訪れたのは今から28年前。当時、美術に対する関心はごく普通の観光客のレベルだったので、ここにカンディンスキーの抽象画を所蔵するレンバッハハウス美や印象派などの近代絵画を展示するノイエ・ピナコテークがあることは知る由もなく、訪れたのは古典絵画がみられるアルテ・ピナコテークの1館だけ。

この古典絵画館で最も目にやきついているのがバロック絵画の巨匠ルーベンスの絵。とにかく大きな絵が部屋にどーんと飾ってあった。ほかはやはりドイツの画家デューラーとクラナハ。そして、画面が兵士でびっしり埋まったアルトドルフィーの‘アレクサンドロス大王の戦い’も忘れられない。これに対し、ダ・ヴィンチとラファエロの絵の記憶はほとんど消えかかっている。

次のミュンヘンでは、忙しくなりそう。まわる順番は今から決めている。まず、ノイエ・ピナコテークへ行きマネの‘アトリエの昼食’やゴッホのひまわりなどをみる。そのあとアルテを再訪し、次に念願のレンバッハハウスをめざす。ここでカンディンスキー、クレー、マルクを楽しんだら、すぐ近くにある古代彫刻美へ寄り追っかけ彫刻‘バルベリーニのファウヌス’と対面する。

そのあと足を運ぼうと思っているのが20世紀初頭から現代までの絵画と彫刻を展示するバイエルン州立近代美。こうした美術館群をみると、ミュンヘンがパリやロンドン、NY、マドリード、ベルリン同様、すばらしい芸術都市であることがよくわかる。

街の東のほうにある州立近代美が所蔵する作品の情報はあまりない。ここにあげたマグリット、クレー、マルク、ベックマンのほかにはファイニンガーやポップアートのウォーホルなども手元の美術本に載っていた。ウォーホルがあるのだから現代アートのいいものをコレクションしているような気がする。

4点はいずれも見たい度の高い絵だが、なかでもベックマン(1884~1950)の絵は興味深々。10点描かれた三幅対作品はこれまで1点しか体験してないので、NYの
MoNAにある‘夜’とここの‘誘惑’は是非みてみたい。

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2011.07.30

いつか行きたい美術館! ケルン ヴァルラフ=リヒャルツ美

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2914_2     ゴッホの‘パラソルをさした婦人とはね橋’(1888年)

2915_2            ルノワールの‘婚約者たち’(1868年)

2916_2     ルーベンスの‘聖家族’(1632~34年)

海外の美術館をめぐる旅は今は旅行会社の団体ツアーのなかで自由行動がとれるものに乗っかって行っている。楽しみたい名所観光はまだいくつか残っているので、当分はこのスタイルを続け、徐々に美術館訪問だけに特化した個人旅行に切り替えようと思っている。

個人旅行でないとお目当ての美術館へいけないのはスイスとドイツ。スイスについてはチューリッヒに滞在して有名なバーゼル美やチューリヒ美などをまわるというおおよそのイメージができあがっている。これに対してドイツは行きたい美術館は固まってきているのだが、どこの都市を拠点にし、どういう交通手段でいくかは見当がついてない。ころあいをみて一度旅行会社に相談してみるつもり。

これまでドイツの美術館をいくつかとりあげたが、一度行ったことのあるケルンにはルートヴィヒ美(拙ブログ5/9)のほかにもうひとつ画集などにでてくる美術館がある。それはヴァルラフ=リヒャルト美。といっても、情報は少なくケルンのどこにあるかも知らない。

ゴッホ(1853~1890)の画集にはアルルで描かれたはね橋が5点載っている。その時期は1888年の3月から5月。最も有名なのがオッテルローのクレラー=ミュラー美の至宝‘アルルのはね橋’(09/4/12)。これについで惹かれるのがヴァルラフ=リヒャルトにあるもの。この2点はなんとしてもみたい。

ゴッホの絵同様、ルノワール(1841~1919)が若い頃描いた‘婚約者たち’も必ず画集でお目にかかるから、もうみたような気になっている。いまのところ印象派の情報はこの2点のみ。モネやマネ、セザンヌなどもコレクションしているのだろうか?

古典絵画ではルーベンス(1577~1640)の絵があるようだ。‘聖家族’のようないい絵があるということはサプライズの作品がほかにもあるかもしれない。この美術館の情報を少しずつ集めることにした。

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2011.07.29

いつか行きたい美術館! ミュンヘン レンバッハハウス美

2911_2     カンディンスキーの‘多彩な生活’(1907年)

2912_2     カンディンスキーの‘即興:峡谷’(1914年)

2910_2     カンディンスキーの‘赤い点2’(1921年)

2909_2     カンディンスキーの‘様々な部分’(1933年)

ミュンヘンにあるレンバッハハウス美の改装工事は計画通りに進んでいれば来年の夏に終了する。これとも絡んでくるドイツ美術館めぐりはA社の団体ツアー旅行を利用してベルリン、ミュンヘン、ドレスデンの再訪をもくろんでいる。

旅行の計画をたてるのは楽しいことなのだが、時期について来年の春にするか、新装レンバッハハウスが完成する夏以降にするかで迷っている。というのは、今考えているツアーはベルリンとミュンヘンに連泊するので一日自由行動をするのに理想的な行程。でも、これが来年の秋にもあるのか心配なのである。

旅行会社がつくるツアーはイタリア旅行のような超人気のものを除いてわりと短期間にマイナーチェンジをする。このコースはもう3年くらい続いているので行程が変更になる可能性は充分ある。そのリスクがあるので、ベルリンの美術館めぐりを優先して春にでかけておきたい気もする。そして、レンバッハハウスはまた別の機会に訪問する。コースの寿命いかんなのだが、このあたりの判断が悩ましいところ。

昨年三菱一号館美で行われた‘カンディンスキーと青騎士展’(拙ブログ10/12/14)で、カンディンスキー(1866~1944)の有名な‘印象(コンサート)’やマルクの代表作の‘虎’をみることができた。まだお目にかかってないレンバッハハウス蔵のカンディンスキーの絵のなかで、現地で是非みたいのはここにあげた4点。

初期の作品では‘多彩な生活’。この絵は96年セゾン美(今は無し)であった‘カンディンスキー&ミュンター展’にもやってこなかったから、館の自慢の絵なのだろう。いい絵ほど出したがらない。祖国ロシアの風物をテーマにした絵でお気に入りはこの絵と日本で展示されたことのある‘花嫁’(三菱一号館美)と‘馬上の2人’(森美術館)。

残りの3点はカンディンスキーが抽象画への道をつき進んでいく過程がみてとれる作品。最も惹かれるのはパリに滞在していたときに描かれた‘様々な部分’。

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2011.07.28

3度目の‘歌川国芳展’も大盛況!

2907_2     ‘大山石尊良弁滝之図’(部分、1819年)

2906_2     ‘道外獣の雨やどり’(1842~43年)

2908_2     ‘其のまゝ地口猫飼好五十三疋’(1848~49年)

2905_2     ‘有卦福曳の図’(1858年)

太田記念美で本日まで行われていた‘歌川国芳展’の後期(拙ブログ7/16)は7/20~28に15点でてきたので、また足を運んだ。館内は大入り満員。マルチ浮世絵師、国芳(1797~1861)の描くユーモアにあふれる絵や寄せ絵、猫の絵などが多くの人たちの心をとらえていることを実感した。

最後の絵は後期出ずっぱりだったが、ほかの3点は7/20から展示されたもの。画面いっぱいに大勢の人が描かれた大山詣の絵は滝の光景と人々の喧騒ぶりが目にやきつく。こういう活気のある絵をみると元気がでる。

猫の五十三次の絵はまったくおもしろい。画像は左の部分だが、赤枠のなかに日本橋から京まで五十三次の駅名、その隣に語呂合わせの文字、そしてそれに似合う動作をした猫が描かれている。国芳は猫を可愛がっていたから、どんなしぐさや動きでも描ける。

筆がたつうえに誰も思いつかない語呂合わせの遊びで人々を猫ワールドに惹きこむのだから、国芳は一級のエンターテイナー。語呂合わせの例をひとつふたつ。草津→こたつ、草津の湯よりこたつの上、猫がこたつの上で丸くなっている。最後の京→ぎゃう、虎猫が捕らえたネズミにぎゃうと悲鳴をあげてさせておしまい。

英一蝶の‘雨宿り’を動物たちでパロッた絵も見入ってしまう。雨が止むまで一旦商売はお休み。でも左のほうでは狸がしっかり茶釜でお茶を売っている。狸といえばまた大きなものを5点楽しませてもらった。

みているだけで福がやってきそうな感じがするのでありがたくみたのが‘有卦福曳図’。大きな頭をした福禄寿がいて福助がいて、背景には富士山と鶴。縁起のいいモチーフが沢山描かれているので、これから7年間は福が続くか。絵のなかだけでも夢をみていたい。これも絵力。

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2011.07.27

ミューズのお誘い‘濱田庄司スタイル展’!

2902_2            ‘ガレナ釉蓋壺’(1922年)

2904_2            ‘飴釉青白流掛大鉢’(1970年代)

2901_2            ‘柿釉丸紋大平鉢’(1959年)

2903_2            ‘呉州赤絵鉢’(1968年)

先月三井記念美で‘橋ものがたり’展をみたとき、偶然新橋のパナソニック電工汐留ミュージアムで‘濱田庄司スタイル展’(7/16~9/25)が開催されることを知った。1年前ひょんなところから回顧展の情報を得て栃木県美(拙ブログ10/6/18)まで足をのばしたが、またまたミューズに助けてもらった。

汐留ミュージアムは工芸関連の企画展をよくやってくれる。2,3年前はリーチをとりあげ、今度はリーチと一緒に英国に行った濱田庄司(1894~1978)。作品は84点、これに濱田が集めた朝鮮や中国、日本のやきものなどが15点。ほかにもよき生活をおくるため濱田が愛用した家具やラウンドチェアなどが展示されている。

作品の大半は益子参考館が所蔵するもの。ここへは一度訪問したことがあるが、展示室のスペースの関係で展示作品の数は限られている。だから、この展覧会のおかげで濱田作品のヴァリエーションがさらに増すことになった。腹の底から嬉しくなるのが図録。現地では図録は用意されてなかったから、これはありがたい。しかもその編集ぶりはなかなかのセンス。

‘ガレナ釉蓋壺’は濱田が3年間滞在したイギリスの西南端コーンウォール地方の港町、セント・アイヴスでつくられたもの。イギリス伝統のスリップウェアの技法が使われている。ふっくらした丸い形にとても魅せられた。

濱田のやきものをみる楽しみは大鉢。3点ある、勢いのある流掛が2点と柿釉の地に丸紋をつくりそこに黍文を描いたもの。もう一点、これより少し小さいが明る白と緑の線の対比が印象深い‘刷毛目鉄絵大皿’にも足がとまる。

大鉢とともに体が自然に寄っていくのが赤絵の作品。全部で9点あった。そのなかでとくに惹かれたのがモダンな意匠で装飾された‘呉州赤絵鉢’。これはほかの食器などとともにテーブルに置かれ、実際の生活のなかで使われていた様子が再現されていた。

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2011.07.26

天才画家 青木繁の大回顧展!

2898_2     ‘大穴牟知命’(1905年)

2899_2            ‘女の顔’(1904年)

2900_2     ‘春郊’(1909~10年)

2897_2     ‘朝日’(1910年)

最近ご無沙汰しているブリジストン美へ出かけ開催中の‘青木繁展’(7/17~9/4)をみてきた。青木繁(1882~1911)の代表作‘海の幸’(拙ブログ05/9/27)をはじめ名画の数々を所蔵するブリジストンが行う回顧展だから、展示内容は申し分ない‘青木繁 全部みせます!’スタイル。まさに没後100年に相応しい大回顧展である。

油彩は70点、ほかに水彩・素描が170点でている。03年東近美であった回顧展を体験したり福岡市美やウッドワン美を訪問し画集に載っている作品はだいたいみているが、初見の肖像画や旧約聖書物語挿絵や風景画などに遭遇したので収穫の多い展覧会となった。

古事記や日本書紀を題材にした作品のなかでとくに惹かれているのは‘わだつみのいろこの宮’(05/7/19)と‘大穴牟知命’と‘日本武尊’。大穴牟知命はイナバの白兎で知られる大国主命のこと。描かれているのは兄弟の陰謀にあい死んだ大穴牟知命を2人の女神が蘇生させる場面。

右のウムカイヒメ(蛤の女神)の目力がすごい。宗教画に慣れ親しんでいるヨーロッパの人でもこの緊張感につつまれる日本流宗教画をみたら心打たれるのではなかろうか。この女神のモデルとなったのは青木繁が愛した福田たね。とても気に入っている‘女の顔’もたね。この‘女の顔’は誰かに似てない?女優の天海祐希!この絵をみるたびに天海がダブってくる。

03年の回顧展のとき驚いたのが海の絵。モネ大好き人間だからすぐ反応し、モネがこの波をみたら裸足で逃げるなと思った。今回もハッとする絵があった。それは‘春郊’、瞬間的にカンディンスキーがムルナウで描いた風景画が目の前をよぎった。色をもう少し強くすると、それこそカンディンスキーの絵と区別がつかなくなる。参りました!

風景画では‘月下滞船図’にも足がとまる。そして、思わず声が出そうになるほどすばらしいのが‘朝日’(絶筆)。海の表情は決して穏やかではないが全体の雰囲気はとても静か。立ち尽くしてみていた。ミュージアムショップで買った図録は青木繁の決定版。宝物を手に入れたような気分で館をあとにした。

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2011.07.25

ギリシャ神話本レビュー!

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西洋古典絵画に描かれる主題はキリスト教の話とギリシャ神話が中心。だから、絵画に接しているとキリスト教徒でもないのにイエス・キリストやマリアの物語が目学問(My造語)によりある程度理解が進み、そしてギリシャ神話に登場する神々や英雄たちの物語についてもイメージができあがってくる。

知識欲というのはそのテーマに関心が深ければいやおうなしに増殖していく。でも聖書を引っ張りだしてきて読もうという気にはなかなかならない。それに対して、ギリシャ神話は人間臭い話が多いから、この本を読んだらあの本を読んでみようというようにだんだんギリシャ神話の世界に嵌っていく。

ギリシャ神話の本はある時期集中して相当数読んだので、神話の森の骨格となる木々についてはおおよそ頭のなかに入った。そのなかからお奨め本をピックアップしてみたので、関心のある方は参考にしていただきたい。

★ホメロス‘イリアス’(岩波文庫)
★ホメロス‘オデュッセイア’(岩波文庫)
★ヘシオドス‘神統記’(岩波文庫)
★オウィディウス‘変身物語’(岩波文庫)

注書きなども読み込むと時間がかかるが、この4点はギリシャ神話の全貌をつかむには欠かせない基本原典。古代ローマに書かれたオウィディウスの‘変身物語’はルネサンス以降の画家がギリシャ神話を題材にして描くとき必ず読んだ本。読み出すと夢中になる。

原典以外のギリシャ神話本は沢山でている。ダイジェスト版や詳細版、地図入り、絵画やアンフォラ入りのビジュアル本などいろいろある。気軽に読めておもしろいのをあげてみると、
★阿刀田高‘私のギリシャ神話’(集英社文庫 02年12月)
★楠見千鶴子 ビジュアル版‘ギリシア神話物語’(講談社 01年11月)
★豊田和二 図解雑学‘ギリシア神話’(ナツメ社 02年8月)
★マイケル・マクローン 知のカタログ‘ギリシア・ローマ神話’(創元社 00年9月)
★コレット・エスタン‘ギリシアローマ神話ものがたり’(創元社 92年7月)

ギリシャ神話を一から十まで知りたい方にお奨めなのは、
★K.ケレーニイ‘ギリシアの神話 神々の時代/英雄の時代’(中公文庫 85年4月)
★T.ブルフィンチ‘ギリシア神話と英雄伝説’(講談社学術文庫 95年2月)
★呉茂一‘ギリシア神話’(新潮文庫 69年10月)

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2011.07.24

ギリシャ神話を題材にした傑作彫刻!

2889_2     ‘アルテミシオンのポセイドン’(前450年 アテネ国立考古博)
 
2891_2       ジャンボローニャの‘メルクリウス’(1580年 バルジェロ国立美)

2890_2  チェッリーニの‘ペルセウス’(1545~53年 フィレンツェ ロッジャ・デイ・ランツィ)
2892_2     ‘キマイラ’(前380~360年 フィレンツェ考古博)

今日はこれまでみた彫刻作品のなかからギリシャ神話を題材にした傑作をとりあげてみた。

ブロンズを素材にしたギリシャ彫刻に魅了されているが、これまで体験したものは本当に少ない。そのなかで最も感動したものはアテネの考古博物館にある‘アルテミシオンのポセイドン’。両手を肩の高さにあげ左手前方をみつめる雄々しいポセイドンorゼウス?の姿を立ち尽くしてみていた。このクラシック時代につくられた傑作がアルテミシオン岬で発見されたのは1928年。まだ百年も経っていない。

海を支配した神ポセイドンが重々しく威厳にみちているのに対し、伝達の神メルクリウスは腰の軽さが身上。マニエリスム彫刻をてがけたジャンボローニャ(1529~1608)にかかるとメルクリウスはブロンズの重さをまったく感じさせず天空でバレエを踊っているよう。こういう軽快で美しい彫刻は部屋に飾っていつもながめていたくなる。昨年、フィレンツェのバルジェロ国立美でこの作品が目の前に現れてくれたときは飛び上がるほど嬉しかった。

カッコいい彫刻の極め付きがチェッリーニ(1500~1571)の‘ペルセウス’。これはフィレンツェのシニョーリア広場を取り囲んでいるロッジャ(回廊)に飾られている。政庁舎ヴェッキオ宮殿前のミケランジェロ作‘ダヴィデ像’(複製)とともに、この傑作に足を止められる方も多いのではなかろうか。

このブロンズ彫刻をみたら、ギリシャ神話にでてくる英雄ペルセウスが怪物メドゥーサを退治する話がすぐ体で理解できる。ペルセウスの顔は美形だか、見る者を石に変えるメドゥーサも口が大きく裂けたグロテスクなイメージとは違ってなかなかの美人。だから、刎ねられたばかりの血がしたたり落ちる生首を腰は引き気味だがしっかりみてしまう。

フィレンツェの考古博物館にある‘キマイラ’は前回時間がなくてみれなかった。これは古代エトルリアでつくられたもの。第2弾の彫刻めぐりでは必見リストの上位に載せているので、ライオン、山羊、蛇の3つの頭を最接近してみようと思う。

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2011.07.23

ギリシャ神話の絵画 傑作選! その3

2887_2 ピエロ・ディ・コジモの‘ペルセウスのアンドロメダ救出’(1510年前後 ウフィツィ美)

2888_2     ポライウォーロの‘ヒュドラと戦うヘラクレス’(1460~70年 ウフィツィ美)

2886_3            モローの‘キマイラ’(1867年 フォッグ美)

2885_2 ドレイパーの‘オデュッセウスとセイレン’(1909年 ファレンス・アート・ギャラリー)

西洋絵画ではルネサンス以降、ギリシャ神話の英雄を主題にした物語画は数多く描かれてきた。フィレンツェのウフィツィ美にはとても印象深い絵がある。

漫画をみてるような気分になるのがピエロ・ディ・コジモ(1461~1521)が英雄ペルセウスがエジプト王の美しい娘アンドロメダを救い出す場面を描いた絵。ここではペルセウスの登場には異時同図法が使われおり、右から飛んできて中央のよだれをたらし舌なめずりをしている怪物今まさに討ちとらんとするところ。この醜い姿をした怪物が忘れられない。

ポライウォーロ(1431~1498)の絵は小品だが、ヘラクレスと9個の頭をもつ水蛇、ヒュドラの壮絶な格闘は躍動感に満ち迫力満点。ヘラクレスの強さを描いた絵のなかではこれが一番グッとくる。この美術館にはもう一点‘アンタイオスと戦うヘラクレス’がある。

パリのモロー美術館へいくとギリシャ神話を題材にした作品がどどっと展示してある。前回の訪問からだいぶ時間が経ったので次回のパリでは寄ってみようと思う。モロー(1826~1898)が1867年に描いた‘キマイラ’はお気に入りの一枚。キマイラというと頭がライオン、胴が山羊、尾っぽが蛇で、口から火を吐く怪物なのに、ここに描かれたキマイラはケンタウロスとペガサスを合体させた感じ。獰猛さは微塵もなく、その顔はとても美形に描かれている。女性が惹かれるのも納得。

オデュッセウスの帰還物語にはおもしろい話がいくつもでてくる。オデュッセウスが上半身が女、下半身が鳥の怪物セイレンに誘惑される場面を描いたドレイパー(1863~1920)の絵は映画の一シーンをみているよう。オデュッセウスはキルケの忠告にしたがって自分の体を船の帆柱に縛りつけ耳栓をしていたので、セイレンの甘い歌声に誘われずにすんだ。セイレンのなまめかしい肌が目に焼きついている。

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2011.07.22

ギリシャ神話の絵画 傑作選! その2

2881_2     マンテーニャの‘パルナッソス’(1497年 ルーヴル美)

2882_2     ドメニキーニの‘ディアナの狩猟’(1616~17年 ボルゲーゼ美)

2883_2     プッサンの‘フローラの王国’(1631年 ドレスデン国立美)

2884_2  ルーベンスの‘パリスの審判’(1632~35年 ロンドンナショナル・ギャラリー)

ルーヴルには古典絵画の傑作が数多くあるから、一つの絵にじっくり時間がかけられないという贅沢な悩みがいつもおきる。マンテーニャ(1431~1506)がギリシャ神話を題材にして描いた‘パルナッソス’や‘美徳の勝利’はできるだけ絵の前に長くいたい絵。以前とりあげた‘美徳の勝利’が左端にシュールな描写がみられ、ちょっと緊張を強いられるところがあるのに対し、‘パルナッソス’はみるからに陽気な雰囲気につつまれている。

アーチになった岩の上に軍神マルスと美神ヴィーナスがいて、その下ではさまざまな芸術を示す9人のムサ(ミューズ)が左に座っているアポロンが弾く竪琴にあわせて輪舞している。この三角形構図と円の組み合わせが視線を落ち着かせる。画面の奥行きのつくりかたがとても巧み。右にいる神馬ペガサスをしたがえた伝達の神ヘルメスが大きく描かれ、その対角線上には小さなキューピッドがみえる。この人物の大小対比により、画面が遠く広がっているように感じられる。

ローマのボルゲーゼ美にあるドメニキーニ(1581~1641)の‘ディアナの狩猟’はすばらしい絵。立ち尽くしてみた。以後この画家の絵に対する見方が変わった。これをみた方はたぶん目が同じところにいくのではなかろうか。それは手前で水浴しているニンフ。その白い肌とじっとこちらを見る目にフリーズしてしまう。描かれているのは狩りと月の女神ディアナが待女のニンフたちと弓競争をしている場面。

プッサン(1594~1665)の花の女神フローラの絵とは3年前、メトロポリタン美の大回顧展で再会した。中央でフローラが楽しげに花をまいているが、その体の動きに呼応するかのように左ではトロイ戦争のギリシャ軍の英雄アイアスが長い剣で自害している。フローラのまわりにいる男女は花に変えられた人物。アイアスの隣では瓶の中の水に映った自分の姿にうっとりするナルキッソスがいる。

ギリシャ神話のなかでもよく知られている話は‘パリスの審判’。偉い女神でも美人コンテストとなると心は穏やかではない。審査委員長のパリスの気持ちを賄賂を使ってひきつけ黄金のリンゴをなんとしてもゲットしたい。世界一の美人に選ばれたのはヘラでも、アテナでもなくヴィーナス。美女ヘレネとの結婚を約束してくれるのだから、パリスは即ヴィーナスの提案を受け入れる。ルーベンス(1577~1640)の絵でヴィーナスは真ん中に描かれている。

だが、パリスにとっての幸せはトロイの国にとっては不幸のはじまりだった。このヘレネとの結婚があのトロイ戦争を引き起こすことになる。

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2011.07.21

ギリシャ神話の絵画 傑作選! その1 

2877_2     ジョルジョーネの‘眠れるヴィーナス’(1510~12年 ドレスデン国立美)

2878_2     ボッティチェリの‘パラスとケンタウロス’(1482年 ウフィッツィ美)

2879_2     グレコの‘ラオコーン’(1610~14年 ワシントンナショナルギャラリー)

2880_2     ティツィアーノの‘ティテュオス’(1566年 プラド美)

これまで拙ブログではギリシャ神話が描かれた絵画や彫刻を沢山とりあげてきたが、まだ感動をもらった傑作がいくつも残っている。数回にわけて紹介したい。

昨日、BS朝日の‘世界の名画 ドレスデン国立美’を懐かしくみていたら、この美術館の至宝、ジョルジョーネ(1476~1510)の‘眠れるヴィーナス’がでてきた。8年前この絵の前に立ったときは美しいヴィーナスの裸体をうっとりまなこで眺めていた。ゴヤの‘裸のマハ’やマネの‘オランピア’の原点がこのヴィーナス。いつか再会したい。

ボッティチェリ(1445~1510)の作品に描かれた半人半獣のケンタウロスは暴力的なイメージがすっかり消え、女みたいな弱々しい表情をみせている。学問の女神パラスがケンタウロスの髪をつかんでいるのは理性が野蛮さをおさえつけていることを表している。

ワシントンのナショナルギャラリーにあるグレコ(1541~1614)の‘ラオコーン’はお気に入りの絵。08年の美術館めぐりではまた会えるのを楽しみにしていたのに、どこかへ貸し出し中で展示されてなかった。隣の方に是非みせたかったので残念でならない。二匹の大蛇に喰い殺される神官ラオコーンと2人の息子はローマにある彫刻(10/3/12)を参考にして描かれているが、後ろの背景にはトレドの風景を使っている。

1月にでかけたプラド美でようやくティツィアーノ(1485~1576)の‘ティテュオス’と‘シシュフォス’をみることができた。ティテュオスはゼウスの妻レトに狼藉を働いたかどで生きたまま大鷲に肝臓はついばまれる罰をうける。これが苦しみの極み。肝臓は夜の間に再生するので、来る日も来る日も肝臓をついばまれることになる。身のほどをわきまえず、レトに手をだした代償は大きかった。

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2011.07.20

アテネ国立考古博の忘れ物 ‘ボクシングをする少年’!

2873_2          ‘ボクシングをする少年’(前16世紀後半)

2875_2             ‘漁夫’(前16世紀後半)

2874_2      ‘かもしか’(前16世紀後半)

2876_2     ‘春のフレスコ画’(前16世紀後半)

アテネオリンピックが開催された04年の秋に二度目のギリシャ旅行をした。思い出に残る観光名所はその地に立つことをずっと夢みていたデルフィとオリンピアの遺跡、そして彫刻や壺などの鑑賞ではデルフォイ考古博でみたブロンズ像‘デルフォイの御者’が一番の収穫だった。

どこへ旅しても、日本に帰って来るとき感動を入れた袋はいつも大きく膨らんでいる。観光名所に限って言えば現地での楽しい体験はしばらくその余韻が続く。が、美術品めぐりは予定通りにはいかない。生憎貸し出し中だったり、館内改装による展示室クローズにぶち当たったりして、お目当てのものがみれないことはよくある。

意気込んで入館したアテネ国立考古博で肩透かしを食らったのが2階の48室に飾ってあるはずの壁画。力強いブロンズ像‘アルテミシオンのポセイドン’や躍動感にあふれる‘馬に乗る少年’と再会しいい気分になったところで、さあ、次は‘ボクシングをする少年に会いに行くぞ!’と2階へ上がろうとしたら、係員が‘現在上の階はクローズ中!’とNGサイン。

美術館の工事中はよくあることとはいえ、‘遠いアテネにやってきたのだから、それはなしにしてよ!’とつい愚痴りたくなる。それから7年の時が流れた。リカバリーの具体的なプランが今すぐあるわけではないが、みたい絵は頭のなかでちゃんと整理してある。

ここにとりあげたのはすべてエーゲ海に浮かぶキクラデス諸島の最南端にあるサントリーニ島で1968年に発掘されたフレスコ壁画。描かれたのは前16世紀の後半。
前1500年ころ、この小さな島で巨大な火山の噴火があった。この壁画は火山灰に埋もれていた2階建て3階建ての家屋群に描かれていたもの。永年埋もれていたためとてもいい保存状態で残った。

今から3500年くらい前、こんなに明るくて生命力豊かな人物像や花の絵が制作されていたとは!最も惹かれるのがジャブを応酬する2人の少年の絵。体の柔らかくのびやかな線に驚かされる。次回のギリシャのお楽しみはこの絵とサントリーニ島の南方120kmにあるクレタ島のクノッソス宮殿。なんとしても出かけようと思う。

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2011.07.19

もっと見たいギリシャ彫刻の傑作!

2869_3        ‘リアーチェの戦士A’(前450年頃 レッジオ・カラブリア国立博)

2871_3        ‘ヘルメスと幼児のディオニュソス’(前340年頃 オリンピア考古博)

2872_2        ‘ファルネーゼのヘラクレス’(200~220年頃 ナポリ国立考古博)

2870_3        ‘バルベリーニのファウヌス’(前220年頃、ミュンヘン国立古代遺品館)

大きな感動をもらった大英博蔵の‘円盤投げ’の余韻が毎日続いており、ギリシャ彫刻の傑作をまた追っかけるぞ!という気になってきた。昨年、ローマで行った美術館めぐりは彫刻追っかけの第一弾、ここでとりあげるのは第二弾の必見リストに載せているもの。

最も気になっているのが南イタリアの先端のところにあるレッジオ・カンブリア国立博が所蔵するブロンズ像‘リアーチェの戦士A’。像はもう一体Bがある。これを美術本ではじめてみたときその筋肉隆々の肉体にすごく惹きこまれた。図版でさえ感激するのだから本物はすばらしいにちがいない。この前450年頃につくられたブロンズの2体は1972年にレッジオ・カンブリアと同じ州のイオニア海に面したリアーチェ村の沖で発見された。いつかこの像の前に立ちたい。

プラクシテレスの作といわれる‘ヘルメスと幼児ディオニュソス’があるのはオリンピア考古博。04年にギルシャを旅行したときはオリンピアへも行き競技場跡などをみてまわった。通常のツアーではデルフォイ考古博に入館するのでオリンピアでは美術鑑賞はなし。次は名所めぐりをパスして博物館へとびこむつもり。

ナポリにある‘ファルネーゼのヘラクレス’は前320年頃につくられたリュシッポスのオリジナルをコーマ時代にコピーしたもの。高さが3.13mもあるというから、圧倒されそう。この博物館を訪問したのは28年前なので、一部の作品を除いてほとんど記憶から消えている。次回のイタリアはナポリとアマルフィがメインと今から決めている。カポディモンテ美とこの博物館の訪問がとても楽しみ。

‘リアーチェの戦士’同様、見たい度の強いのがミュンヘンにある‘バルベリーニのファウヌス’。正面からとらえた強靭な肉体をもつ男の苦悩に満ちた表情が心をとらえて離さない。

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2011.07.18

西洋画・日本画比較シリーズ! レンブラント vs 喜多川歌麿

2867_4       レンブラントの‘ガニュメデスの誘拐’(1635年 ドレスデン国立美)

2868_2          喜多川歌麿の‘夢にうなされる子どもと母’(1800~01年)

西洋美の‘古代ギリシャ展’(7/5~9/25)でギリシャ神話の世界をたっぷり楽しませてもらったので、今日は巨匠たちが描いたギリシャ神話の絵のなかから日頃日本画と見比べながらみている絵をとりあげることにした。

レンブラント(1609~1669)が26歳のとき描いた‘ガニュメデスの誘拐’に大変魅せられている。6年前、西洋美であった展覧会(拙ブログ05/7/18)にやってきたから、頬をゆるめてご覧になった方も多いのではなかろうか。絵を所蔵するドレスデン国立美へ03年行ったとき生憎展示されてなく、いい絵を見損なったなという思いが強くしていた。それが幸運にも日本でリカバリーが実現。

ゼウスは得意の変身術を使って鷲になりすまし、ガニュメデスをかっさらっていく。ご承知のようにガニュメデスはギリシャ神話では美少年となっている。なのにレンブラントの描くガニュメデスは赤ん坊。恐怖のあまりお漏らしている。こんな怖い鷲に襲われたら無理もない。その泣きじゃくる顔の表情がじつにいい。汽車のなかとか、スーパー、病院のなかとか赤ん坊が泣く光景は日常生活のなかのひとこま。これは世界共通、レンブラントはこの可愛そうな赤ん坊の姿を生感覚で描いている。

レンブラントは人間の感情表現がとても上手い。200%惹きつけられた絵がもう2枚ある。そのおびえた表情が目にやきついている‘スザンナ’(05/4/18)とびっくり眼でベルシャザルをみつめる女の表情がそれこそ唖然とするほどリアルな‘ベルシャザルの饗宴’(08/2/6)。

日本の浮世絵のなかにお漏らしガニュメデスの泣き顔を連想させる絵がある。それは喜多川歌麿(1753~1806)が描いた幼児が化け物の夢にうなされる絵。男の子は口をまげて苦しそうな表情をしている。レンブラントと歌麿は時空をこえてリアルな風俗画の世界で響きあっている。

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2011.07.17

アゲイン 不滅のシンボル‘鳳凰と獅子’展(後半)!

2864_2     ‘鳳凰文碑’(重文 飛鳥時代 7世紀)

2866_2          ‘桐鳳凰模様筒描布団地’(20世紀前半)

2865_2     狩野永徳の‘唐獅子図屏風’(桃山時代 16世紀)

2863_2          歌川国芳の‘禽獣図会 獅子’(1839~41年ころ)

満足感の高かった‘鳳凰と獅子’展(拙ブログ6/26)をまたサントリー美でみた。後半の出品作に追っかけ作品あったので、それが展示されるタイミングで足を運んだ。前回ついていた無料券は次回の‘ヴェネツィアン・グラス展’にとっておき、使ったのは隣の方のもの。

狩野探幽の‘桐鳳凰図’の狩野栄信ヴァージョン‘桐松鳳凰図’(静岡県美 展示は
7/13~7/24)、これが後半の追っかけ画。左隻に描かれた飛んでる鳳凰は探幽のものよりずいぶん白っぽい。これで探幽、常信、栄信の3点セットが完結した。

通期で展示してある‘鳳凰文碑’(奈良・南法華寺)にまた惹きこまれた。羽根を大きく広げた鳳凰の姿のレリーフをみるのははじめて。この躍動感あふれる鳳凰は一生の思い出になる。最後の部屋にある布団地に描かれた賑やかな鳳凰も目を楽しませてくれた。

この展覧会のラインナップをみたときびっくりしたのが狩野永徳の‘唐獅子図’(三の丸尚蔵館)の展示(7/6~7/24)。民間の美術館にこの傑作が登場するのだから、サントリーのブランド力には恐れ入る。4年ぶりの対面(07/11/9)だが、京博のときと同様、時間をかけてみた。

2頭の唐獅子はともに量感たっふりに描かれている。それが最も感じられるのが大きく膨らんだ胸。勢いのある力強い筆線が見事。風になびく髭や尾っぽの渦巻きと曲線の描き方はよくみるとちがっている。右の唐獅子が緑で左は茶色、これに黒と金色の線で渦巻きの形をだしている。十分に目にやきつけたところで絵の前から離れた。

図録ですごく気になったのが歌川国芳の獅子の絵。6点が知られている‘禽獣図会’シリーズはこれまで縁がなかった。これはご存知の獅子の子落とし。上の岩にいる親獅子の体は緑色!なんともアヴァンギャルドな色、親があまりにインパクトがありすぎるので下に蹴落とされた子獅子がかすんでいる。子獅子はもう一頭牡丹のところにいるのだが、顔の一部だけなのでわかりにくい。

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2011.07.16

笑いの玉手箱 ‘歌川国芳展’(後期)!

2862_2     ‘流行道外こまづくし もヽんごまア’

2861_2           ‘狸のあみ打ち(上) 狸のおふらい(下)’

2859_2     ‘二十四孝童子鑑 大舜’

2860_2     ニューホフ著‘東西海陸紀行’

太田記念美へ再度出かけ‘歌川国芳展’の後期出品作(7/1~7/28)を腹の底から楽しんだ。前期(拙ブログ6/3)展示されたものはほとんど入れ替わり、戯画、洋風画など150点がでている。

お馴染みの戯画がずらっと並ぶなか、収穫も多い。目が点になったのが初見の‘流行道外こまづくし’。これはコマと紐を使って描いた寄せ絵。髑髏のお化けをよくみるとおもしろい。目、鼻、歯、舌がコマで、紐が顔の輪郭線になっている。そして、びっくり仰天の男たちの頭がこれまたコマ。

‘アートに乾杯!’シリーズの1回目にとりあげた狸(10/10/14)にまたであった。全部で10点(7/1~18)。もう10点が7/20~7/28にでてくる。豪快なあみ打ちにニヤニヤしっぱなし。こんなに笑える浮世絵がほかにあっただろうか。

地下の部屋に飾られている洋風画は興味深い展示の仕方になっている。国芳研究者の地道な研究成果(09/6/16)がここで披露されているのである。国芳の絵にはネタ本があった。それはオランダ人の旅行家ニューホフが書いた‘東西海陸紀行’(1682年)。例えば、‘二十四孝童子鑑 大舜’に描かれた右の後ろ向きの象はこの本の下の銅板画から写している。

‘誠忠義士肖像’もじつはこの本にでてくるバタビアの原住民が弓矢を射るところや毒矢を吹く姿を写したものだった。ほかにも‘なるほどね、これを参考にしたのか!’という絵がいくつもある。国芳は西洋絵画を貪欲に吸収して、自分の絵のなかで消化していった。その真摯な姿勢がすばらしい。それだけ絵を描く事に誰よりも情熱を傾けていたのだろう。惚れ直した。

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2011.07.15

雪舟の国宝‘天橋立図’が‘橋ものがたり’展に登場!

2856_2     雪舟の国宝‘天橋立図’(室町時代)

2855_2       野々村仁清の‘色絵柳橋図水指’(江戸時代 17世紀)

2858_2     葛飾北斎の‘諸国名橋奇覧・三河の八つ橋の古図’(江戸時代 19世紀)

2857_2     歌川広重の‘日本橋より富嶽遠望の図’(江戸時代 19世紀)

三井記念美で開催中の‘橋ものがたり’展(7/9~9/4)は昨年の‘隅田川’展(江戸東博)と似たタイプの展覧会。現在の石造二連アーチの日本橋ができたのは明治44年(1911年)。で、今年は架橋100年にあたる。それを記念したこの特別展では、絵画、やきもの、蒔絵などに描かれた橋をあれもこれもみせてくれる。サントリー美同様、ここも企画力があるからみてて楽しい。

今回追っかけ作品はとくになかった。こういうときはテーマ型の企画展の場合パスすることが多いのだが、チラシをみてそうもいかなくなった。雪舟の絵でお気に入りの国宝‘天橋立図’が京博から出品されるのである(展示は7/9~7/21)。この絵をみるのは京博であった‘雪舟展’(02年)以来。

9年前みたときと印象がちがった。前はもっと紙が白かったような気がする。時間の経緯により、その白の輝きが少しずつ消えているのだろうか。これは本当に見事は風景画。俯瞰の視点で橋立をとらえる構図に惹きこまれる。画面全体は墨の濃淡で描かれているが朱が6箇所で使われてる。是非ご自分の目で。

もうひとつ再会したいものがあった。それは野々村仁清の‘色絵柳橋図水指’(湯木美)。この名品と会うのは12年ぶり。V字をつくる緑の柳と金と赤で彩色された橋を息を呑んでみていた。‘柳橋水車’は屏風絵の画題として桃山から江戸初期にかけて人気のあったモチーフ。仁清の水指のほかにも屏風(MOA蔵)がでている。

橋をみて旅心が誘われるのはやはり浮世絵風景画。見覚えのある橋の絵がどどっと登場してくる。どれも琴線にふれるので選択に困るが、過去にとりあげたものとかぶらないように選んだ。北斎の‘諸国名橋奇覧’シリーズの‘三河の八つ橋の古図’は角々と曲がる八つ橋のフォルムとそこを行き交う旅人の丸い笠のリズミカルな動きが目に心地いい。

画面手前に大きく描かれた日本橋の擬宝珠と遠くの富士山を対比させた広重の絵(肉筆画)がとても気に入っている。この絵は5年前の開館記念展‘日本橋絵巻’に展示された。図録をみると後期にでてくる浮世絵にもいい橋の絵がある。リピート客の割引
(200円引き)を利用して、またでかけることにした。

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2011.07.14

大英博物館の‘円盤投げ’がやってきた!

2851         ‘円盤投げ’(後2世紀、原作は前450~前440年頃)

2854     ‘サテュロスから逃れようとするニンフの像’(後2世紀)

2852     赤像式ヒュドリア(水甕)‘メドゥーサの頭部’(前490年頃)

2853     赤像式頸部アンフォラ‘オルフェウスに襲いかかるトラキアの女’(前470年頃)

西洋美へ出かけ‘大英博物館 古代ギリシャ展’(7/5~9/25)を楽しんだ。ギリシャ美術はライフワークのひとつだから、こういう展覧会は必ずみることにしている。

ロンドンはここ数年で2回行ったのに、大英博はパスが続いた。前回ここを訪れたのは90年。もう20年近く経っているから館内の展示状況は忘れかかっているが、古代ギリシャ・ローマの部屋でみた‘エンギン・マーブル’とよばれるパルテノン神殿の破風彫刻やレリーフはいまだに目に焼きついている。

大英博はこれまで4回訪問しエジプトやギリシャの遺品はよくみたのだが、今回やってきた‘円盤投げ’はどういうわけかみたという記憶がない。展示されている彫刻が多いので見落とした可能性もあるが、これほどインパクトのある姿が記憶から消えるかなという感じ。常時展示してあるのだろうか?

この展覧会を知ったときは‘大英博の円盤投げ?’だったものが今目の前にある。しかもこの一体だけ展示する特別室に、ぐるぐる3回まわってみた。こういう見事な彫刻が日本でみれるのだから、本当に嬉しくなる。この彫刻は昨年ローマ国立博でお目にかかったもの(拙ブログ10/2/28)同様、ミュロンがつくった原作をローマ時代にコピーしたもの。2体の違いは顔の向き。ローマにあるのが原作に忠実なコピーで顔が円盤のほうを向いているのに対して、大英博のものは前向きになっている。

ほかの彫刻で目を惹いたのは後2世紀ころにつくられた‘サテュロスから逃れようとするニンフ’。‘やめてよ!ダメだったら’と拒むニンフにぶさいくな顔をしたサテュロスはすっかり出来上がっちゃって必死のアプローチ。サテュロスは半分人間だからその気持ちはわからぬでもないが、作法がいただけない。

数多くあるアンフォラなどの陶器に描かれているギリシャ神話の一場面やオリンピックで競うアスリートたちの姿を時間をかけてみた。説明書きをみながら楽しんだのが首を切られたメドゥーサの頭部。口からべろんとでた舌の大きいこと。また、顔と髪のまわりを縁取る蛇の模様にも見入ってしまう。注意事項をひとつ。くれぐれもこの像の前では目をあわさないように!

‘オルフェウスに襲いかかるトラキアの女’では単眼鏡を使った。女の腕に彫られている刺青をはっきりみるためである。ギリシャ神話にでてくるオルフェウスの話はよく知っているが、こういうふうに絵画化されるとイメージがさらに固まってくる。ギリシャ神話は本を読むだけでなく美術品にも接すると理解が深まる。で、鑑賞のあと購入した情報満載の図録をじっくり読もうと思っている。

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2011.07.13

アートに乾杯! クプカのスペースファンタジー

2847_3        ‘おしべとめしべの物語’(1919~20年 プラハ国立美)

2849_3        ‘線、平面、奥行Ⅱ’(1913~24年 プラハ国立美)

2848_3         ‘線、平面、空間Ⅲ’(1923~27年 ポンピドーセンター)

2850_3     ‘垂直の面と斜めの面’(1913~23年 プラハ国立美)

抽象画というのは対象の形や色が消え、作家のイメージする世界が幾何学模様や不定形なフォルム、色面の組み合わせにより表現される。だから、作風のちがいが具象をやっている作家に比べるとハッキリしている。作家の個性の数ほどあるといってもいい抽象画のなかで、宇宙のイメージが色濃くでているものに惹かれている。今日とりあげるクプカ(1871~1957)もファンタジックなスペースワールドを沢山描いている。

クプカの作品に関心をもつようになったのは94年愛知県美で行われた回顧展を体験してから。そして、9年後の03年に訪れたチェコのプラハ国立美で再度多くのクプカ作品に出会い(拙ブログ04/12/6)、この画家への相性のよさは決定的になった。初期の象徴主義の作品もはっとさせるような刺激に富んでいるが、アドレナリンがドッとでてくるの広大な宇宙を思わせる作品。

‘おしべとめしべの物語’はプラハで再会した絵。きのこ雲のようなむくむく感がブラックホールとか小惑星の衝突をイメージさせる。青のグラデーションと白であらわされた曲面の複雑な重なりがとても神秘的にみえる‘線、平面、奥行Ⅱ’にも吸い込まれる。クプカはこのテーマで5点制作しており、オルブライト=ノックス美蔵のヴァージョンがほかの展覧会にやってきた。

ポンピドーにある絵もその1枚だが、これは国立新美の開館記念展で‘動きのある線’(07/2/10)と一緒に展示された。縦長の画面に描かれた楕円の重なりは宇宙にできたトンネルの中を宇宙船で疾走していく感じ。こういう美しい抽象画なら部屋に飾りたくなる。

プラハ美にある‘垂直の面と斜めの面’はMy‘抽象絵画ベスト10’にリストアップしている絵。これをみたとき瞬間的にイベントが行われるホテルとかファッションアーケードの天井から垂れ下がっている華麗な飾り物を連想した。現代でも通用するクプカの豊かな想像力と類まれな装飾感覚にはほとほと感服させられる。

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2011.07.12

アートに乾杯! カンディンスキー 爽快感200%の抽象美

2843_2     ‘コンポジションⅧ’(1923年 グッゲンハイム美)

2844_2     ‘黄ー赤ー青’(1925年 ポンピドーセンター)

2846_2     ‘支配的な曲線’(1936年 グッゲンハイム美)

2845_2            ‘空の青’(1940年 ポンピドーセンター)

展覧会へでかけたとき、出品作から受けた感動を体のなかにずっととどめておくために図録を購入する。出動する展覧会を絞っているとはいえかなりの数をみるので、図録がどんどんたまっていく。一方いろいろ捻出してつくりだした収蔵スペースはもう限界に近く、ニュー図録の置き場所の確保にいつも一苦労。

この問題を解決するためにはどうしても古い図録の処分が必要。が、長く手元においていると愛着があるから処分に迷うものもでてくる。そういうときは図録を一旦解体し、とっておきたい図版は別にファイルすることにしている。これをつみかさねているとMy画集ができあがる。

図録のなかにはいくら古くなってもこういう処分の対象にならないものがある。それは一生の思い出になる展覧会の図録。近現代絵画でこれに相当するのは1991年、池袋のセゾン美(今はない)で開催された‘グッゲンハイム美名品展’と1997年の‘ポンピドー・コレクション展’(東京都現代美)。

現代アートの傑作が沢山やってきたこの二つの展覧会でとりわけ心をときめかせてくれたのがカンディンスキー(1866~1944)の抽象画。とくにすごかったのがグッゲンハイムのコレクション。なんと17点。そのなかには現地の図録に載っている作品が9割含まれている。まったく出し惜しみなし。立ち尽くしてみていた‘支配的な曲線’はその1点。これはカンディンスキーがパリに住んでいたときの作品。

カンディンスキーにのめりこむきっかけをつくってくれたセゾン美の展覧会の2年後、NYのグッゲンハイム美をはじめて訪問した。ここで爽快な抽象美を200%感じたのがバウハウス時代に描かれた‘コンポジションⅧ’。白の地に配置された円や半円、三角形はきわめてシンプルな造形で、豊かなハーモニーを奏でる曲線と直線とあいまって気分をとても落ち着かせてくれる。

パリのポンピドーでいつも楽しみにしているのが傑作‘黄ー赤ー青’(拙ブログ08/2/14)。この絵も嬉しいことに97年の‘ポンピドー・コレクション展’に出品された。この展覧会は現代美で行われた展覧会のベスト1。いまだにこれを上回る内容の展覧会は開かれてない。この絵と並んで飾られたのは1940年に制作された‘空の青’。カンディンスキーはこのとき74歳。青い空を浮遊するミトコンドリアとかアメーバを連想させる不思議な形をした生き物はミロのユーモラスな絵を彷彿とさせる。

カンディンスキーの作品で惹かれているのはレンバッハハウスやトレチャコフにあるカオス的な抽象画よりもバウハウスやパリ時代に描かれたスッキリ感覚の抽象世界のほう。だから、これからもポンピドーやグッゲンハイムにあるこうしたタイプの未見作品を張り切って追っかけようと思う。

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2011.07.11

アートに乾杯! 心をとらえて離さないミロの‘星座’シリーズ

2839_2     ‘夜と朝の雨にうたうナイチンゲール’(1940年 NY・ペリスギャラリー)

2840_2      ‘夜明けの目覚め’(1941年 NY個人)

2841_2       ‘恋人たちに未知の世界を明かす美しい鳥’(1941年 MoMA)

2842_2     ‘明けの明星’(1940年 バルセロナ ミロ美)

近現代アートは作家の内面や想像力が前衛的に表現されるから、どうしても難解なイメージがつきまとう。My鑑賞スタイルはいたって気楽。カオス的な混乱がすぎるものや、見てて心の動かない抽象表現は迷うことなく作品の前を通りすぎる。

作品を理解できるとかできないでみるのは観念的な見方。日本人は元来観念的思考が好きだから、美術好きの人でもこの類の人が結構多い。抽象的に表現された色やフォルムにも具象画と同様に心に響くものがいっぱいある。抽象絵画でもシュルレアリスムでもミニマリスムでもそうした作品と素直に向き合い、斬新な色の構成や記号的なフォルムを楽しみ、作家の感情や精神性に熱く共感したい。

大好きなシュルレアリスト、ミロ(1893~1983)が47歳の頃描いた‘星座’シリーズに対面することをもう何年も夢見ている。が、23点のうちこれまで体験したのは1点のみ。それは21年前、バルセロナにあるミロ美でみた‘明けの明星’。出張でこの地を訪れたとき、土日の休日を利用して出かけた。苦い思い出は財布のなかにドル紙幣しかなく館の図録が購入できなかったこと。で、館内で写真を沢山撮り図録の代わりにした(拙ブログ05/7/9)。

‘星座’シリーズは第二次大戦最中の1945年、NYの画廊で発表された。そのあと、これが今日までの間にまとまったかたちで再度展示されることがあったのだろうか?全作品が載った画集があるかもしれないが、まだ縁がない。だから、知っている作品はTVの番組や画集でみた10点ほど。

そのなかで見たい度の強いのがここにあげた3点。いずれも星が沢山描かれている。この星たちにミロは平和の到来を祈ったのだろう。個人がもっている‘夜明けの目覚め’はこれからも縁がないだろうが、MoMA蔵の右にライオン?が登場する‘恋人たちに未知の世界を明かす美しい鳥’はなんとか対面したい。でも、これが常時展示してあるかはわからない。実際、訪問するときは毎日ミューズに手を合わせることにしている。

NYのペリスギャラリーにあるナイチンゲールはすごく魅せられる。いつかNYでギャラリー巡りをしようと思っている。ミロの絵をこのギャラリーでみられるかどうかわからないが、所在地をチェックし出かけてみるつもり。

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2011.07.10

もっと見たいステラの名画!

2835_2     ‘ハランⅡ’(1967年 グッゲンハイム美)

2837_3     ‘グラン カイロ’(1962年 ホイットニー美)

2838_2     ‘ベックホーフェンⅡ’(1972年 フォッグ美)

2836_2     ‘ジャラマⅡ’(1982年 ワシントンナショナル・ギャラリー)

日本でモダンアートの殿堂といえば川村記念美。関東圏に住んでいると京都・奈良は遠いので寺社や仏教彫刻めぐりはそう度々とはいかないが、そのかわり川村で超一級の現代アートを楽しむことができる。なにしろここはロスコとフランク・ステラ(1936~)のすばらしい作品を所蔵している。

お気に入りのステラの作品を07年の特別展示(拙ブログ07/1/24)で堪能した。そのあと展示会場が改装され今では、絵画や半立体のレリーフが常時10点くらいみれる。ここには‘ブラック・ペインティング’や‘分度器’のシリーズ、‘シェイプト・カンヴァス’、‘レリーフ・ペインティング’が揃っているから、ステラの創作活動の流れはおおよそつかめる。

作品はどれも2~3m級の大作なので、一点々強いインパクトでもって体のなかに入ってくる。だから、こういう作家の場合、作品を数多く体験しなくてもいいのかもしれない。でも、ファン心理は微妙で一方で作品タイプごとにいろいろなヴァリエーションを体験したいという思いもある。

追っかけ画は出かける可能性の高い美術館にあるものが中心。グッゲンハイムでみたいのは幼稚園にあるおもちゃに使われているような明るい色彩と半円のフォルムが目を楽しませてくれる分度器シリーズ。ステラに魅せられているのはこの豊かな色彩感覚。だから、このシリーズは1点でも多くみたい。

同心正方形の‘グラン カイロ’は府中市美であった展覧会でお目にかかった。図版だと作品のサイズが消えるから幾何学的なデザインとしてスッとみてしまうが、本物は
2.17mの大きな正方形。この絵のおもしろいところは赤や青や黄色で彩られた枠が前後に動くこと。画面になかに吸い込まれる感覚を生み出すのはアメリカの作家の得意技。作品がデカイことが重要な要素になっている。

巨大なコラージュのイメージがする‘ベックホーフェンⅡ’や川村に何点もある多色レリーフの別ヴァージョン‘ジャラマⅡ’の前にもいつか立ちたい。だが、モダンアートは新旧の交代が激しいから、でかけたとき展示してあるかは確証がない。前回のワシントンで縁がなかったステラはこの絵を含めて3点が図録に載っている。一発でリカバリーなるか?

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2011.07.09

もっと見たいロスコの名画!

2831_2     ‘無題’(1949年 グッゲンハイム美)

2832_2      ‘No.61 赤褐色と青’(1953年 ロサンゼルス現代美)

2833_2      ‘オレンジと黄色’(1956年 オールブライト=ノックス美)

2834_2     ‘ハーヴァード大壁画・パネル1’(1962年 フォッグ美)

2年前、川村記念美でマーク・ロスコ(1903~1970)の‘シーグラム壁画展’(拙ブログ09/3/8)に遭遇して以来、この画家の作品を1点でも多くみたくなった。

‘志(こころざし)あるところに道あり!’はビジネスの世界だけではない。新しい芸術を追い求める人にも、またそれを愛好したり、美術品をコレクションする場合にもあてはまる。ロスコの作品に執着していると、おもしろいものでポンポンといい絵が目の前に現れてくれる。昨年でかけたポンピドーでは‘赤の上の黒’(10/12/11)を、また1月訪問したマドリードのティッセン・ボルネミッサ美では‘紫の上の緑’(2/4)をみることができた。

美術の追っかけをしているとある時期作品が向こうから近づいてきてくれるような気がするときがある。ロスコの作品は今はその時期かもしれない、この気持ちを持続していると次回NYへでかけたとき、収穫が多いかもしれない。

グッゲンハイムが所蔵する作品のうち1点は日本でみたが、これより魅せられる2点が図録に載っている。‘無題(白と赤の上にバイオレット、黒、オレンジ、黄色)’は明るい色面の帯で構成されているから、雰囲気は楽しみ気分。はしゃぎまわるほどではないが、じわじわ嬉しさがこみ上げてくる感じ。また、‘オレンジと黄色’の色面による感情表現もとても穏やか。

これに対して深い青の色面に惹きこまれる‘赤褐色と青’はじっとみていると不安な感情のなかに沈潜していくような気にさせられる。LAはまだ行ったことないが、現代美術館はロスコのこの絵をみるだけでも訪問する価値があるように思える。

フォッグ美へ18年前訪問したときはロスコは縁遠かったから、シーグラム壁画と同じ色調の‘パネル1’は知る由もない。ボストンはこの美術館のほかにもガードナー美にまた寄りたいし、ボストン美の新アメリカ館も必見だから、忙しくまわることになりそう。

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2011.07.08

もっと見たいポロックの名画!

2827_2     ‘速記の人物’(1942年 MoMA)

2828_2     ‘収穫’(1952年 オールブライト=ノックス美)

2829_2     ‘ナンバー27’(1950年 ホイットニー美)

2830_2   ‘ラヴェンダー・ミスト ナンバー1’(1950年 ワシントンナショナル・ギャラリー)

モダンアートの作品がみられる美術館で一般的な団体ツアーに参加して楽しめるのはNYのMoMA、グッゲンハイム、ホイットニー、パリのポンピドー、ロンドンのテートモダン。そして、総合美術館のメトロポリタン、シカゴ、ボストン、ワシントンナショナルギャラリー、フィラデルフィアでも有名な絵と沢山お目にかかれる。

抽象表現主義の第一人者ジャクソン・ポロック(1912~1956)の作品はMoMAやグッゲンハイムはご無沙汰が続いているが、METで‘秋の律動’(拙ブログ08/5/19)と3年前再会したし、昨年はヴェネツィアのグッゲンハイムで‘月の女’(10/2/12)を久しぶりにみた。また、テートモダンやポンピドーにも出かけたのでポロックとはそこそこ縁がある。

でも、画集をみると鑑賞済みは全作品の3割くらい。ポロックに最接近しているとはとてもいえないので、今は5割くらいみることを目標にしている。で、もしMoMAかMETでポロックの回顧展が開催されるのであれば、それに合わせたアメリカ美術館めぐりがひとつのオプションとして頭の中にある。

ところが、嬉しいことに日本でポロックの回顧展が体験できることになった。今秋まず愛知県美で開催され(11/11~1/20)、そのあと東近美に巡回する(来年2/10~
5/6)。作品情報はまだ‘ナンバー7、1950’(MoMA)しかない。世界中から70点(そのうち絵画40点)集めてくるようなので、期待で胸がふくらむ。

さて、そのなかにここでとりあげた4点が入っているか?難しいとは思うが1点でもあればいうことなしだが。MoMAにある‘速記の人物’はミロのユーモラスな絵を彷彿とさせる。ポロックの作品で惹かれているのは密度の濃い高級織物のように画面いっぱいに繊細な線と強い線が複雑に織り合わされ、神秘的な抽象空間を生み出しているもの。

ループをつくる鮮やかな赤や黄色が目を楽しませてくれる‘収穫’にとても魅せられるが、バッファローにあるこの美術館へ行く機会があるだろうか?前回のワシントンでは
METの‘秋の律動’に似た作品‘ナンバー1’は残念なことに展示されてなかった。抽象絵画の美を堪能させてくれそうなのがホイットニー蔵の‘ナンバー27’。一歩ずつポロックに近づきたい。

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2011.07.07

もっと見たいリキテンスタインの名画!

2823_2        ‘クリスタル・ボウルのある静物’(1973年 ホイットニー美)

2824_2        ‘溺れてゆく少女’(1963年 MoMA)

2826_2     ‘見てよ、ミッキー’(1961年 ワシントンナショナル・ギャラリー)

2825_2     ‘軍備’(1961年 グッゲンハイム美)

モダンアーティストのなかでいかにもアメリカ的な作家というとホップアートのアンディ・ウォーホル(1930~87)とロイ・リキテンスタイン(1923~1997)。ともに現代アートに新しい風を吹き込んだ天才作家だが、好みはリキテンスタインのほう。といっても、その作品(拙ブログ08/5/19)を数多く体験しているわけではない。

NYにある近代美術館(MoMA)やグッゲンハイムを前回訪れたのは93年、随分ごぶさたしている。だから、今この2館とホイットニー美にある近現代アートの傑作にすごく飢えており、手持ちの美術本から必見作品のリストアップをぬかりなくやっている。

リキテンスタインの作品でとても惹かれているのがホイットニー美にある‘クリスタル・ボウルのある静物’。みててじつに楽しくくなる果物たちである。静物画で最も好きなセザンヌのリンゴの絵とは趣がまったく異なるが、その強い吸引力に差はない。この美術館では6年前府中市美にやってきた‘窓辺の少女’(05/10/7)のこぼれるような笑顔をまたみてみたい。

MoMAにあるのが泣き顔の少女。でも、この‘溺れてゆく少女’の記憶はだいぶ薄い。だから、再会をはたし目に焼きつけたいのだが、一つ気になることがある。現在のMoMAは昔とは展示空間が変わり、作品のみせ方も変わっているはず。となると、リキテンスタインの絵はちゃんと飾ってあるだろうか?

そう思わせるのは08年ワシントンナショナル・ギャラリーを訪問したとき、必見リストに入れていた‘見てよ、ミッキー’が姿をみせてくれなかったから。現代アートはどんどん新作が登場するから、名画でも古典絵画や印象派などと比べて定番扱いされる期間が短くなる傾向がある。

ナショナルギャラリーでは展示作品は頻繁に変わるらしいから、MoMAやグッゲンハイムでも同じような展示方法をとっているかもしれない。前回のグッゲンハイムでは‘軍備’に縁がなかった。‘溺れてゆく少女’は一度みているのに対し、これは未見の絵。だから、展示してあることを祈るばかり。

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2011.07.06

もっと見たいオキーフの名画!

2822_2     ‘赤い丘’(1927年 フィリップス・コレクション)

2819_2     ‘ジャック・イン・ザ・ブルビットⅢ’(1930年 ワシントンナショナル・ギャラリー)

2821_2     ‘オニゲシ’(1928年 ミネソタ大ワイズマン美)

2820_2     ‘それは青と緑だった’(1960年 ホイットニー美)

アメリカの女流画家、ジョージア・オキーフ(1887~1986)に大変魅せられており、回顧展に遭遇することを夢見ている。08年に美術館めぐりをしたとき、どこにもオキーフの絵はあり、この画家がアメリカでは特別の存在であることを実感した。

国立新美では今秋ワシントンにあるフィリップス・コレクションが所蔵するアメリカ絵画を公開する‘モダン・アート、アメリカ’展(9/28~12/12)が開催される。チラシにはオキーフの作品が2点載っている。日本に居ながらにしてアメリカの画家の絵を楽しむのだから、あまり贅沢はいえず無理とはわかっているがこの2点と‘赤い丘’をとっかえて欲しかった。

‘赤い丘’は18年前、週間美術本‘ラ・ミューズ 世界の美術館 フィリップスコレクション’で知って以来、丘の強烈な赤と沈みゆく太陽をいつかこの目でと思いをつのらせている。このすばらしい風景画とともに、ワシントンではみたい絵がもう数点ある。それはナショナル・ギャラリーが所蔵する連作‘ジャック・イン・ザ・ブルビット’。

ここに6点全部あるかわからないが、TASCHEN本には4点載っている。前回みたのはⅣ1点のみ(拙ブログ08/4/17)。花の絵をみているのか抽象画をみているのか不思議な体験だった。この絵以上に心に響くのがⅢ。

オキーフの絵というと画面いっぱい描かれた大きな花とか牛の頭蓋骨がイメージされる。モチーフとしての花をクローズアップして描くという発想は花鳥風月の国、日本では生まれてこない。これが広大な自然をもつアメリカに住む画家の手にかかると画面が大きくなり、花も巨大化しついには一部がキャンバスからはみだす。こうなると具象の感覚は半分溶け抽象化された形と色彩に心はむかう。

ホイットニー美でまずみたいオキーフの絵は‘夏の日々’(10/9/22)だが、高層圏を飛ぶ飛行機の窓から見た光景を白をバックにやわらかい曲線のフォルムで自由に表現したような‘それは青と緑だった’にも惹きつけられる。この美術館はまだ足を踏み入れてないので、次回のNYではいの一番にでかけるつもり。

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2011.07.05

もっと見たいサージェント・ホイッスラーの名画!

2815_2            サージェントの‘バラを持つ婦人’(メトロポリタン美)

2816_2     サージェントの‘ハラ湖’(1916年 フォッグ美)

2818_2     ホイッスラーの‘ウェストミンスター旧橋のとり壊し’(1862年 ボストン美)

2817_2     ホイッスラーの‘ノクターン:青と金色 サウサンプトン’(1872年 シカゴ美)

アメリカの美術館は当然のことではあるが、アメリカの画家の作品を多く所蔵している。今日とりあげるサージェント(1856~1925)とホイッスラー(1834~1903)は本籍アメリカ、現住所ヨーロッパの画家。だから、その作品はボストン、メトロポリタン、シカゴ、フリーアだけでなく、ロンドンやパリにある美術館でもお目にかかることができる。

サージェントを知ったのは18年前ボストン美で少女画の傑作‘エドワード・ダーレイ・ボイドの娘たち’(拙ブログ08/4/22)に出会ったとき。その衝撃は以後体のなかにずっと残っていたが、ほかのいい絵をみる機会は08年テートブリテンやメトロポリタンを訪問するまでなかった。

METでは有名な‘マダムX’(08/5/15)をみてとてもいい気分になった。でも、アメリカンウィングが改装中で限られた作品しか展示されてなく、必見リストの上位に載せていた‘バラを持つ婦人’は姿をみせてくれなかった。次回はなんとしてもみたい。

初訪問のボストン美のあとハーヴァード大のフォッグ美にも寄った。ここにはゴッホの自画像やモネの‘サン・ラザール駅’など印象派の名画がいくつもあり、それらに夢中だった。で、ボストン美ではじめて画家の名前を知ったサージェントの風景画に気づくはずもない。購入した図録にすばらしい‘ハラ湖’がでていた。サージェントは肖像画だけではなく、風景画も描いていた!3年前は大学の構内は散策したが、時間がなくリカバリーはお預け。

ボストン美にあるホイッスラーの橋の絵は、新館建設中でほかのアメリカ絵画とともに縁がなかった。‘ノクターン’シリーズの‘青と金色 サウサンプトン’はテートブリテンでみた‘青と銀色 クレモンの灯’(10/12/23)と同じ調子の絵。ワシントンのフリーアでホイッスラーの作品は沢山みたので、この2点をみれれば一区切りできる。

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2011.07.04

もっと見たいハドソンリバー派の名画!

2812_2   コールの‘雷雨のあとのホウリオウク山からの眺め’(1836年 メトロポリタン美)

2814_2     コールの‘ナイアガラの滝の眺望’(1830年 シカゴ美)

2813_2     チャーチの‘コトパクシの眺め’(1857年 シカゴ美)

2811_2   ビーアスタットの‘ロッキー山脈 ランダーズ・ピーク’(1863年 メトロポリタン美)

NYのメトロポリタン美ヘ08年行ったとき、とても楽しみにしていたのがハドソンリバー派の風景画。このハドソンリバー派の絵画については、03年に放送されたNHK人間講座‘美は時を超える’の講師をつとめた日本画家千住博から教えてもらった。

講座のなかではMETにあるトマス・コール(1801~1848)、フレデリック・エドウィン・チャーチ(1826~1900)、アルバート・ビーアスタット(1830~1902)の作品が紹介された。千住博ご推奨の風景画だから、入館すると真っ先にアメリカン・ウイングをめざした。ところが、生憎改装中でみれたのは雄大なアンデスの風景が信じられないほど緻密に描かれたチャーチの‘アンデスの山奥’(拙ブログ08/5/11)のみ。思い入れが強かったので1点だけだと消化不良の感はいなめない。

だから、次回のMETではコールの長いタイトルがついた‘雷雨のあとのマサチューセッツ州ノーサンプトン、ホウリオウク山からの眺め’とビーアスタットの‘ロッキー山脈、ランダーズ・ピーク’のリカバリーをまず果たしたい。ハドソンリバー派はこの3点で終わり?画集がないので一体どのくらの数があるのかわからないが、作品情報はもう数点ある。

それはシカ美が所蔵するコールのナイアガラの滝を描いたものと図版をみているだけでも心が震えるチャーチの‘コトパクシの眺め’。シカゴ美ではオマケのホッパー展とホーマー展が急遽入り、スーラの点描画などの追っかけ画を大急ぎでみることになったため、アメリカ絵画の部屋はオキーフ以外はパスした。

ここにとりあげた2点は鑑賞のあと購入した館の図録に載っていたもの。頁を開いた瞬間、ため息がでた。METにあるものと勝るとも劣らない傑作!こういうコレクションがあるのだから、シカゴ美というのはやはり凄い美術館。会えなかったのは残念だが、またここへ出かけるインセンティブができたと思うことにした。

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2011.07.03

もっと見たいホーマーの名画!

2807_3          ‘見張り’(1896年 ボストン美)

2810_2     ‘八点鐘’(1886年 アディソン・ギャラリー)

2808_2     ‘ライフライン’(1884年 フィラデルフィア美)

2809_2     ‘メキシコ湾流’(1899年 メトロポリタン美)

08年はじめて訪れたシカゴ美ではお目当てのスーラの‘グランド・ジャット島の日曜日の午後’がみれただけでなく、予想もしなかったビッグなオマケが3つもあった。それはホッパーとホーマーの回顧展(拙ブログ08/4/9)と図版では想像もつかないほどすばらしかったカイユボットの‘パリの通り、雨’。

これだけ大きな感動をもらうと、シカゴ美のことは一生忘れない。ここにはホッパーだけでなく、アメリカ人画家ホーマー(1836~1910)のいい絵があることは回顧展に並んだ水彩や油彩をみるまで知らなかった。見終わったあと、ホーマーの海洋画を1点々追っかけようと思った。

ボストン美は10年秋に新館のアメリカ館が完成した。3年前は工事中のため、必見リストのトップに載せていた‘見張り、すべてOK’がみれなかった。ボストン美へはじめていったのは今から18年前。当時はモネ、ルノワール、ゴーギャン、ゴッホの絵に夢中だった。で、‘見張り’はこれほど力強い絵なのにみた記憶がない。だから、そのリカバリーに意気込んで行ったのだが、残念なことに部屋がクローズ。新装なったニューボストン美に期待したい。

‘八点鐘’も‘見張り’とともにぐっと惹きこまれる絵。手前に大きく描かれた2人の船員は六分儀で太陽の高度を測っている。帽子のハイライトと大きく揺れる波頭の白が強く目に焼きつく。この絵をみれる機会があるだろうか?

救難隊員が難破した船から女性を救い出すところを描いた‘ライフラン’はフィラデルフィア美を訪れたら真っ先に足を運ぶことにしている絵の一枚。まるで遭難映画の一場面、荒れ狂う波すれすれ女性を救いだす隊員の動きを固唾をのんで見守っている感じ。

メトロポリタンで‘ライフライン’同様、緊迫感につつまれる‘メキシコ湾流’をみた。荒波に翻弄される船はマストが折れ、みるからに悲惨な状況。黒人の若者が必死に船につかまっているが、まわりを鮫が大きな口をあけてぐるぐるまわっているから生きた心地がしないだろう。

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2011.07.02

もっと見たいホッパーの名画!

2803_2     ‘サマータイム’(1943年 デラウェア美)

2805_2     ‘夏の夕暮’(1947年 個人)

2806_2     ‘ホテルの窓’(1956年 個人)

2804_2     ‘陽光を浴びる人々’(1960年 ワシントンナショナル・ギャラリー)

この秋、国立新美で行われるフィリップス・コレクションの‘モダン・アート、アメリカ’展と来年2月の‘ポロック展’(東近美)に大変期待している。アメリカのアーティストの作品はパリのポンピドーやロンドンのテート・モダンでもロスコやポロックなどビッグネームのものはそこそこみれるが、やはりアメリカの美術館やギャラリーに足を運ばないと幅広く楽しめない。

08年にシカゴ美やワシントンナショナルギャラリーなどをまわり、アメリカ美術のすばらしさを目に焼き付けた。そのときは印象派やポスト印象派をやっつけようという思いがあり、アメリカのモダンアートへの集中力は半分くらい。で、NYのMoMAやグッゲンハイム、ホイットニー美(拙ブログ10/9/22)は次回の楽しみとした。それから3年経ったので、NYやワシントンへ心が動き始めている。

今頭の中にあるラフな鑑賞計画はNYの上述の3つの美術館、前回工事中だったボストン美のアメリカ館、そしてロスコやリキテンスタインなどの追っかけ画リストの1/3くらいしかみれなかったワシントンナショナルギャラリーの新館。また、時間があればフィリップスコレクションのロスコルームにも立ち寄りたい。

とくに関心の高い画家はホッパー、ホーマー、オキーフ、ワイエス、ポロック、ロスコ、ニューマン、ジョーンズ、ステラ、リキテンスタイン。このなかでホッパー(1882~1967)は08年幸運にもシカゴ美で大規模な回顧展(08/4/8)に遭遇し、念願の‘夜ふかしする人々’をはじめ傑作の数々をみることができた。

好きな画家の場合、こういう回顧展を体験すると美欲がさらにふくらみ、あの絵もこの絵もみたくなる。そんな絵をあげてみた。ホッパーは灯台や建築物、家屋なども沢山描いているが、それよりもっと惹かれているのは人物が登場する作品。

ホッパーの人物描写は印象派でいうとドガ的なイメージが強く、ホテルや建物がある街の雰囲気はどこか静寂で孤独感の漂うデ・キリコの世界。全部とはいわないが、1点でもみれたら幸せな気分になれる。ミューズは微笑んでくれるだろうか。

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2011.07.01

11年後半 展覧会プレビュー!

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恒例の今年後半に開催される展覧会のプレビューです。今のところ知りうる情報をもとにまとめてみました。

★西洋美術
7/5~9/25     大英博 古代ギリシャ展    西洋美
7/7~9/4      青木繁展             ブリジストン美
7/28~9/4     藤島武二・岡田三郎助展    横浜そごう美
8/10~10/10   ヴェネチアン・グラス展      サントリー美
9/10~11/13   ドニ展               損保ジャパン美

9/23~12/11   ヴェネツィア展          江戸東博
9/28~12/12   モダンアート、アメリカ      国立新美
10/13~12/25  ロートレック展          三菱一号館美
10/22~1/29   プラド美蔵 ゴヤ展       西洋美
11/23~12/27  セガンティーニ展         損保ジャパン美
12/23~3/14   フェルメールからのラブレター展  Bunkamura

★日本美術
7/20~9/25    空海と密教美術展       東博
8/9~10/2     朝鮮時代の美          千葉市美
8/27~9/25    名物刀剣展           根津美
9/13~11/23   朝鮮時代の絵画        日本民藝館
10/1~11/27   浮世絵戦国絵巻        太田記念美

10/1~12/4    朝鮮陶磁名品展        静嘉堂文庫
10/8~11/6    春日の風景           根津美
10/9~11/23   松岡映丘展           練馬区美
10/10~11/13  酒井抱一展           千葉市美
10/25~12/4   法然と親鸞展          東博
12/17~2/12   歌川国芳展           森アーツセンター

(注目の展覧会)
西洋美術で期待値が高いのはプラド美所蔵の‘ゴヤ展’、目玉はあの‘着衣のマハ’。今年1月、久しぶりに時間をかけてみたが、また日本でみられるとは思ってもみなかった。お気に入りの‘ホベリャーノスの肖像’もやってくるのだから目に力が入りそう。また、西洋美がもっている版画コレクションとの対面も楽しみ。

国立新美ではワシントンの美術館の第2弾、フィリップス・コレクションのアメリカ絵画が公開される。チラシにはオキーフ、ホッパー、ロスコ、モーゼスなどが載っている。これから、鑑賞の対象を徐々にモダンアートへシフトさせるつもりなので、アメリカのアーティストの作品には興味深々。

日本美術でテンションがあがりそうなのが国宝・重文がどっと登場する‘空海と密教美術展’。東寺はだいぶごぶさたしているので、傑作の数々をじっくりみたい。もうひとつの楽しみは千葉市美で開かれる‘酒井抱一展’。追っかけ画が果たして何点でてくるか?千葉市美が行う回顧展はいつも数がびっくりするくらい多いからおおいに期待している。

そして、年の締めくくりはアゲイン国芳。これは大阪市立美からはじまったもの。プラスαが何点あるか、国芳ワールドにまたどっぷりつかりそう。          

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