セザンヌの‘画家の父’と嬉しい再会!
ポスト印象派の画家で作品数の多いのがセザンヌ(1839~1906)。油彩6点のなかで足がとまるのは‘画家の父’。大作なのでどっしりした父親の姿に見入ってしまう。右から強い日差しが当たっており、椅子の背の輝く白と靴の濃い影が目に焼きつく。
08年現地でみた13点のうち感激したのはこの絵(拙ブログ08/12/30)と‘ペパーミント瓶のある静物’。ほかの作品はそれほど惹かれず、セザンヌ全体の作品からいうとアベレージクラスという印象だったが、今回のラインナップも同じ思い。で、‘画家の父’以外はさらさらとみて終わり。
‘赤いチョッキの少年’は現地で展示されてなかったので期待していたが、本物はそれほどでもなかった。いつかこの目でと思っているチューリッヒにある同名の絵と比べたら、正直言って心は半分しか動かない。その原因は背景。ゴチャゴチャした背景のため少年が画面のなかに埋没している。
ゴッホ(1853~1890)は3点。‘自画像’と‘プロヴァンスの農園’はグッとこず、びっくりするほど明るい‘薔薇’の前に長くいた。この美術館にあるゴッホはなんといっても‘ムスメ’(08/4/16)。この展覧会の情報を知ったときちょっぴり期待したが、その夢はすぐ消えた。ゴッホの人気ははアメリカでも高いから、画集に必ず載っているこの名画はまず貸し出さない。
ワシントンにはすばらしいゴーギャン(1859~1891)のコレクションがあるのだが、今回は1点だけ。これには事情がある。この展覧会がはじまる3日前まで、現地でゴーギャンの大回顧展(2/27~6/5)が開かれていた。ここに‘自画像’(08/12/30)や‘悪魔の言葉’など自慢の名画が7点でていたので、今は作品のお休み期間。‘踊る少女たち’はロンドンのテートモダン(10/12/13、今年1/16に終了)のみの展示だったから、日本に淋しく一人旅。でも、ブルターニュの純朴な少女たちは楽しく踊っている。
スーラ(1859~1891)の点描画はよく覚えている。というのも、絵の前で学芸員が大学生のグループに‘この絵には6色しか使われていない!’と熱く解説していたのがたまたま耳に入ったのである。隣にもう1点初見の作品もあったので少し離れてじっくりみた。スーラのヴァリエーションが増えたのでとても喜んでいる。
この展覧会はもう一度でかけるつもり。
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