ゆったり鑑賞!東博総合文化展 応挙・正宗
田能村竹田の‘松巒古寺図’(重文 1833年)
東博の平常展は今年から‘総合文化展’になった。といっても展示内容とか方法は前と同じ。平常展がいつも同じものを展示しているというイメージを変えたかったようだ。その気持ちはわかるが、‘総合文化展’はいかにも文科省管轄の美術館らしいネーミング。
東博の今の回り方は浮世絵コーナー以外はゆったり鑑賞モード。ここの追っかけ作品はほとんど見終わったので、気楽にみている。事前のHPチェックもしたりしなかったり。この度はNO情報。2階向かって左の書画の部屋(展示は7/10まで)に思わず足がとまった絵があった。
円山応挙(1733~1795)の龍。じつはこの絵ははじめてではない。8年前大阪市美であった応挙の大回顧展でみた。そのあと、平常展でこれをみたという記憶がない。この間ずっと倉庫のなかにあったということもないだろうが、久しぶりに応挙のいい龍に会ったという感じ。釘付けになるのが目と上の稲妻、胡粉の白が一際輝いている。
視線がどんどんあがっていくのがやたら長い田能村竹田(1777~1835)の山水画。渓流にそって立つ形のいい木々は理想郷への道しるべ、こういう縦長の画面では穏やかな自然のなか時間はゆったり流れており、心も体も深く安まる。
英一蝶(1652~1725)のお気に入りの絵‘雨宿図屏風’(7/10まで展示)は左奥の角っこのところにある。‘一蝶リターンズ’(09年 板橋区美)以来だから2年ぶり。急に雨に遭遇し武士も町人も農夫もみなあわてて雨宿り。ありふれた光景を一蝶は温かい眼差しで描いている。
今回想定外の収穫は1階の刀や鍔の部屋に展示してあった刀‘相州正宗(観世正宗)’。やっとみれた。見事な沸(にえ)の煌きに息を呑んでみていた。展示は6/5で終了。
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