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2011.06.24

カイユボットのカヌーの絵は期待値を上回る傑作だった!

2779     カイユボットの‘カヌー’(1877年)

2780     ルノワールの‘シャトゥーの漕ぎ手たち’(1879年)

2778           ピサロの‘麦わら帽子をかぶる農家の少女’(1881年)

2781     カサットの‘青いひじ掛け椅子の少女’(1878年)

今回の‘ワシントンナショナルギャラリー展’(6/8~9/5)は3ヶ月の大興行、東京が終わると京都市美(9/13~11/27)でも開催される。東京展は夏休みがまるまる会期に入っているので絵が好きな子どもたちや大学生にはもってこいの展覧会である。

日本は印象派やポスト印象派の展覧会については本当に天国。だから、印象派に目覚めたあるいは気になりだした中高生や学生、そして若年層にとって日本の展覧会シーンは理想的かもしれない。海外の美術館へ出かけなくても、とにかく日本で行われる大きな展覧会にまめに足を運んでおれば10年もたつと相当の‘通’になれるのである。My‘美術通’は知識を詰め込んでいる人のことではなく、本物を多くみている人のこと。場数をふめば皆いたって気楽な‘通’になれる。

昨年のオルセー展やこの展覧会のように質の高い作品がどさっとやってきたときは、会期中に何度も通い名画を集中的に味わうのも一つの方法。いい絵というのはどういうわけか一生懸命みると目に焼きつく。絵画の鑑賞で一番大事なことは解説文を読むことではなく、キャンバスを見尽くすこと。そうするとAクラスの‘通’への道が開ける。

会場で作品を一通り見終わるともう一度見ることにしている。そのとき、作品を少し離れたところからみる。すると輝いている絵とそうでない絵がよくわかる。今回最も光輝やいている絵はカイユボット(1848~1894)の‘カヌー’。画面が周りの作品とくらべると際立って明るい。キャンバスがまるで発光体のよう。

この絵は08年現地でどういうわけか展示してなかった。‘もっと見たい’シリーズでとりあげたが(拙ブログ10/9/14)、こんなに早く対面が実現するとは思ってもみなかった。しかも、期待値を上回る傑作だったので、テンションは一気にプラトー状態になった。

6点あるルノワール(1841~1919)のなかで‘モネ夫人とその息子’と‘ポン・ヌフ、パリ’が追っかけ画だったが、それほど引き込まれなかった。見入っていたのは現地での記憶がよく残っている‘シャトゥーの漕ぎ手たち’。画面全体に強い光を感じる絵でボートの赤と水面の青が印象深い。

女性画で心をとらえた絵がマネとモネのほかにもあった。それはピサロ(1830~
1903)が描いた農村の少女。被っている麦わら帽子に当たった日差しをみるとかなり眩しそう。ピサロの女性画をみる機会は多くないが、これほど惹きつけられたのははじめて。

アメリカの女流画家カサット(1844~1926)は08年美術館をまわったとき、ボストン美やシカゴ美で女の子や幼子を描いたものを体験したのですこしは馴染みがある。でもその数はせいぜい片手くらい。ワシントンではカサットの絵はなぜか1点もなかった。で、‘青いひじ掛け椅子の少女’は美術館の図録で知った。

気になる絵なので次回のリカバリーリストに入れていたが、嬉しいことに日本でみれることに。目の覚める青のカバーがかけられた4つの椅子がつくりだす空間はぐーらぐらする感じだが、落ち着きのないおてんば娘の姿がしっかり目になかに入ってくる。

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コメント

いづつやさんのブログで知ってから、とても気になっていた『カイユボット』です
今回この「カヌー」にお目にかかれるとは、本当に嬉しいです。(私は秋に京都でですが)
この作品は、ボートのオールを漕ぐ際に手に感じる水圧(抵抗)さえも伝わって来る様な水面、水の表現です。
モネもピサロもスーラ(最近めっきりスーラに魅せられています)もいいけれど、ゴッホの薔薇が気に入り、パソコンの背景にして毎日眺めております。
図録の表紙が選べるのですか?
オルセーは、京都には残念ながら巡回がなかったので今回は京都にくるのがまちどおしいです。

投稿: licoluise | 2011.06.28 13:01

to licoluiseさん
カイユボットのカヌーの絵に200%KOされ
ました。びっくりするほど明るいです。京都展
でまわりの絵をぐるっとみられてその光の輝き
の違いをとくとご覧になってください。

ゴッホの薔薇もすばらしいです。08年の
とき、図録に収録されてないので絵葉書を購入
しました。爽快な気持ちになります。

今回おもしろい試みで図録の表紙が3つの
なかからチョイスできます。My表紙はもちろん
‘鉄道’です。

投稿: いづつや | 2011.06.28 23:28

カイユボットの「スキフ」
水面に映るオールとオールをかいた水のあとの
感じがとてもいい感じです。
(なんと表現していいのか??)
オールを漕ぐとぽてっとした感じが手に伝わり
それが水面の表現になっているようです。
手前を見ながら奥へとそして奥へと視線も誘われます。
ゴッホの「薔薇」も、
ひまわりやアイリスとは違った感じが伝わってくるのは、
背景の色にもあるのでしょうか?

投稿: licolusie | 2011.10.01 12:32

to licolusieさん
カイユボットのカヌーの動感描写は見事ですね。
水をリアルに描くのは大変難しいと思いますが、
たいしたテクニックです。

ゴッホの油彩全集に薔薇の絵は4点くらい載っ
てますが、この絵が群を抜いていいです。
背景と薔薇の同じ白が互いに引き立てあって
ますね。

投稿: いづつや | 2011.10.01 20:15

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