アートに乾杯! ラファエロ vs ゴヤ
ゴヤの‘裸のマハ(上)’(1800年) ‘着衣のマハ(下)’(1805年)
梅雨に入ったこの時期に秋の展覧会の話をするのはまだ早いのだが、プラド美から西洋美にやってくるゴヤ(1746~1826)の‘着衣のマハ’とこの絵に関連してふと気づいたことを少しばかり。
すでにできあがっている‘ゴヤ展’(10/22~1/29)のチラシをみると、流石、西洋美と唸らせるものが入っている。大ホームランの‘着衣のマハ’のほかにクリーンヒットが2本。1月のプラド美感想記(拙ブログ2/17)でもとりあげた‘ホベリャーノスの肖像’と‘自画像’。ふたをあけてみたらほかにもいい作品があるような気がする。とても楽しみ。
現地で‘裸のマハ’と‘着衣のマハ’を久しぶりにみたあと、日本に帰りマハのモデルとなった女性や作品が描かれた経緯などについてレビューしてみた。そして、その余禄として美術本の図版をサーフィンしていたら、マハの絵と響き合う絵にふと気がついた。それはラファエロ(1483~1520)が描いた‘ラ・フォルナリーナ’(ローマ バルベリーニ宮国立古代美)と‘ヴェールをかぶった婦人’(フィレンツェ ピッティ美)
ゴヤに先立つこと285年くらい前、ラファエロはマハの2つの絵を連想させる絵を描いていた! 勝手に名前を変えさせてもらうと‘裸のフォルナリーナ’と‘着衣のフォルナリーナ’。ご存知のようにフォルナリーナは‘パン屋の娘’の意味。‘裸のフォルナリーナ’の腕輪には‘ウルビーノのラファエロ’と書かれている。ムム、こりゃ、なんじゃい!?ラファエロは愛する女性を美しく描くだけでは足りず、思いをこめた文字まで描き込んだ。
これと同じことを実はゴヤもやっている。‘黒衣のアルバ女公爵’(1797年)でゴヤと恋仲にあったアルバ女公爵が指さす先にはなんと‘ソロゴヤ(ゴヤだけ)’の文字が。ラファエロとゴヤをつなぐ糸がみえてきた。となると、おおいに妄想したくなる。ゴヤは2枚のマハを描くとき、ラファエロの絵が頭のなかにあったのではないかと。
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