写楽の大首絵と歌麿の極上美人画が夢の共演!
‘婦人相学十躰 ポペンを吹く娘’(ホノルル美)
‘難波屋おきた’(ホノルル美)
‘高島おひさ’(ギメ美)
‘歌撰恋之部 物思恋’(ギメ美)
‘写楽展’のサプライズは写楽の大首絵28枚のすごいラインナップのほかにもうひとつある。それはまったく予想外だった歌麿の美人画。会期中に10点でてくるが、この中に追っかけ画がなんと5点も姿を現してくれた。事前の情報がまったくなかったから、‘写楽を生み出した蔦屋重三郎’のコーナーでは夢の御殿にいるような気分だった。
その嬉しい5点とはホノルル美が所蔵する歌麿の絵というとすぐ思い浮かべる‘ポペンを吹く娘’と‘難波屋おきた’、そしてパリのギメからやってきた‘高島おひさ’と‘歌撰恋之部シリーズ’の‘物思恋’、‘深く忍恋’。これらは手元にある歌麿本、浮世絵ギャラリー‘歌麿の美人’(小林忠著 小学館 06年)、週間‘日本の美をめぐる 歌麿’(小学館 02年)に載っており、いつかこの目でと思い続けてきた。
絵自体は東博とか海外の美術館の里帰りでこれまでみているので一応済みのマーキングをしている。でも、仮りのマーク。ほかの日本画や西洋絵画ではこういうマークのつけ方はしないのだが、浮世絵の場合は美術館や個人が所蔵するベストの摺りを見ることを到達点にしている。ホノルル美とギメにあるこの5点はカッコつきで最もいいもの。
カッコつきとしているのはボストン美のスポルディングコレクションが頭にあるから。4年前NHKスペシャルで紹介されたこのコレクションのなかに5点が全部含まれているかわからないが、美術雑誌に載った‘物思恋’を見る限り、ギメのものより摺りの状態はさらにいい。上には上がまだあった。
でも、スポルディングコレクションは永遠に公開されないため、ほんの一部の専門家は別として普通の浮世絵好きには縁がない。だから、今回お目当ての絵がみれたので大満足。いずれも美しい顔をとらえるのびのびとした線や精緻に描かれた黒髪、着物の模様は目を見張らされるものがあり、うっとりしながら眺めていた。
東博は北斎、写楽と世界中の浮世絵ファンを唸らせるすばらしい回顧展を開催してくれた。となると、次は歌麿を期待したくなる。今からそこで最後の追っかけ画‘月見の座敷図’(フリーア美)と‘吉原の花’(ワーズワース・アテネウム)に会うことを勝手に妄想している。
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