« いつか行きたい美術館! ノルトライン=ヴェストファーレン美 | トップページ | ‘写楽展’のビッグなオマケ! 歌川豊国 »

2011.05.12

世界中からベストの役者大首絵を揃えた‘写楽展’に大感激!

2665_3           ‘三代目大谷鬼次の奴江戸兵衛’(メトロポリタン美)
  
2664_2           ‘谷村虎蔵の鷲塚八平次’(ベルギー王立美)

2667_2           ‘二代目坂東三津五郎の石井源蔵’(ギメ美)

2666_2           ‘三代目瀬川菊之丞の田辺文蔵女房’(個人)

一ヶ月遅れではじまった‘写楽展’(東博 5/1~6/12)を楽しんだ。予想以上にすごい作品が世界中から集まっていたので、もう大感激。この余韻は半年くらい持続しそう。地震の余震は嫌だが、こちらの余韻はいくら続いてもいい。

作品は全部で287点。このうち前期(5/1~5/22)、後期(5/24~6/12)あるいは変則期間に展示されるのが49点、残りの238点は会期中出ずっぱり。でも40日の公開だから、急がないとすぐ終わってしまう。こういう超一級の回顧展は滅多に体験できないので後期も勿論出動する。

16年前みた‘大写楽展’(東武美、今はない)のときもパリのギメ美や大英博物館など浮世絵コレクションで知られた美術館が所蔵する一級の大首絵が公開されたが、今回の作品はこのレベルをさらに上回るすばらしいものが揃っている。写楽のデビュー作となった28枚の今、知られているベストのものを世界中から集めている感じ。これは本当にすごいこと!こんなことはこれから先30年くらいないかもしれない。

このオールスター28枚の所蔵先をみてみると、ギメ7点、ベルギー王立美4点、個人4点、マーン・コレクション2点、大英博2点、メトロポリタン美、ベルリン国立アジア美、リー&ジュディ・ダークス・コレクション、ホノルル美、アムステルダム国立美、デイヴィド・ワインバーグ・コレクション、太田記念美各1点。

今回とても印象深いのが同じ絵を摺りの状態の違う作品を2,3点並べてみせてくれたこと。その中に個人が所蔵しているすばらしいのが2点あった。‘田辺文蔵女房おしづ’と‘二代目嵐龍蔵の金かし石部の金吉’。こんな摺りのいい写楽の大首絵はもう二度とみることはないだろうと思いながら夢中になってみた。

‘田辺文蔵女房おしづ’は鉢巻と着物のしだの紫が退色せずよく残り、背景の黒雲母の状態もすごいいい。そして‘金かし石部の金吉’は体が震えるくらい色が鮮やか。完璧な黒雲母に黒光りする髪、黒襟で引き締まった格子縞入り黄橙々色の着物が浮き上がっている。

大谷鬼次の‘奴江戸兵衛’はメトロポリタンが所蔵する最もいいものだが、これは95年名古屋市博であった‘メトロポリタン美浮世絵名品展’のとき以来の鑑賞。当時着物の鮮やかな朱や緑にびっくりしたのを今でも鮮明に覚えているが、また会えたのだからこれほど嬉しいことはない。東博蔵(拙ブログ06/11/17)もいい摺りの部類にはいるが、これには敵わない。

ベルギー王立美の‘鷲塚八平次’はそのアクの強い顔が強烈に印象づけられる。これは3年前太田記念美であった展覧会に登場したから、まだ記憶に新しい。大英博や東博のものと比べてみると、これは紫が残っておりやはり一番惹かれる。

インパクトの強い奴江戸兵衛や鷲塚八平次に対し、なんとも頼りないのが‘石井源蔵’(ギメ美)や無精ひげの‘初代尾上松助の松下造酒之進’(大英博)。写楽の個性豊かな役者絵をこんな摺りのいいもので楽しめるのだから、幸せな気持ちになる。東博に拍手々!

|

« いつか行きたい美術館! ノルトライン=ヴェストファーレン美 | トップページ | ‘写楽展’のビッグなオマケ! 歌川豊国 »

コメント

「写楽」の展覧会に併せてNHKで取り上げられることが多く、
大和文華館館長が浮世絵研究の第一人者であることも知りました。
写楽第一期は、役者の内面までと言われますが、
私には歌舞伎というものの本質を
描いているような気がいたします。
指の先、睨みのきいた目にまで
力が入って迫力で迫ってきます。
関西には巡回がないのが残念です。

投稿: licolusie | 2011.05.13 09:05

to licolusieさん
今回、会場に外国人が結構いて熱心にみて
ました。肖像画家写楽の人気はやはりすごい
ですね。

METの‘奴江戸兵衛’は最高の1点では
ないかと思います。‘やるか!’と凄みを
きかせる緊張の一瞬を見事に表現してま
すね。

投稿: いづつや | 2011.05.13 17:43

こんばんは。
僕も行きました、震災で不出品なのがドイツのブレーメンのもの、あとは所在不明とか門外不出のものですから、本当によくこれだけのものを集めたと歓心しました。
16年前に東武で写楽展があったのですか。
そのころは浮世絵にまったく関心あらずー。
ふと思う、印象派の画家たちに影響を与えた浮世絵、写楽は影響を与えなかったのかなとー。
しかし浮世絵の「価値」を見出したのが外国人で海外に相当流出していますから皮肉なことです。
トーハクは、夏の空海と密教も期待ですね。

投稿: oki | 2011.05.14 22:34

to okiさん
この回顧展は超一級です。東武のときもすごい
ラインナップでしたが、今回はこれをさらに
上回ります。しかも、世界トップの歌麿が5点
もあるのですから驚きです。何度も通ったら
浮世絵の通になれます。

東博はやはり日本美術の本家ですから、いい
展覧会をやってくれます。空海展も期待大です。

投稿: いづつや | 2011.05.15 13:11

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 世界中からベストの役者大首絵を揃えた‘写楽展’に大感激!:

» 「写楽展」 [弐代目・青い日記帳 ]
東京国立博物館(http://www.tnm.jp/)で開催中の 特別展「写楽」に行って来ました。 →【速報】「写楽展」 写楽展公式サイト:http://sharaku2011.jp/ 「写楽展」と名の付く展覧会で今回の規模、質を上回るもの開催されることありません。第2クォーター(4月〜6月)展覧会ベスト3入りどころか、年間ベスト5入り間違いなしの展覧会。 現在確認されている写楽作品146点のうち現存しないもしくは諸般の事情で貸出し不可能な4点を除く142点の写楽作品が... [続きを読む]

受信: 2011.05.29 17:28

« いつか行きたい美術館! ノルトライン=ヴェストファーレン美 | トップページ | ‘写楽展’のビッグなオマケ! 歌川豊国 »