アートに乾杯! 滝のフォルム どれがお好き?
渓斎英泉の‘日光・素麺之滝(左)’‘裏見之滝(右)’(1843~46年)
長沢芦雪(1754~1799)が描いた滝の絵は今回の回顧展に4点でている。鯉の滝登りが2点と‘赤壁図’と‘鶴亀図’。このうち長くみていたのが‘鶴亀図’(6/5まで展示)。六曲一双の屏風で滝と亀は右隻に描かれている。
この屏風をみるのは2度目。芦雪が描く鶴(左隻)はおもしろくないので、視線は滝とその下にいる亀ばかりにいく。この滝のフォルムは水しぶきをあげて落下する滝のリアルさはなく、デザイン化された水の流れが上から下へ階段を下っていくように繰り返されている。
これをみてすぐ頭に浮かんだのが葛飾北斎(1760~1849)の‘諸国瀧廻り’シリーズの一枚、‘木曽路ノ奥阿弥陀ヶ瀧’。この滝は円で囲まれた滝口の左右に柔らかく曲がる水の線とは対照的に、落下ししだすと大根の先みたいにべたっとした細長い色面になっていく。芦雪の滝もこの滝も意匠的な表現となっている。
これに対して滝の量感あふれるダイナミックなフォルムに圧倒されるのが‘下野黒髪山きりふりの滝’と渓斎英泉(1790~1848)が描いた日光にある2つの滝。‘きりふりの滝’をはじめてみたときは滝のお化けに出会った感じだった。また、大蛸の足のようにもみえた。
英泉の‘裏見之滝’はお気に入りの絵。ドドドッと滝壺に激しく落ちる大きな水の帯は水量豊かで迫力満点。近づくと飛び散る水しぶきでずぶぬれになりそう。この裏見の滝をいつかこの目でと思ってはいるが、その機会がなかなかつくれない。
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