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2011.04.22

西洋画・日本画比較シリーズ!  ブリューゲル VS 川合玉堂

2591_2     ブリューゲルの‘干草の収穫’(1565年 プラハ国立美)

2592_2     ブリューゲルの‘穀物の収穫’(1565年 メトロポリタン美)

2593_2     川合玉堂の‘早乙女’(1945年 山種美)

2594_2     川合玉堂の‘麦秋’(1953年)

西洋の風景画は時代の流れからいうと、まず農村の風景が描かれ近代になると農村だけでなく印象派のように都市における人々の生活も描かれるようになる。

仕事に勤しむ農民の様子を描いた画家としてすぐ思いつくのはミレー。代表作の‘落穂拾い’や‘種蒔く人’は美術の教科書に載っているから、農民画というとミレーの絵が反射的にでてくる。そして、もう一人忘れてならないのがブリューゲル(1526~1569)。

ブリューゲルの作域は広く、農民画だけでなくボスを思わせる怪奇的絵もあるし、‘バベルの塔’のような空想的風景画もある。農民の仕事ぶりや自然の移り変わりをあたたかい眼差しでとらえたブリューゲルの作品のなかで、最も気に入っているのが‘干草の収穫’。15年前だったか、20年前だっか忘れたが、この絵は日本にやって来た。確か、このとき‘絞首台の上のカササギ’も一緒に展示された。ブリューゲルの油彩を日本でみる機会はなかなかないから、この展覧会は今でも強く心に残っている。

視線の集まるのが左方向へ元気に歩いていく3人の若い女性。鋤を肩にのせている真ん中の女性はこちらをじっとみつめており、その明るい表情にぐっと惹きこまれる。そして、中景にみられる人物の細かい描写や遠くの起伏にとむ山々の風景が広々とした空間のイメージを与えている。真に見事な風俗風景画。

メトロポリタンにある‘穀物の収穫’はリズミカルな動きが感じられる‘干草の収穫’とは違い、収穫の作業の現場そのままといったところ。木の下では男が疲れ果てたのか足を大きく開き眠っており、その横で女たちが食事をしている。画面の大半を占める実り豊かな穀物の黄色にいつも心を奪われてしまう。

ブリューゲルの描く農村の風景はどこか川合玉堂(1893~1957)の絵とシンクロする。人々の表情やしぐさ、そして全体の雰囲気がどこか似ているので、玉堂を勝手に‘日本のブリューゲル’と呼んでいる。‘早乙女’の腰を伸ばし一息入れている女性を見るたびに‘穀物の収穫’の眠っている男が頭をよぎる。

‘麦秋’は大変魅了されている絵。秋の収穫で忙しい農村の風景が俯瞰の構図で見事に描かれている。斜面に広がる畑とその向こうの木々が奥行きのある空間をつくり、秋の空気が四角の画面に満ち満ちている。

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