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2011.04.08

見ごたえ充分の‘江戸の人物画’展!

2552_2     池大雅の‘柳下童子図屏風’(重文 18世紀後半)

2554_2     曽我蕭白の‘太公望・登竜門図’(18世紀後半)

2555_2     円山応挙の‘元旦図’(18世紀後半)

2553_2     ‘舞踊図’(重文 17世紀前半)

現在、府中市美で開催中の‘江戸の人物画’展(3/19~5/8)を楽しんだ。京王線東府中駅からでているバスへのタイミングが今回も悪かった。25分も待てないので、美術館まで歩くことにした。公園のなかの道の両サイドは桜が満開、ちょうど昼時だったから展覧会を見る前に花見をかね売店でしばし食事タイム。

府中市美は横浜からは遠くにある美術館だが、ここの企画展は内容が充実しているのでいつも大きな期待をもってでかけている。展示されている作品は江戸時代に描かれた人物画、その数99点。これをいくつかにグルーピングしてみせているのだが、その分け方がとても新鮮。しかも、びっくりするほどの絵をさらっと展示しているので、サブタイトルの‘姿の美、力、奇’がすとんと腹に落ちる。ここの学芸員の企画力は相当なもので、その美的感性は洗練されている。

会期の前期(3/19~4/17)と後期(4/19~5/8)で作品がほとんど変わる。前期は54点、後期も同じくらいの数がでてくる。ビッグネーム絵師の作品数(通期)をみてみると、最も多いのは曽我蕭白で9点、次が円山応挙の6点。そして、伊藤若冲4点、長澤芦雪3点、池大雅2点。与謝蕪村はお休み。

配分は前期のほうが厚い布陣になっている。蕭白5点、応挙、芦雪(ともに全点)、そして大雅の重文作品1点。若冲は前期は1点のみで3点は後期、だから若冲が好きな方は後期に出かけるほうがいいかもしれない。蕭白も4点あるし、葛飾北斎の興味をそそる絵が登場する。長く浮世絵をみているが、北斎のこの絵は画集などでお目にかかったことがない。とても楽しみ。

じつはこの展覧会に足を運んだのは池大雅(1723~1776)の‘柳下童子図’をみるため。この絵は長年の追っかけ画。やっと会えた!画像は左隻だが、橋を上にいる体のまるい童子二人を空中からながめている感じ。でも、乗っているヘリコプターは高度をあげたり下げたりしているから、まわりの笹や柳は真横あたりからとか斜めからの視線で目に入ってくる。多視点と濃淡描写によってできる立体感覚がなんともおもしろい。

収穫はこの絵だけではなかった。びっくり仰天の絵が1点あった。それは蕭白(1730~1781)の‘太公望・登竜門図’。息を呑んでみたのが右の竜。トンネルを形づくるように立ち上がるいくつもの波頭に挟まれる感じで竜の頭が描かれている。蕭白にこんなすごい構図の絵があったとは!

応挙(1733~1795)の絵で思わず立ち止まったのは‘元旦図’。裃の武士の後ろ姿に意表をつかれるが、もっとびっくりするのが長い影。これまで浮世絵を除いて、人物の影にであったのは静嘉堂文庫にある英一蝶の絵しかない。この応挙の絵は小さな発見だが大きな収穫。

京都市が所蔵する‘舞踊図’は一度、サントリーやニューオータニ蔵のものと一緒にみたことがある。揃いでみるとこれが一番コンディションがよかったことを覚えているから、また夢中になってみた。描かれた6人のなかではこの画像の左の女がもっともきれい。癒し系の絵は長澤芦雪の‘唐子睡眠図’(拙ブログ09/10/11)とも嬉しい再会。

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コメント

こんにちは。
私も蕭白の登竜門の龍には驚きました。
今まで見た龍の絵の中でも一二を争うすばらしさだと実感しました。

投稿: 一村雨 | 2011.04.11 04:52

to 一村雨さん
ミニ蕭白展ですね。この龍には200%参り
ました。

こういう一つのテーマに絞った展覧会は幅があ
りすぎて作品への集中度が薄くなるきらいが
あるのですが、それに防ぐためいい蕭白をず
らっと揃えてます。これが印象度をあげて
ますネ。

日本美術の企画展で今注目しているのは
この美術館の金子氏と‘香り展’の古田氏
です。

投稿: いづつや | 2011.04.12 00:17

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桜の季節に府中で江戸絵画というのが、ここ数年来のイベントとなっている。過去の展覧会もちょうど自分の人事異動と重なって、公園の桜花とともに鮮烈に思い出として残っている。今... [続きを読む]

受信: 2011.04.11 04:53

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