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2011.04.13

大津波のため流出した戸籍で思い出した映画‘砂の器’!

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4月11日の報道によると、東日本大震災の大津波で流出した被災地4市町(陸前高田市、大槌町、南三陸町、女川町)の戸籍約3万8千件は法務局に残された副本などの記録から月内に再製できることになったという。

運転免許証の再発行やら戸籍のリカバリーやらとにかく被災者は元の生活にもどるまで一からやらなくてはいけないことが沢山ある。戸籍の再製のことを知ったとき、すぐ頭をよぎったのが映画‘砂の器’(1974年)にでてくる戸籍の偽造。今日はこの話を。

‘砂の器’はお気に入りの映画で、My‘日本映画ベスト5’に入れている。74年公開されたとき確か横浜の映画館でみた。見終わったあと一緒に鑑賞した友人と奥さん3人で‘いい映画だったね!’と興奮気味に語り合ったことを今でも鮮明に覚えている。

印象深い場面はいくつもあるのだが、そのひとつが今西刑事(丹波哲郎)が大阪の浪速区役所で元巡査の三木謙一(緒形拳)を殺害した新進気鋭の作曲家和賀英良(わがえいりょう、加藤剛)の戸籍を調べるところ。

今西:いままで仕事柄戸籍原簿を時々みせてもらったが、紙がちょっと新しいですね。

職員:前のは空襲で焼けましたから。

今西:それでは法務局の写しをとったのですか?

職員:法務局も確か、、やっぱりそうです。法務局のほうも燃えている。

今西:としますと、これは一体何に基づいて原簿を作るのですか?

職員:そりゃあ、本人の申し立てです。

今西:本人の申し立て?

職員:ええ、戦災で原簿が焼けてしまったときには、本人の申し立てで本籍再製という手続きがとられます。これは法律的に認められています。

場面が変わって、今西刑事は恵比須町で空襲のころを知る飲食店組合長(殿山泰司)から話を聞く。

組合長:和賀さんの家はあそこの角のたばこ屋のところですよ。空襲で焼ける前、あそこで自転車屋をやってました。わてらは早めに疎開したからよかったんですが、英蔵さんはええ人やったけど。

今西:しかし、ご夫婦亡くなられて、子供だけよく助かりましたね?

組合長:子供さんはいらはらしませんで。

今西:ええ?子供がない!

組合長:ほかには小ちゃな小僧さんが一人や。店員さんでな。可愛い子で夫婦も自分の子のようにかわいがっていた。

この店員が和賀英良で本当の名前は本浦秀夫(もとうらひでお)。秀夫は6歳のときハンセン病にかかった父親本浦千代吉(加藤嘉)と石川県の村から放浪の旅に出、やがて島根県の亀高にたどり着く。ここで善良な巡査三木謙一に保護されるが、療養所に隔離される父親とは引き離される。一人になった秀夫は三木巡査の思いをくみとることができず、亀高を離れまた放浪する。そしてたどりついたのが大阪。自転車屋の和賀家に身を寄せるのだが、空襲による戸籍の焼失に乗じて和賀夫婦の子供になりすます。

今、岩手・宮城県の町で本籍再製の手続きが行われようとしている。今度は戦争によってではなく天災のためである。

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