癒しのアートにつつまれて! 日本の子供たち
渓斎英泉の‘木曾街道 倉賀野宿・烏川之図’(江戸時代 天保中期)
日本で子供が描かれた絵を絵巻から水墨画、江戸絵画、浮世絵、近代日本画、洋画までひっくるめてみたとき、癒される作品としてすぐ頭に浮かぶのは岸田劉生(1891~1929)の‘麗子微笑’(東博)
この絵は日本画と違って油彩なのだから、常時展示されているのが本来の姿。でも、重文に指定されているので展示期間が制限され、ある一定の間隔でしかみることができない。パリのオルセーはいつ行ってもルノワールの傑作‘ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場’を楽しむことができるのに、世界に誇れるこのすばらしい麗子像はたまにしかみれないのである。
油彩の場合、展示ルールはまったく意味がない。こんなつまらない展示の仕方はいい加減やめてもらいたいが、日本の美術館は権威主義で頭の硬い人が多いからこの願いは100%実現しない。洋画の最高傑作である麗子像は東博にやってくる外国人を
200%いい気持ちにさせるのは間違いないのに、本当に残念。
竹久夢二(1884~1934)には雑誌の表紙などを含めると子供の絵が沢山ある。その中ですごく惹かれているのが地面に影を映す男の子の絵。こういう絵は描けそうで描けない。黒でなく青の影だが、違和感なくすっと目のなかにおさまるのが不思議。
出光美が所蔵する‘橘直幹申文絵巻’の巻頭に肩の力のぬける風俗描写がでてくる。5,6年前、これを出光でみたときは目が点になった。鎌倉時代にこんな楽しい絵があったとは!万屋の店先で女が忙しく働いており、女の横では裸の幼児がなにかを手伝っている。じつにいい光景。
西洋画に描かれた大勢の天使を連想するのが渓斎英泉(1791~1848)の絵。茶店の裏手の川で母親は洗い物をし、男の子たちは楽しそうに水遊びをしている。とても心が和む。
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