出光美の‘琳派芸術’展!
出光美の‘琳派芸術’展は今は酒井抱一(1761~1826)の作品を中心にした第2部(2/11~3/21)。琳派という名がつく展覧会は皆勤を心がけているので二度の出動。琳派狂いだから、そのあたりはぬかりなくチェックしている。
当初、今年生誕250年をむかえる抱一の単独回顧展を期待していた。が、それは叶わず後期に抱一作品をどっと展示する形をとっている。じつはここに展示される雛屏風の‘四季花鳥図’と裏に描かれた‘波濤図’がお目当てだった。いわゆる1点買い。
畠山記念館の‘酒井抱一展’(後期2/19~3/21)へも出かけたが、琳派のいいコレクションで知られる美術館へ通っているのはもちろん作品を楽しむためだが、もうひとつ期待しているのは琳派を特集した図録。今回出光も立派な図録を作成してくれた。06年の‘風神雷神図屏風’から5年ぶりの琳派もの図録。根津美には‘光琳展’(05年)があり、畠山記念館も07年に館蔵品の‘琳派’を作成しているから、これで3館の琳派図録が揃ったことになる。素直に嬉しい。
抱一の銀地の‘紅白梅屏風’は紅梅(右隻)と白梅(左隻)のどちらに視線がいくか? 大方の人は‘白梅’にちがいない。月夜をイメージさせる銀地に映えるのは白梅のほう。しばらく息を呑んでみていた。この屏風を江戸時代のようにもうすこし暗い部屋でみるとぐっと惹きこまれるにちがいない。
ここで‘八ツ橋図’に再会して目慣らしをしておいて、根津美にやってくるメトロポリタン蔵の光琳作‘八橋図’(4/14~5/15)で一気に気分を盛り上げる。見る者としては、美術館単位で行われる企画展を心のなかでうまくコラボさせ琳派ワールドに対する感性を豊かにしておくことも必要。
長らく待った‘四季花鳥図’にやっと会えた。これは内裏雛の後ろに立てる小さな雛屏風だから、なかなか展示されない。多分この先当分はでてこないだろう。これは右隻だが、描かれている草花は陽明文庫にある‘四季花鳥図’とよく似ており、上品で雅な雰囲気につつまれている。裏の銀地に描かれた波濤の生き生きとしたフォルムを腰を屈めたり立ったりしてじっくりみた。
銀地の白梅や波濤の残像に刺激され印象深かったのが鈴木其一(1796~1858)の‘芒野図’(千葉市美)。一見地味な絵なのに、画面いっぱいに描かれた芒(すすき)が視線を上下させて背景の銀地をみたため、左右に揺れてきた。これはおもしろい体験だった。
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