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2011.03.07

日本の美 紅白梅! 梅&弱法師、梅の精、木菟(6)

2450_2       下村観山の‘弱法師’(上が右隻・下が左隻 1915年)

2452_2              安田靫彦の‘羅浮仙女’(明治末~大正初期)

2453_2     小林古径の‘木菟’(1929年)

2451_2               小茂田青樹の‘春の夜’(1930年)

明治以降活躍した日本画家の多くが梅を描いている。そのなかで梅を体中で感じさせてくれるのが画壇の第一世代ともいうべき下村観山(1873~1930)の代表作、‘弱法師’(よろぼし、重文 東博)。今年の1月平常展に展示されていたから、記憶に新しいところ。

この絵は謡曲の俊徳丸の悲話を題材にしており、描かれているのは四天王寺をさまよう盲目の弱法師(俊徳丸)が極楽浄土へ行けることを願って西に沈む夕日を拝んでいる場面。枝が横に広がる見事な臥龍梅につつまれ、一心に日想観を行う姿が胸を打つ。

安田靫彦(1884~1978)の‘羅浮仙女’を所蔵しているのは松岡美。この画家の大きな回顧展を過去2回体験したのだがどういうわけかこのすばらしい絵は登場せず、2年前の茨城県美のときは別ヴァージョン(個人蔵)が出品された。そして、昨年ニューオータニ美であった安田靫彦展でみたのも個人蔵。

この‘羅浮仙女’を十何年前にどこかの展覧会でみたときは思わず足がとまった。みてわかるように中国の女性。でも人間ではなく梅の精。梅の名所で知られていた広東省にある羅浮山に住み、ここへやってくる男たちを酒席に誘う。こんな美女と杯を交わせばすぐ酔いがまわり、ついうとうとっとなる。目がさめるとあの美女はいない、‘梅の精だったのか!’美女に会えただけでも幸せというもの、羅浮山へ行ってみたいィー!

幻想的な雰囲気の漂うのが小林古径(1883~1959)の‘木菟’(みみずく、大倉集古館)。この絵に大変魅せられている。紅梅を水平的にみせるというのが意表をついているし、枝にとまっているのが鶯でなく木菟というのも新鮮。これは1930年ローマで開かれた展覧会に大観や青邨らの作品とともに展示されたが、イタリア人の心を惹きつけたにちがいない。

小茂田青樹(1891~1933)の‘春の夜’(埼玉県近美)でも木菟が梅の香りを楽しんでいるが、こちらは可愛い木菟ちゃんという感じ。獲物を口にくわえた猫がこっそり歩いているのをじいーっとみている。春信の‘夜の梅’に小茂田は着想を得ているが、叙情的な香りは消え、装飾性の強い琳派風の味付けで表現されたやさしい梅と漫画チックな猫の登場する楽しい絵に変容させている。

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