久しぶりの東近美平常展!
杉山寧の‘穹’(1964年)
東山魁夷の‘道’(1950年)
東近美の‘岡本太郎展’をみたあと、時間があったので久しぶりに平常展示(前期
2/22~3/21)も楽しむことにした。いつものように展示リストをもらい4階をめざす。
3年前まではここへは頻繁に通いリストを保管している。だから、どの絵が初見かがわかる。今回、いずれも大作の小林古径の‘柳と桜’、中村貞以の‘浄春’、山口華陽‘洋犬図’が新鮮だった。
平常展をみるときはあまり時間をかけない。どんどん進むことにしているが、はたと足がとまる絵もいくつかある。杉山寧(1909~1993)の‘穹’(きゅう)は色彩の密度の濃い絵である。一度体験したこのスフィンクスを夜みるとこんな風にみえるのかもしれない。静かな砂の大地で巨大な像が悠久の時の流れを物語っている。
東山魁夷(1908~1999)の‘道’も定番の傑作。人間の目は高性能カメラのレンズのように遠くまではっきりみることができないから、この絵のもやっとした光景には親近感を覚える。道端と緑の草花が接するところはぼかされ、画面全体はうっすら霞がかかったように白が塗られている。目はまっすぐのびる道が遠くで右に曲がっているところまで追っていく。
冨田渓仙人(1879~1936)の‘紙漉き’に描かれた女性を見るたびにすぐ思い浮かべる女優がいる。知ってる人は知っている川上麻衣子。目が大きくあごがないくらいぽちゃっとした丸顔。紙を漉いている四角い木の箱は子供が描いたような感じだが、水が流れている様子はじつにうまく表現されている。
洋画はお馴染みの名画を楽しんだ。ざっとあげてみると、梅原龍三郎の‘北京秋天’、安井曽太郎の‘奥入瀬の渓流’、岸田劉生の‘麗子肖像’、香月泰男の‘水鏡’。そして、藤田嗣治(1886~1968)の獰猛な猫たちの前に長くいた。
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