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2011.02.16

近・現代絵画の先駆者ゴヤ!

2382_2            ‘キリストの磔刑’(1780年)

2381_2     ‘1808年5月2日 エジプト人親衛隊との戦闘’(1814年)

2380_2             ‘わが子を食らうサトゥルヌス’(1821~23年)

2383_2     ‘魔女の夜宴(上) サン・イシードロへの巡礼(下)’(1821~23年)

今回のマドリード美術館めぐりで最も期待値の高かった画家はゴヤとダリ。で、これまでとりあげた作品のなかでは二人の絵が断トツに多い。プラドでもゴヤの絵を10点紹介しようと思う。

4年前、ここの2階と3階に展示してあるゴヤの絵をそれこそ駈けずりまわってみた(拙ブログ07/3/20)。なにしろこれでもかというくらいゴヤ、ゴヤだから、作品のなかには部屋をスルーして見落としたり、見たつもりでも後から振り返ると印象の薄い絵もでてくる。だから、鑑賞時間の3割をそのリカバリーのためにあてた。

いの一番に捜したのが‘キリストの磔刑’。図録に載っているこの絵に対する見たい度は昨年5月ローマでカラヴァッジョの‘キリストの笞打ち’(10/5/15)と会って一気にあがった。絵の題材は磔刑と笞打ちで異なるが、描かれたキリストの全体の印象がすごく似ているのである。実際にゴヤのこのキリストの姿をみて、カラヴァッジョ作品と同じような感動を味わった。これほど美しいキリストの磔刑図を体験するのははじめて。ゴヤの生身の人物をとらえる描写力は本当にすごい!

マドリードの市民が独立のためフランス軍に蜂起した場面を描いた‘1808年5月2日 エジプト人親衛隊との戦闘’と‘1808年5月3日の銃殺’は同じ部屋で隣同士に並んでいる。ところが、銃殺の絵は強烈なイメージが残っているのに、蜂起の場面はどういうわけかしっかり見たという実感がない。今まさに銃殺されようとしている白い服を着て両手をあげる男に気持ちが入りすぎて、この絵が消されてしまったらしい。だから、初見の感覚でじっくりみた。

絵の舞台となったところはサン・フェルナンド美術アカデミーを訪問するときに通ったプエルタ・デル・ソル。画面で釘づけになるのは白馬の前足の付け根あたりから噴き出している真っ赤な血。馬上のエジプト兵は男たちに倒されナイフでメッタ刺きにされすでに絶命している。民衆の怒りが爆発し、すさまじい闘いのエネルギーがフランス軍は押しつぶしている感じ。

追っかけ画の上位にしていた2点をみたのであとは普通モードの目に切り替え、心のひだに深く刻み込まれている‘黒の絵’シリーズと対面した。足がとまるのはやはり‘わが子を食らうサトゥルヌス’。ギリシャ神話はかなり読み込んだので、サトゥルヌスが5人のわが子を自己防衛のため食い殺す話は知っている。でも、頭の部分が食べられ血だらけになっている体はどうみても大人。ゴヤはギリシャ神話に当時のスペインの圧政的な政治体制を見立て、グロテスクで混沌とした世界を表出したのであろう。

14枚ある黒い絵のなかで不気味でこわい顔をした人物が大勢でてくるのが横長の‘魔女の夜宴’と‘サン・イシードロへの巡礼’。この2枚は1階の食堂の壁に向かい合わせで描かれた。ほかの‘砂に埋もれた犬’(07/3/20)や‘棍棒での決闘’より長くみていたが、夢でうなされるのも嫌だからほどほどのところできりあげた。

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コメント

ベラスケス・スルバラン・ムリーリョ・ゴヤ・ピカソ・・・・・
ものすごい お国 ですね スペインは・・・。

投稿: Baroque | 2011.02.17 22:34

to Baroqueさん
スペインは西洋絵画史において重要な人物
を何人も輩出してますね。

グレコ、ベラスケス、ゴヤは印象派や表現
主義に影響を与え、ピカソはキュビスムを
創造し、ミロ、ダリはシュルレアリスムで
あたらしい造形言語を生み出します。

スペインはイタリアとともに芸術大国ですね。
深くのめりこみます。

投稿: いづつや | 2011.02.18 13:12

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