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2011.02.22

‘シュルレアリスム展’ お好きなシュルレアリストは誰れ?

2401_2     ダリの‘部分的幻覚:レーニンの6つの幻影’(1931年)

2400_2     マグリットの‘秘密の分身’(1929年)

2403_2          マグリットの‘赤いモデル’(1935年)

2402_2     デルヴォーの‘アクロポリス’(1966年)

国立新美では今、パリのポンピドゥーセンター蔵の作品で構成された‘シュルレアリスム展’(2/9~5/9)が開催されている。出品数は絵画、素描、写真、彫刻、オブジェ、映画などてんこ盛りの173点。ヴァラエティ豊かなシュールマインドがこれだけ注入されると、館を出たとき目に映るものをダブルイメージで無理やりみたり、へんてこな形に変換したりするかもしれない。

シュルレアリスムとのつきあいはライフワーク。だから、これまでいろいろな作品を体験してきた。でも、すべての作品に熱く反応しているわけではない。ゆがんだ形のモチーフであふれる絵やオブジェでもおもしろものはすごくおもしろいし、端からどうでもいいのもある。シュルレアリストはクセがあり尖った個性の持ち主が多いから、作家との相性度はかなりバラつく。

最接近したいと思っているのはミロ、ダリ、マグリット、デルヴォー、そしてクレー。まずダリ(1904~1989)の絵から。今回、2点でている。‘部分的幻覚:ピアノに出現したレーニンの6つの幻影’は1997年、東現美であった‘ポンピドーコレクション展’でも展示された。昨年11月現地でみた‘ウイリアム・テル’は図録‘ポンピドゥーの100選’に載っているが、好みはこのピアノの鍵盤に描かれたレーニンの肖像のほう。

この絵はダリの絵としては珍しく対象のデフォルメがなく、くにゃっとしたやわらかい曲線にかわって直線をベースにして画面が構成されている。目が寄っていく精緻な細部描写(拙ブログ2/6)もないが、この絵にはなぜか惹きこまれる。定番の蟻がピアノにおかれている楽譜をはえずりまわるのもおもしろいし、黄金の光に囲まれたレーニンの顔が少しずつ大きくなっていくアイデアがとても新鮮。

5点あるマグリット(1898~1967)はどれもいい。ほかにまだあるのかもしれないが、これまで体験した限りでは今回全部みせてくれた感じ。とりあげた2点はじつはダリの絵同様97年にもやってきた。ともに大変気に入っている。‘秘密の分身’をはじめてみたときはドキッとした。右のえぐりとられた顔の内側にみえる鈴がすごく不気味で違和感があった。これは骨のイメージなのだが、この小さな鈴は一体なんなの?という感じ。

‘赤いモデル’をみるたびにマグリットはすごいなと思う。目の前でこの足&靴を見せられると‘ううーん、これもあるよな!’と納得するが、じゃあ、これを思いつくかというとまったく無理。何百回頭をふってもこんな発想はでてこない。マグリットは人の顔の表面とその内側とか、靴と足とか、そのつながっている関係をさらっと取り払って異物を挿入したり、つなげてみせる。意表をつくアイデアはまさにシュールの神様。

今回の収穫ははじめてお目にかかるデルヴォー(1897~1994)の‘アクロポリス’。大勢いる女性は中央とベッドのところにいる裸婦2人を除くと、ふたつのグループに分けられる。左にいるのは皆後ろむきで遠近法の消失点のほうへ向かって進んでいる。一方、右の柱の奥をみると、ひとまわり小さく描かれた女性たちがシルエット姿で左へ移動している。画面に奥行きと段差があるので、空間が非常に広くみえる。アクセントになっているのが白い月と電燈の明かり。いい絵に出会った。

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コメント

いづつやさん
こんばんは。 いつもお世話になってます。
シュルレアリスム展、今日行ってきました。
さすがポンピドゥセンター所蔵作品。難解の作品も多くありましたがおっしゃるように彫刻あり、映画ありで見ごたえがありました。 私も”アクロポリス”には魅せられました。空気は冷たいけれどドアの中の灯り、二つの世界ーー夢のようでもあります。それとダリの"部分的---"、私が注目したのは座っている男性の背中の白い布が安全ピンできれいに留めてあるところ。これどういう意味でしょうね。ユーモラスに感じるのは私だけでしょうか? 彫刻はジャコメッティの"テーブル"が好きです。  ではまた~

投稿: Joyce | 2011.02.23 22:54

to Joyceさん
ポンピドーが所蔵するシュール作品で美術本
や画集に載っているのはほとんどでている感じ
です。これまで現地で一度もみたことのない
デルヴォーが登場しましたから、びっくりし
ました。この絵なかなかいいですよね。

ダリのレーニン像はまさに幻覚の組み合わせ
ですね。白い布でも着せて装飾してみようと
したのでしょうか。腕章にもつけているサク
ランボは図像的には意味があるはずですね。
このサクランボと浮き上がった手の静脈を
執拗にみてました。

ジャコメッティの‘テーブル’、フラ・アン
ジェリコの絵に描かれた神の手に今、関心が
いってますので、この切断された手にすごく
興味がありました。じつはマドリットを1点
にしてこの彫刻にするか、最後まで迷ってま
した。

投稿: いづつや | 2011.02.24 10:28

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