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2011.02.14

プラド自慢のグレコ、ベラスケスの傑作!

2374_2              グレコの‘受胎告知’(1599年)

2375_2             グレコの‘羊飼いの礼拝’(1612年)

2373_3     ベラスケスの‘ウルカヌスの鍛冶場’(1630年)

2372_3     ベラスケスの‘ブレダ開城(槍)’(1634年)

お気に入りのグレコ(1541~1614)の作品は2階のルーム26に飾ってある。2点の追っかけ肖像画‘フェンテ博士’と‘ヘロニモ・デ・セバーリョス’との対面を果たしたあとは、前回時間がなくてパスした‘受胎告知’などの大作をじっくり楽しんだ。そして嬉しいオマケが、どういうわけかトレドのエル・グレコ美にあるはずの‘トレド景観と地図’が展示してある。それともこここが所蔵する別ヴァージョン?

‘受胎告知’で惹かれるのは聖母マリアの卵のような形をした顔と大きな目、そしてマリアの衣の赤と大天使ガブリエルの緑の鮮やかなコントラスト。グレコの内面世界が表現された縦長の宗教画はいずれも神秘的な雰囲気につつまれ劇的な構図で描かれている。

異常に引きのばされたマニエリスム風の人体描写は好みが分かれるところ。マリアはそれほどでもないが、大天使の体の長いこと!中央の聖霊から発せられる光の輝きも目に焼きつく。数多くある受胎告知の絵で黄金色の光がこれほど眩しく描かれたものはほかにない。

‘羊飼いの礼拝’の前にも長くいた。これはグレコが自らの墓所と決めた修道院の礼拝堂に掲げるために描かれたもの。吸い寄せられるのが羊飼いの深紅の衣。生まれたばかりのキリストから放たれる強烈な光にあたり暗闇のなかで輝いている。神の光をあびる年老いた羊飼いはグレコ晩年の肖像といわれている。

プラドにあるグレコ作品(35点)はほぼ鑑賞済みになったので、次の目標はトレドで残っている絵。代表作の‘聖衣剥奪’(拙ブログ05/8/26)や‘オルガス伯の埋葬’(07/3/26)は目に深く刻み込んでいるのだが、サンタ・クルス美にある‘無原罪の御宿り’はまだ縁がない。だから、次回のスペイン旅行ではこれとエル・グレコ美にある聖人の肖像画をなんとしても見ようと思う。

ベラスケス(1599~1660)については昨年4月、日曜美術館が‘ベラスケスの家系はコンベルソだった!’(10/4/5)という興味深い切り口で特集していたので、その分析を思い出しながら‘ラス・メニーナス’などをみていた。‘ラス・メニーナス’は輝いている白い線に惹き付けられて近づきすぎると女の道化のデカイ顔がぼけてみえる。この傑作を楽しむためには、少し離れてみたほうがいい。

作品のなかでは肖像画より風俗画の色合いの強い神話画への関心が高い。画面全体に目が動くのが3点ある。‘ウルカヌスの鍛冶場’、‘織女’(10/4/7)、そして‘酔っぱらいたち(バッカスの勝利’(07/3/19)。大きな絵‘ウルカヌスの鍛冶場’はぱっとみると‘これのどこが神話画なの?’という感じ。でも、このライブな場面がいいのである。

民衆の日常生活のひとこまのなかで神話の題材が描かれているから、見る者はより身近にその神話をイメージできる。左にいるウルカヌスはアポロンから妻のヴィーナスの不貞を聞かされ、ショックを隠しきれない様子。

はじめてここでベラスケスの絵を体験したとき最も感動したのが‘ラス・メニーナス’と垂直に何本も立つ槍が印象的な‘ブレダ開城’。この‘槍’は何度みても魅了される。敗軍の将をこれほどいたわる戦争画がほかにあっただろうか。ベラスケスは本当に心根のやさしい画家である。

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