念願のカラヴァッジョの‘アレクサンドリアの聖カタリナ’と対面!
カラヴァッジョの‘アレクサンドリアの聖カタリナ’(1597年)
ティッセン・ボルネミッサ美の3階に展示してある14世紀~18世紀の西洋絵画がこれほど充実しているとは思ってもみなかった。イタリア、スペイン、フランドル、オランダ、ドイツで活躍した有名な画家の作品が次々と現れるのだから、サプライズの連続。目にとまった画家をあげてみると。
ギルランダイオ、ベリーニ、カルパッチオ、ティツィアーノ、ティントレット、ピエロ・デラ・フランチェスカ、コスタ、ブロンジーノ、コレッジョ、デューラー、グリーン、クラナハ、ホルバイン、クリストゥス、カラヴァッジョ、グエルチーノ、オラツィオ・ジェンティレスキ、リベラ、バビューレン、ホントホルスト、グレコ、スルバラン、ムリーリョ、ゴヤ。そして、簡易版の美術館図録(日本語版あり)に載っているのに、今回不運にもお目にかかれなかったのがヤン・ファン・エイク、ルーベンス、レンブラント。
この中で最もみたかったのがカラヴァッジョ(1571~1610)が描いた‘アレクサンドリアの聖カタリナ’。処刑具の壊れた車輪、剣があり、赤いクッションのところに殉教者を意味する棕櫚の葉がみえるから、この絵が宗教画であることは理解できるが、じっとみていると風俗画をみている気分になる。カラヴァッジョの絵に強く惹きこまれるのは描かれた人物が男でも女でも生の感じがするから。このモデルだってローマの街を歩けばすぐにでも出くわす。それにしてもすごい目力をしている。念願の絵に会えたのでテンションがぐっとあがった。
マドリードにはまだ見ていないカラヴァッジョの絵がもう1点ある。それは王宮が所蔵する‘サロメ’。この絵も一気に済みにしたかったが、王宮に行けば必ずみれるという確認がとれなかったので、今回はティッセンだけでよしとした。カラヴァッジョ作品全点鑑賞をライフワークにしているが、これはそれを思っていること自体が楽しい夢みたいなもの。
今、見れる可能性の点から次の目標としているのは‘サロメ’とナポリにある‘慈悲の七つの行い’&‘聖ウルスラの殉教’、ロンドンのクイーンズコレクションの‘ペテロとアンデレの召喚’、そしてポツダムのサン・スーシー宮殿にある‘聖トマスの不信’。順番はラフには決まっている。
グレコ(1541~1614)の‘受胎告知’はイタリア時代の作品。色使いや構図はヴェネツィア派のティツィアーノやヴェロネーゼの影響がみられ、人物描写は体がマニエリスム風に不自然にのびてなく、画面構成も調和がとれたものになっている。この絵はじつは1986年、西洋美であった‘グレコ展’でみた。このときは所蔵先が‘ルガノ ティッセンボルネミッサ・コレクション’となっていた。
この大グレコ展を体験してグレコにのめりこむようになった。Myカラーが緑&黄色なのはグレコの輝く緑に魅せられたから。驚かせる絵がまだあった。プラドにある‘受胎告知’とまったく似た絵が目の前に現れた。別ヴァージョンがあったとは!さらにもう1点いいのがあった。ここで3点もグレコに会えるなんて想定外、ミューズに感謝。
ドイツの画家では昨日のデューラーの絵同様、クラハナ(1472~1553)の‘泉のニンフ’の前に長くいた。これは08年、ワシントンのナショナルギャラリーでみたもののヴァージョン。この絵は当時最も人気があり、10点近くのヴァージョンが制作された。横たわるヴィーナスの肌の白さと精緻に描かれたまわりの草木に目が釘付けになった。
必見リストに入れていたゴヤ(1746~1828)は2点。だが、フロリダ礼拝堂の天井画の制作でゴヤに協力した画家の肖像画は残念ながら展示されてなかった。無宿の盲人を描いた‘パケーテ親爺’は‘黒の絵’シリーズをイメージさせる人物描写だが、笑っているせいか親しみを覚える。そして‘鰯の埋葬’(王立サン・フェルナンド美術アカデミー)では男が掲げる幟によく似た目あきの顔が大きく描かれていたことをすぐ思い出した。
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コメント
もう見ました、とても好きです
投稿: 聖剣伝説同人誌 | 2011.02.24 10:26
to 聖剣伝説同人誌さん
カラヴァッジョにのめりこんでますから、
‘聖カタリナ’に会え満ち足りた気分です。
投稿: いづつや | 2011.02.24 18:40