ラサロ・ガルディアーノ美のボスの絵に会えて上機嫌!
マドリッドの美術館めぐりを計画したとき、プラド以外でなんとしても行きたい美術館が二つあった。一つはカラヴァッジョの‘アレクサンドリアの聖カタリナ’(拙ブログ10/7/11)とダリの長ったらしい名前のついたトラの絵がみられるティッセン・ボルネミッサ美、もう一つはボスの‘荒野の洗礼者聖ヨハネ’(10/7/27)があるラサロ・ガルディアーノ美。
プラドからはちょっと離れているラサロ・カルディアーノはセラーノ通りの上のほうにある。最寄の地下鉄駅はグレゴリア・マラニョーン、ここから徒歩5分で着く。美術館というよりは邸宅のなかに入る感じ。入館するとすぐボス(1450~1516)の絵があるところを聞いた。3階のルーム17にあるというので、急いで向かった。ありました、ありました!
左ひじをついて瞑想している聖ヨハネの姿は働く気がなく人生をぼやっと生きているオッサンのイメージ。このユルユル空気をしゃきっとさせているのがへんてこな形をした植物と刺のあるアザミの花。真ん中にはボスの絵にはよくでてくる南瓜提灯みたいなものがあり、鳥がなかにある粒々を食べている。上のほうをみると、これよりふたまわり小さいのがみえ、そこに鳥が止まっている。さらに聖人の右手の前にもさらに小さいのが横たわっている。
ボスの絵は画面全体を仔細に見れば見るほどおもしろい。手前の石のところには虫がおり、この小さな生き物で目を慣らしそのまま視線を遠景に移すと、鹿や空を飛ぶ鳥がいるのに気づく。大地は草に覆われ、点描風に描かれた木々が立ち並んでいるので聖人は緑豊かな風景に囲まれている。これが荒野?!
ヨハネが指差している子羊はご存知のようにキリストを表す。不思議な形をした植物は官能の喜びを象徴するものと解釈すると、ヨハネの心のなかは‘わたしゃ、キリスト一辺倒だからね、誘惑に乗ってヨイヨイするよりはぐーすか寝ているのがいいんです’ということになるのだろうか。
ここにもゴヤ(1746~1828)の絵が10点もあった。必見リストには2点しか入れてなかったからこれは嬉しい!‘魔女の集会’と‘呪文’はオスーナ公爵から依頼された‘魔女の主題による6枚の絵’の2点。ともに不吉な感じを抱かせる絵。‘魔女の集会’では、悪魔の化身とされる大きな牡山羊が中央にでんと座り、そのまわりを女たちが取り囲み、生け贄として赤ん坊を捧げている。‘呪文’はさらに怖い。人形を針で刺している。ホラー映画にでてくる憎い奴に似せてつくった藁人形を釘でめった刺しするシーンを思い出した。
ゴヤの作品はほかにルノワールとみまがうような女性画やゴドイの肖像画などがあり、大収穫だった。また、ベラスケスの描いた横向きの女性の絵やグレコの聖人画、クラナハのキューピッドにも足がとまった。
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