‘モネとジヴェルニーの画家たち’展に傑作2点あり!
‘睡蓮’(1908 東京富士美)
現在、渋谷のBunkamuraで行われている‘モネとジヴェルニーの画家たち’展(12/7~2/17)を楽しんだ。この展覧会に77の作品がでているのだが、モネは14点、あとはモネの画風を継承したアメリカ人画家の作品。
一般的には馴染みがないが、モネ(1840~1926)が住んだジヴェルニーにメトカーフらアメリカ人画家が滞在し、モネ風の風景画を描いた。08年名古屋ボストン美であったモネ展でメトカーフやヘールの作品を体験した。こうした作品に光をあてたのが今回の展覧会だが、主催者には悪いがジヴェルニーの画家への関心は薄く、足を運んだのはモネの絵のヴァリエーションを増やすため。
モネ14点のなかに画集に載っている傑作が2点ある。それはボストン美蔵の‘積みわら(日没)’と‘睡蓮のある池’。ここは92年に‘モネと印象派’展を開催しており、ボストン美と強力なコネクションがある。このときも2点はやってきた。以降このペアはモネ展に度々登場する。ざっとレビューしてみると、94年(ブリジストン、睡蓮のある池のみ)、07年(国立新美)、08年(名古屋ボストン 拙ブログ08/6/1)、10年(森アーツセンター)。
この2点は90年ボストン美、シカゴ美、ロンドンのロイヤル・アカデミーで開催され多くの入場者があった‘モネの連作展’の80点のなかにも入っており、モネの傑作として名高い。ロイヤル・アカデミーで‘積みわら’をみたとき、その燃えるような朱色に200%KOされた。モネの絵を沢山みてきたが、この絵の光の輝きを超える絵とはまだ出会ってない。
今回、睡蓮の絵は5点ある。そのなかで密度が濃く強烈なインパクトを持っているのが日本の太鼓橋と睡蓮を描いた‘睡蓮のある池’。この絵の1年前同じく太鼓橋を描いたオルセー、ロンドン・ナショナル・ギャラリー(12/4)、メトロポリタン、プリンストン大美が所蔵するものが画面全体が緑につつまれているのに対し、このボストン、オルセー、シカゴにあるものは池の水面や睡蓮、まわりの草木が茶色がかった赤や黄色で色彩が激しく乱舞するように描かれている。
初見のワズワース・アシニアム美蔵の‘睡蓮’と再会した東京富士美のものは睡蓮の連作としては、第3期にあたる1907~1908年に制作されたもの。ロココ様式を思わせる優美で柔らかい雰囲気をもった睡蓮である。今回出かけたのはじつはワズワース・アシニアム美の睡蓮に会うためだったが、東京富士美とは構図の違いはあるものの色調はほとんど同じなので、期待したほどではなかった。
でも、上述の2点をまたみれたので気分はとてもいい。海外から作品をもってくる場合、いつも言っているように画集に載っている名画が2点もあれば(3点が理想だが)、立派な展覧会。だから、Bunkamuraは今回も◎。
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