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2010.12.19

コートールド美の珠玉の印象派コレクションと再会!

2213_3     コートールド美の建物

2214_2     マネの‘フォリー・ベルジェールのバー’

2215_2           ルノワールの‘桟敷席’

2216_2           ドガの‘舞台の二人の踊り子’

コートールド美はテムズ河畔に立つ四角の形をしたサマセット・ハウスの一角にある。地下鉄の最寄駅はテンプル駅、ここから歩いて10分くらいで着く。コレクションの数からすると大きな美術館をイメージしていたが、意外に小さな邸宅美術館だった。

クリスマスの時期を除いて年中無休だが、料金は5ポンドとられる。ここでの楽しみは二つあった。ひとつは拙ブログ7/22でとりあげたルーベンス、ボッティチェッリ、ブリューゲルの絵。もうひとつは世界的に有名な印象派コレクションとの再会。ルーベンスの‘月光の風景’はあのダイナミックな神話や歴史の場面を描いた絵とはおよそかけ離れた静寂な絵。明るい月明かりと星を表す白の点々が胸に刻み込まれた。

ボッティチェッリの絵に登場するマグダラのマリアの異常に長い栗毛色の髪に目が点になったが、ブリューゲルの‘エジプトへの逃避途上の風景’と‘キリストと姦通女’も夢中になってみた。また、ベリーニの宗教画やゴヤの男性肖像画に遭遇したのもプラスαの収穫。

再会を楽しみにしていた印象派の絵は2階の3つの部屋に展示してあった。今年前半、三菱一号館ですばらしいマネ展があったので、足はひとりでにマネ(1832~1883)の‘フォリー・ベルジェールのバー’(09/5/31)へむかう。十数年ぶりの対面。隣の方に是非みせたかったのがこの絵とルノワールの‘桟敷席’。

今回とくに関心をもってみたのが正面をむいているバーメイドと後ろの鏡に映ったこの女の後ろ姿の奇妙な位置関係。どうみても鏡に映った女が視線を惹きつけるバーメイドとは思えない。そもそも、ぱっとみてこの場面に鏡の存在を感じないのである。大理石のバーカウンターはぐるっと一周している感じで、向こう側で別のメイドが客と対応しているようにみえる。

鏡を描いたのはカイユボットの‘カフェにて’(9/14)に刺激を受けたからともいわれているが、マネのすごいところは鏡に映るメイドの姿を平気で不自然な位置に変えたこと。
1月に放送された日曜美術館のマネ特集のなかで、現役のフランス人画家がアトリエにマネがやったようにバーカウンターをつくりにそこにモデルを立たせ、マネの描き方を推理をしていた。これはすごく説得力があった!おもしろいのでかいつまんで紹介したい。

アトリエには女性と男性客のモデルがいたと画家のアラン氏は推測する。画家の実体験として、絵を描いていると疲れて一息いれたくて歩き回ることがあるという。マネがメイドの正面に置いたカンバスから離れてれ右に行き休んでいたとき、右側にいた男性は女性の前に行き話しかける。その二人の姿が鏡に映る。マネがいた右の位置からみるとその光景は絵のようにみえる。つまり、マネは一つの画面に正面と右のふたつの視点からみた光景を組み合わせたというわけ。

アラン氏はこう続ける。‘こういうことは前々から計画していたことではなく、ふと目に入ったものでこういうことが起きる。絵にはみえない道筋のようなものがあり、発見して描く、客観的に描く、その繰り返し。そして描いている間におこる偶然の出来事をとり入れて絵を変化させる。それが絵の道筋なのである’。なるほどね、マネはこれをこの最後の大作で実践していたのか!これで鏡に映る奇妙な後ろ姿の謎が腹にストンと落ちた。この美術館が行ったX線調査からもアラン氏が推理する絵の変化の過程が読み取れるという。いい話を聞いた。

ルノワール(1841~1919)が1874年の第一回の印象派展に出品した‘桟敷席’にまた会えてご機嫌。何度みてもこの絵の前では目がとろんとなる。やわらかくて気品があって、もう最高!また、今年は横浜美でドガ(1834~1917)の回顧展(10/27
12/31まで)がありドガへの思い入れが強いから、ここの踊り子の絵にも吸い寄せられる。

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