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2010.12.30

期待値を大きく上回る千葉市美の‘ギッター・コレクション展’!

2249               伊藤若冲の‘白象図’

2248     呉春の‘双鹿図’

2250     酒井抱一の‘朝陽に四季草花図’

2251                  鈴木其一の‘蓬莱山図’

米国にあるギッター・コレクションの存在は知っていたが、過去体験したのは数年前森美であった展覧会に出品された伊藤若冲の‘達磨図’など数点しかない。だから、千葉市美で‘ギッター・コレクション展’(12/14~1/23)が開催されることを知ったときは胸が高まった。果たして、期待値を大きく上回る質の高い日本美術コレクションだったので館内にいる間中気分は高揚しっぱなし。参りました。

‘帰ってきた江戸絵画’のキャッチコピーがついた今回の出品作は107点。数の多いのは人気絶頂の若冲、池大雅、与謝蕪村、谷文晁、白隠と江戸琳派。驚くのは宗達の‘鴨に菖蒲図’や昭和初期に描かれた富田渓仙の‘遊里風俗図’まであること。ニューオリンズに在住のギッター・イエレン夫妻の日本美術をみる目は相当高く、そして深い。米国にはこういうすごい眼力をもったコレクターが数多くいることを再認識した。

われらが伊藤若冲(1716~1800)はなんと8点もある。初見の6点では‘白象図’の前に長くいた。若冲の絵の特徴である正面向きの象を形どる太い墨の輪郭線と地の黒が目に強く焼きつく。この白象は静岡県美蔵の‘樹花鳥獣図屏風’(拙ブログ6/1)にでてくる象とそっくりに描かれている。これでまた‘樹花鳥獣図’に若冲の手が入っていることを確信した。プライス氏がもっているデザイン画‘鳥獣花木図’(09/10/8)を日本で展示する必要はまったくない。まだプライス氏に貸し出しを依頼する学芸員や美術評論家がいるとしたら、お笑いものである。

円山応挙にとって客人的な存在だった呉春(1752~1811)の‘双鹿図’に大変魅了された。鹿の絵というと竹内栖鳳の絵がこれまで心のなかにあったが、これからは呉春の鹿がとって代わりそう。横向きで大きく描かれているのがいいのかもしれない。目の前を本物の鹿が通りすぎていくような気がした。

今回一番の収穫は酒井抱一(1761~1829)の‘朝陽に四季草花図’。この絵は手元の美術本に載っておらず、こんないい絵がまだあったのか!というのが率直な感想。とくに痺れるのが水流を挟んで桜と杜若を描いた右の一幅。抱一の絵はやはり花鳥画が最も心に響く。来年は抱一の回顧展が3つの美術館(出光、畠山、千葉市美)で開催されるが、これはメインディッシュを食ってしまいそうなプレリュードだった。

鈴木其一(1796~1858)は3点。そのひとつ‘蓬莱山図’がなかなかいい。画面の下はたらし込みで描かれた岩肌(蓬莱山)を荒々しい波しぶきが生き物のように這えまわっているのに対し、上は霞がかかる太陽の横を2羽の鶴が美しい姿で飛んでいる。動と静の対比描写を溶けあわせる構成がなんとも見事。

ほかにもサプライズの絵がいくつもある。是非ご自分の目で!

なお、この展覧会は次の美術館にも巡回する。
・静岡県美 (11/2/5~3/27)
・福島県美 (6/11~7/24)
・京都文化博 (9/3~10/16)

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コメント

年末行ってきました!
ギッターさんは敢えて日本語を学ばずに純粋にアートを楽しんでおられるのですね!いづつやさんの姿勢にも通じますね。
抱一、来年の記念年への期待が高まりました。
あと中原南天棒という人はアメリカではかなり知られているとか。
図録に山下祐二さんが、ZENGAという展覧会を監修された話が出てますね、僕もみたはずですが記憶定かではない、笑。
ともあれ千葉まで行って正解でした。
いづつやさん、良いお年をお迎えください。

投稿: oki | 2010.12.30 23:37

関西にも巡回されるのでとても愉しみです。京都なら他の楽しみもくっつけて行けそうです。
上品な抱一(武家の出なのに、力強さよりは柔らかな感じです)ちょっと神経質な感じを受ける其一です。
今年は、アートブログに巡り逢って、美術の楽しみが更に増えました。イギリスへの美術旅のお土産ブログも大変興味深く読ませて頂きました。
ありがとうございます。
来年も毎日愉しみに読ませていただきたいと思います。

投稿: licoluise | 2010.12.31 10:54

to okiさん
ギッター・コレクションは予想以上にいいで
すね。若冲、禅画の白隠、そして江戸琳派、
神坂雪佳、存分に楽しめました。禅画はゆる
キャラの元祖みたいなものですね。みてて
楽しいです。

今は情報が多くないと心配になる人が多いと
思いますが、こういう時代には無駄なもの
を一切カットした禅画が新鮮に写るのでしょ
うね。

よい年をお迎え下さい。

投稿: いづつや | 2010.12.31 14:54

to licoluiseさん
この展覧会は名古屋の松坂屋美が終わって
千葉にやってきたようです。

1年かけて5つの美術館を巡回しますから、
里帰りした江戸絵画の名品をみる楽しさを
多くの日本美術ファンと共有できます。いい
ことですね。

絵師、コレクター、美術ファンが絵画を介し
てつながるのですから、芸術品の価値は尊い
なと思います。よい年をお迎え下さい。

投稿: いづつや | 2010.12.31 15:10

なんともほほえましい 呉春の鹿! 
鹿の ‘鹿の子(かのこ)の模様’ が見えるのは
季節があります。この絵は 多分 夏 でしょう。

他にも サプライズがあるそうですが、行けなくてザンネン・・・。貴ブログのお写真で充分満足デス・・・。

よいお年をお迎え下さいませ。

投稿: Baroque | 2010.12.31 15:30

to Baroqueさん
呉春の絵をみる機会は少ないですが、この鹿に
びっくりしました。ギッター・コレクションが
これほど質が高いとは。相当の目利きですね。

よい年をお迎え下さい。

投稿: いづつや | 2010.12.31 19:48

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