« ‘モネとジヴェルニーの画家たち’展に傑作2点あり! | トップページ | 期待値を大きく上回る千葉市美の‘ギッター・コレクション展’! »

2010.12.28

好企画の‘デューラー版画・素描’展!

2245_2     ‘聖カタリナの殉教’(1498年)

2244_2     ‘犀’(1515年)

2246_2     ‘アダムとイヴ’(1504年)

2247_2     ‘書斎の聖ヒエロニムス’(1514年)

北方ルネサンス最大の画家であるデューラー(1471~1528)は絵画作品だけでなく版画で比類のない才能を発揮したことはもうずいぶん前から承知しているが、その版画を体験したのはまだ両手くらいしかない。いつか画集に必ず載っている‘アダムとイヴ’などをみる機会がやってこないかなと思い続けてきたが、西洋美が‘デューラー版画・素描’展(10/26~1/16)で長年の願いを叶えてくれた。好企画に感謝!

作品数は157点、デューラー版画のコレクションで名の知れたメルボルン国立ヴィクトリア美から105点、西洋美の49点、そしてベルリン国立版画素描館の3点で構成されている。ヴィクトリア美から質の高い版画がやってきたのも嬉しいが、西洋美がこれまで蒐集してきたものが一気にみれるのは特筆もの。

デューラーの高い技量が存分に発揮されたこれらの絵は‘宗教’、‘肖像’、‘自然’の3つの切り口でグルーピングされている。宗教画の連作はいろいろある。‘聖母伝’、‘大受難伝’、‘小受難伝’(いずれも木版画)、‘受難伝’(銅版画)。カラヴァッジョの絵のせいですぐ反応するのが‘聖カタリナの殉教’(ヴィクトリア美)。左にカタリナが手足を括りつけられることになっていた車輪がみえるが、壊れてこの残虐な拷問は失敗、それじゃあ首をはねるしかない!殉教とは痛ましいもの。

これまでみたことのある犀の絵はヨンストン著の‘自然誌’に載っているものだが、これはデューラーが油ののりきった44歳のときに描いた絵の模写。これが原画か!とじっくりみた。すぐ目がいく角のまわりはえらく細かな描写、そして耳のなかや口元にはえている毛もじつにリアル。肩口のところにも角があるが、これあった?

大きな収穫は追っかけ画リストに入っている‘アダムとイヴ’と‘書斎の聖ヒロニムス’(ともに西洋美)がみれたこと。この2点と何年か前にあった‘大英博物館展’でみたことのある有名な‘騎士と死と悪魔’(1513年)や‘メレンコリアⅠ’(1514年)はてっきりヴィクトリア美からやってきたものと思っていたが、全部西洋美の所蔵だった。それならもっと早く見る機会があってもよかったが、ここ数年西洋美が行った版画展シリーズには展示されなかったような気がする。この展覧会のために温存していたのかもしれない。

‘書斎の聖ヒエロニムス’の完成度の高さにびっくりした。明確な陰影表現と奥行きのあるすっきりしとした画面構成、緻密な対象描写。すごい絵である。これは一生の思い出になる。

|

« ‘モネとジヴェルニーの画家たち’展に傑作2点あり! | トップページ | 期待値を大きく上回る千葉市美の‘ギッター・コレクション展’! »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/65878/50425835

この記事へのトラックバック一覧です: 好企画の‘デューラー版画・素描’展!:

« ‘モネとジヴェルニーの画家たち’展に傑作2点あり! | トップページ | 期待値を大きく上回る千葉市美の‘ギッター・コレクション展’! »