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2010.12.25

心を惹きつけてやまない風景画の傑作!

2233_2     ルーベンスの‘ステーンの城館のある風景’

2236_2     プッサンの‘蛇に殺された男のいる風景’

2234_2     ホッベマの‘ミッデルハルニスの並木道’

2235_2     コンスタブルの‘牧草地から見たソールズベリー大聖堂’

ナショナル・ギャラリーは展示室が61もある大きな美術館ではあるが、所蔵する作品は全部2階に展示されているのでパリのルーヴルに比べれば楽にみてまわれる。2年前の訪問でフロア全体のレイアウトがイメージできているので、見たい度の大きい作品がある部屋をピンポイントでまわった。

今回お目当ての絵のひとつが風景画。まずめざしたのがルーベンス(1577~1640)の部屋。狙いは前回展示されてなかった‘羊飼いと羊の群れのいる風景’だったが、思った以上に大きくない絵。で、さっとみて向かい側の壁にある‘ステーンの城館のある風景’をあらためてじっくりみた。これはウォレス・コレクションが所蔵する‘虹のある風景’(拙ブログ12/17)と対をなす絵。右上に広大な光景がみえる開放的な画面構成に惹きこまれる。

視線は手前の二人の男女が乗った荷馬車、ヤマウズラをこれから仕留めようと屈みこんでいる狩人にいき、そのあと雲がいっぱいの遠くの空にむかう。画面の半分は褐色で占められているが、真ん中は緑、そして遠景の山々や平野は空気遠近法により青くなっている。手前の人間臭い場面と遠くの晴れやかな自然がうまくとけあっているので、みてて楽しい気分になる。

ロンドンでラッキーにもルーベンスが晩年に描いた風景画をコートールド美蔵の‘月光の風景’もいれて4点全部みることができた。‘フランドルのケルメス’(ルーヴル)と‘野良の帰り’(フィレンツェ、ピッティ美)は既にみているので、長らく夢見ていた6点制覇が達成できた。ミューズに感謝!

ここにはプッサン(1594~1665)の絵が10数点あるが、前回展示してあったのは‘黄金の子牛の崇拝’(08/12/15)などの神話を題材にした絵だった。今回期待したのは広々とした風景のなかで歴史上の出来事や神話の場面を描いた歴史的風景画。これが大当たり。08年、メトロポリタン美で開催された‘プッサン展’に出品された‘蛇に殺された男のいる風景’と再会しただけでなく、NY展では展示されなかった‘川から水をすくう男のいる風景’と‘休息をとる旅人のいる風景’もみることができた。プッサンは今関心の高い画家。絵のヴァリエーションが増えていくのは大変嬉しい。

オランダ人画家、ホッベマ(1638~1709)の‘ミッデルハルニスの並木道’はその一点透視法が目にしっかり印象づけられる風景画だが、これまで縁がなかった。図版ではわかりにくいが人物が3箇所に描かれている。こちらに向かって道を歩いている犬を連れた狩人、家の前にいるカップル、そして右で苗木をいじっている男。現地でこの風景をみたら、いつまでも佇んでいるかもしれない。そんなことを思わせる見事な風景画だった。

7点あったコンスタブル(1776~1837)は‘干し草車’(08/2/7)と‘牧草地から見たソールズベリー大聖堂’の前に長くいた。晩年の作、‘ソールズベリー大聖堂’は過去に描いた作品のいいところを集めてきたような絵。きらきらした水面や馬車は‘干し草車’がダブるし、左の力強いフォルムの樹木はコンスタブルの自然に対する熱情がそのままでている感じ。そして、天につきさす尖塔が心を揺さぶる美しい大聖堂のうえには大きな虹がかかる。メトロポリタン美で遭遇した‘主教の庭からみたソールズベリー大聖堂’(08/5/11)についでこの絵もみれたから満足度は高い。

コンスタブルは重点鑑賞画家にしていたから、必見リストには画集からとった絵がいくつも並んでいる。今回、V&A、テート・ブリテン、ナショナル・ギャラリーでみれたのは全部で13点。そのうち追っかけ作品のヒット率は50%だった。残念でならないのがロイヤル・アカデミーの‘跳ねる馬’が展示されてなかったこと。この絵を見るのを楽しみにしていたのでガックリ。でも、これでまたロンドンに来るインセンティブができたと思えばいい。

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