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2010.12.12

人気の‘ゴッホ展‘を200%楽しんだ!

2182_2     ‘アルルの寝室’

2183_2       ‘アイリス’

2184_2         ‘灰色のフェルト帽の自画像’

2185_2         ‘カフェにて(ル・タンブランのアゴスティーナ・セガトリ)’

国立新美で開かれている‘ゴッホ展’(10/1~12/20)を遅い出動ではあるが200%楽しんだ。作品はゴッホ(1853~1890)の油彩が36点。ほかは初期の頃の素描
(30点)とモネやシスレーなどの絵(30点)があった。

どんな回顧展でも素描はあまり熱心にみない。だから、関心の中心は本画の油彩。といっても、チラシに載っている絵がすでに鑑賞済みなので、今回は追っかけ作品に期待するときのような高揚感はなく、ゴッホの名画との再会を楽しむ気持ちのほうが強い。音楽でいうとモーツァルトやベートーベンの名曲を別の指揮者の演奏で聴き惚れているようなもの。

心が晴れやかになる絵の筆頭が‘アルルの寝室’。これはゴッホ美が制作した図録‘名画100選’の表紙を飾っている絵で、日本にはじめてやってきた。明るい色調が目を楽しませてくれる。とくに部屋を広くみせる壁のうす青、ベッドの赤い線、床の板を表わす緑の線が胸に深く刻み込まれる。オルセーにも別ヴァージョンがあるが、どちらもすばらしい。

3点ある花の静物画のなかで群をぬいていいのが‘アイリス’。黄色の背景に青の花と緑の葉が生き生きと描かれている。花瓶に逆三角錐のようにささった葉を軸にして量感のある花はとてもバランスよく配置されている。ゴッホが描いた花の絵ではひまわりを横におくと、これとLAにあるポール・ゲティ美蔵の‘アイリス’(拙ブログ8/30)に最も惹かれているから、とても気分がいい。

今年はゴッホの自画像を幸運なことに4点みることができた。‘オルセー・ポスト印象派展’(国立新美)に登場したもの、ロンドンのコートールド美でみた‘耳を切った自画像’、そしてこの回顧展に出品された‘灰色のフェルト帽の自画像’ともうひとつの背景がうす茶色のもの。眼光が一番鋭いのが‘灰色のフェルト帽’。これも日本初公開。人物像ではクレラー=ミュラー美から15年ぶりにやってきた‘ある男の肖像’はとても存在感がある。顔のくずれたマフィアのごろつきみたいな男は一度みたら忘れられない。

‘カフェにて’に描かれた女性をみるたびに、ドガの絵‘アプサント’(08/12/28)が目の前をよぎる。隣にロートレックの‘テーブルの若い女(白粉)’があったが、ビールを前に手にたばこをもっている女のほうにグッと惹きこまれる。絵の吸引力は2倍くらいある感じ。

クレラー=ミュラー美からはじめてやってきた絵に期待したが、足がとまるのはあまりなかった。で、再会した草木の筆触がじつに丁寧な‘サン=レミの療養院の庭’の前に長くいた。クレラー=ミュラー蔵というと、5年前の回顧展(東近美)で傑作‘夜のカフェテラス’などいい絵がいくつも展示されたから、今回はこのくらいで仕方がないかもしれない。あまり欲張ってもいけない。

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コメント

こんにちわ。迷宮美術館、新日曜美術館でカバーされない範囲までご紹介くださり、いつも楽しみに拝見しています。

耳切り事件以降のゴッホに特に興味が。
私も大好きなアイリスは、偶然にも東くだりの後、京に戻った光琳が描いた杜若に似ている。二人とも再生を心に秘めて。

ユートピアの夢破れたゴッホが描いたひまわりは、花盛りは過ぎた花に見入ってしまう。枯れる(死)か、種を残す(生命の誕生)か。輪廻。

勝手に創造して、勝手に惹かれています。

投稿: 黄色いカナリア | 2010.12.16 10:39

to 黄色いカナリアさん
こんにちは。アイリスに光琳の杜若を連想され
ましたか。じつは同じことを思ってながめてま
した!!

葉の緑、花の青の濃淡のつけ方が本当に杜若
の描き方に似ているなと。この絵のすばらしさを
同じ感慨をもって共有できたことを大変喜んでい
ます。コメントありがとうございました。これからも
よろしくお願いします。

投稿: いづつや | 2010.12.16 13:54

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