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2010.12.13

テート・モダンの‘ゴーギャン展’は大盛況!

2186_2     ‘説教のあとの幻影’(スコットランド国立美)

2187_2     ‘死霊が見ている’(オルブライト=ノックス美)

2189_2     ‘ネヴァモア’(コートールド美)

2188_2        ‘果物を持つ女’(エルミタージュ美)

ロンドンの美術館めぐりで一番の楽しみはテート・モダン(拙ブログ08/2/11)で開催中の‘ゴーギャン展’(9/30~1/16)。ちょっと信じられないのだが、ロンドンでゴーギャン展が開かれるのは55年ぶりとのこと。このあとワシントン・ナショナル・ギャラリーにも巡回する(11/2/27~6/5)。

グランパレの‘モネ展’で入館にえらく時間がかかったので、この大回顧展も予約なしだとまた待たされるのだろうと思いながら、開館1時間前の9時に並んだ。ところが予想に反して、この時点ではまだ誰も並んでいなかった。人が集まりだしたのは9時40分くらいから。段々列が長くなっていく。ドアがあくと急ぎ足でチケット売り場をめざした。ここは2年前体験したので館内の導線はわかっている。

作品数は油彩が70点くらい。これに水彩、陶芸、彫刻、版画などが80点ある。モネ展同様、事前に作品情報を載せている館のHPにアクセスしてないから、意中の絵に会ったときのサプライズはとても大きい。最も期待し、予想通り展示してあったのが‘説教のあとの幻影’。どのゴーギャン本にも載っている有名な絵で‘いつか行きたい美術館’(09/4/1)でもとりあげたが、本物を所蔵するスコットランド国立美(エジンバラ)で鑑賞する可能性は小さいと思っていた。長年の夢が叶ったので、嬉しくてたまらない。

手前に大きく描かれたブルターニュの女性たちのなかでは左端の女性の目をつぶった横顔に魅せられる。斜めにのびる木の幹で赤い大地は二つに分けられている。右上の天使と聖ヤコブが闘っている場面は象徴的に表された目に見えない宗教世界。ご存知のように2人が闘う姿は‘北斎漫画’を手本にしている。赤の色面と女性たちの被る白い頭飾りの鮮やかなコントラストをみると平板な印象をもつが、左端に集まっている女性たちをみると、上にいくほど体が小さくなっており奥行き感がある。だから、幻影のみえる空間はかなり広く、女性たちは2人を取り囲むようにながめている感じ。

サプライズの絵はこれだけではなかった。なんと‘死霊が見ている’(09/7/11)が目の前に現れた!追っかけ作品が2点もあるのだからテンションは一気にプラトー状態。ゴーギャンが同棲していたテハマナはやはり死霊におびえた表情をしている。それにしてもテハマナはベッドの端に寄りすぎてない?これだと下にずり落ちてしまう。横を向く死霊のパワーがすこしずつ女の体をこちらへ押し出しているのだろうか。

コートールド美蔵の‘ネヴァモア’は十数年ぶりにみた。図録の表紙にこの絵が使われている。目の覚めるような黄色の枕に頭をのせ横たわるタヒチ女の描写は生感覚に近く、その表情は太陽が燦燦と降り注ぐ南海の島の楽園というイメージはなく、寂しさが漂っている。また、ベッドのむこうで難しい顔で話をしている2人の女も気になる存在。物語を感じさせる絵である。

絵の前に長くいたのが‘果物を持つ女’。この絵は‘マリアを拝す’(メトロポリタン美、08/5/17)とともに最も好きな絵。11年前、エルミタージュ美でみて200%KOされたのだが、幸運なことに3年前東京都美の展覧会にやってきた(06/11/3)。そして、ここでまた会った。果物を手にする女の堂々とした立ち姿だけでなく、頭の上に木の枝をのばし、中景、遠景に女性を配する構成がとてもいい。お気に入りNO.1の地位はゆるぎない。ほかで感動した絵は背景のうすピンクの地に惹きこまれた‘嫉妬しているの?’(プーシキン美)。

図録をみると、来年2月に開幕するワシントン展にもすばらしい絵が沢山でてくる。ボストン美の‘われわれはどこから来たのか’(09/7/10)はロンドンにもワシントンにも出品されないが、ワシントンのみに展示されるものとしては‘神の日’(シカゴ美、08/4/4)、‘怒っているの?’(シカゴ)、‘かぐわしき大地’(大原美、06/9/16)、‘夢(テ・レリテア)’(コートールド、09/5/31)、‘自画像’(ワシントン・ナショナル・ギャラリー、08/12/30)など。

ロンドン展をみてびっくりしたのは昨年東近美であったゴーギャン展にでていたものが6点もあったこと。‘パレットを持つ自画像’(展示替えでみれず、09/7/10)、‘どこへ行くの?’(09/7/10)、‘純潔の喪失’、‘原始の物語’、‘おいしい水’、‘タヒチ牧歌’。あらためていい作品が日本にきていたのだなと思った。

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