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2010.12.20

心に響く印象派・ポスト印象派の傑作!

2217_2     モネの‘アンティーブ’

2219_2     セザンヌの‘サンク=ヴィクトワール山’

2220_2        ゴッホの‘耳を切った自画像’

2218_2            スーラの‘化粧する若い女’

コートールド美の印象派・ポスト印象派のコレクションには美術本に載っている名画がいくつもあるので、どれをとりあげるか選択に迷う。こういうときは‘複数ある絵のなかでお好きなものをさしあげます’と仮にいわれた場合の素直な答えにそって決めている。

ここに飾ってあるモネ(1840~1926)は2点だが、最もいい絵は今パリのグラン・パレで開かれている‘モネ展’(来年の1/24まで)に展示されている。その絵は地中海の強い光と色彩を描いた‘アンティーブ’。97年日本橋高島屋であった‘コートールド・コレクション展’ではじめてみたときの感激がグラン・パレの会場で熱く蘇ってきた。風は強く吹いているのか緑と青で表された波は大きく揺れている。

目を奪われるのが中心をすこしずれたところから斜めにのびる木の幹。幹の先は画面の外にとびだしている。三角形をした木の葉は遠くの山々を覆うように横に広がっている。浮世絵が好きな方はすぐ歌川広重の‘名所江戸百景’の中にでてくる絵を連想されるにちがいない。だが、当時浮世絵を知らなかった普通のフランス人美術愛好家は‘どうして、真ん中に大きな木を描くの?美しい海の光景の邪魔だよ!’というのが率直な反応ではなかったか。

セザンヌ(1839~1906)の風景画は4、5点あった。そのなかでお気に入りは‘サンク=ヴィクトワール山’と‘アヌシー湖’。セザンヌは故郷のサンク=ヴィクトワール山を何点も描いているが、この絵は構図がとてもいい。左端に立つ松の木の枝が山の稜線をなぞるようにぐうーっと横にのびている。よくみると右の枝は左の木のものではないから、画面の外にはもう1本の松があることになる。松の枝がちょうど窓枠のようになっており、そこに安定感のいいヴィクトワール山がおさまっている感じ。山のフォルムも晩年に描かれた作品のように角々してなく、なだらかに表現されているので落ち着いてみられる。

ゴッホ(1853~90)の‘耳を切った自画像’も高島屋にやってきた。今から思うと昔のデパート系の展覧会はすごくレベルが高かった。コートールド展は95年(?)と97年と短期間に2回もあり、この自画像は1回目に出品された。だから、15年ぶりの対面。ショッキングなゴッホのアルルでの耳切り事件はゴッホという画家に関心をもちはじめたころからずっと白い包帯をしたこの絵でイメージづけられている。ゴッホはこういう姿の自画像もちゃんと描くのだから、精神的には覚めている。一時的な発作に見舞われ苦しむのは本当につらかったにちがいない。

今年はスーラ(1859~91)が大当たり!国立新美の‘オルセー美、ポスト印象派展’に沢山出品されたし、現在行われている‘ゴッホ展’でも‘オンフルールの港の入り口’(クレラー=ミュラー美)をみた。そして、ここで緻密な点描法に吸い込まれる‘化粧する若い女’と‘クールブヴォアの橋’。もう一点オマケがあった。どういうわけかナショナル・ギャラリーに展示してあったテート・モダン蔵の‘グランカンのオック岬’(拙ブログ8/28)。

スーラの恋人を描いた‘化粧する若い女’はちょっと不思議な絵。室内は静かなはずなのに、女の黄色の衣裳と扉の下に螺旋状の線がみえ空気が渦巻いているよう。女の太めの姿態には惹かれないが、動きのある構成と気の遠くなるような赤や橙色の点々には見入ってしまう。

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コメント

次々と出てくる名画の数々です。
今回のゴッホの自画像の後ろにあるどう見ても日本の浮世絵でしょうか?気になります。

投稿: lico_luise | 2010.12.21 21:28

to lico_luiseさん
自画像の後ろにみえるのは浮世絵ですね。
こういうショッキングな事件のあとに
描かれた絵の中に日本の浮世絵がでて
くると、ゴッホの心に日本がどっと入っ
ていたのかなと思ったりします。
ゴッホを惚れ直します。

投稿: いづつや | 2010.12.21 23:52

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