10年感動の展覧会・ベスト10!
今年の12月は‘パリ・ロンドン美術館めぐり’が入ったため、恒例の‘感動の展覧会・ベスト10!’のアップが大晦日になってしまった。毎年のことだが、この一年に出かけた展覧会のうちどれが最も感動した展覧会だったかを振り返り、その感動のシーンを思い起こすのはじつに楽しい。
今年美術館へ足を運んだ回数は海外も含めてちょうど200回。昨年の170回より増えた。ここ数年鑑賞する企画展を絞り込んでいるのに回数が増えたのは海外の美術館めぐりが多かったから。この美術館訪問&旅行感想記を全部で92回、3ヶ月も書いた。
これをアップしているときは国内でみた企画展を連チャンで書くことを心がけていたのだが、終了したものについては古新聞みたいになるので割愛せざるを得ない。そんなわけで、出動したのに記事にしなかった展覧会が結構あった。
拙ベスト10はお気づきのように順位をつけない。そして、ここに入れるか入れないかは展覧会で味わった感動の総量を基準にしている。大きな感動をもたらしてくれるのはずっと対面を待っている追っかけ作品。企画展のテーマにもとずいて集められた作品全体をトータルで鑑賞することには興味がなくて、展覧会へ行くのはひとえにまだみぬ名品に会うため。こういう鑑賞スタイルだから、いくら名画や名品が揃っていても既に鑑賞済みの場合は感動がどうしても目減りするのでリストに残らない。
熱くなった絵画、やきもの、彫刻をあれこれ思い出しながら決定した10の展覧会は西洋美術と日本美術から仲良く5つずつ。記事にした順番で並んでいる。画像はロンドンのテート・モダンで開催中の‘ゴーギャン展’だが、これが最もよかったということではない。
★ ‘長谷川等伯展’ 2/23~3/22 東博
★ ‘大遺唐使展’ 4/3~6/10 奈良博
★ ‘マネとモダンパリ’展 4/6~7/25 三菱一号館美
★ ‘カラヴァッジョ展’ 2/19~6/13 スクデリア・デル・クイリナーレ美
★ ‘若冲アナザーワールド’展 5/22~6/27 千葉市美
★ ‘オルセー美展ポスト印象派’ 5/26~8/16 国立新美
★ ‘田中一村展’ 8/21~9/26 千葉市美
★ ‘上村松園展’ 9/7~10/17 東近美
★ ‘ モネ展’ 9/22~1/24 グラン・パレ
★ ‘ゴーギャン展’ 9/30~1/16 テート・モダン
回顧展が展覧会の華だと常々思っているので、‘オルセー美展’を除いて回顧展を選んだ。今年は08年のときと同様、海外の美術館で天にも昇るような気持ちになった展覧会に遭遇した。5月にでかけた‘カラヴァッジョ展’と11月にみた‘モネ展’と‘ゴーギャン展’。この感動の余韻が2年くらい持続しそう。
国内で行われた‘マネ展’は追っかけ作品の‘街の歌い手’と‘ラテュイユ親父の店’があったから大変嬉しかった。久しぶりに訪ねたパリのプティ・パレ美でいい男性の絵があるなと思ったら、この展覧会に出品された背の高い男の肖像画だった。
国立新美の‘ポスト印象派’は94年の‘バーンズ・コレクション展’とともに、これまで日本で行われた印象派・ポスト印象派展のなかでは最高のものだった。アンリ・ルソーの傑作2点を含むこれほど多くの質の高い絵が揃うのはこの先30年くらいないかもしれない。
日本美術も充実の一年だった。長年待った‘長谷川等伯展’はあるし、‘大遺唐使展’では念願の‘吉備大臣入唐絵巻’をみるこができた。また、大規模な若冲展を再度静岡県美と千葉市美が開催してくれた。はじめての画家としては田中一村の南国の絵が忘れられない。ルソーを連想させるその画風は衝撃的で、200%心を突き動かした。
美人画の鑑賞は着実に進んだ。鏑木清方の名画数点と対面したのをはじめ、‘上村松園展’でもうっとりするような絵に出会った。これほど多く松園のいい絵が集まった回顧展は過去にない。東近美の学芸員に拍手々!
今年も拙ブログを読んでいただきありがとうございました。
皆様よい年をお迎え下さい。
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