日本の美 秋の紅葉! やきもの・友禅にみる美しい紅葉(3)
やきもので紅葉の図柄をすぐ思いつくのは尾形乾山の色絵と鍋島。これに魅了される方は多いのではなかろうか。
2年前、東博であった‘対決 巨匠たちの日本美術’で野々村仁清とペアを組んだのが乾山。仁清の‘色絵吉野山図茶壺’に対して乾山は‘色絵紅葉図透彫反鉢’。とてもとても美しい春の桜と秋の紅葉、息を呑んでみていた。
乾山のやきものの革新性は意匠と器が一体になったところ。口縁の形が紅葉の葉になっているのをみると‘これもあったか!’という感じだが、遊び心がないとこういうものは生まれてこない。
ひとつできあがるとアイデアは水平展開する。向付が紅葉になった。これをはじめてみたときは目が点になった。意匠は定番の‘龍田川’。奈良県の北西部、生駒山地の東部を流れる龍田川は昔から紅葉の名所。まだ行ってないが、この意匠のような光景がみられるにちがいない。
それにしてもこの向付はすばらしい。とくに惹かれるのがダイナミックな動きをみせる流水。フォルムは3タイプあり、赤、黄色、緑の大きな葉の間を自在に生き物のように流れている。乾山の豊かなデザインセンスは時空を飛び越えており、21世紀に生きるわれわれにも心地よい刺激を与えてくれる。
今年は鍋島焼の展覧会がサントリー美であったから、‘色絵紅葉狩文皿’はすぐ頭に浮かぶ。紅葉文はもうひとつ‘龍田川文’がでていた。ふたつを比べると、下の幔幕に安定感があり三色の葉が星座のようにぐるぐる回っているようにみえる‘紅葉狩文’のほうに惹かれている。
4,5年前、友禅染の着物を沢山展示した展覧会を体験したが、印象に残っている意匠のひとつが今尾景年の図案による‘楓に流水文様型裂’。斜めに流れる青地の流水の間に紅葉が重なるようにびっしり描かれている。そのシャープで雅な感覚に大変魅せられた。
| 固定リンク
コメント