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2010.11.09

おもしろい浮世絵本!

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今日は大幅に入れ替えた‘お気に入り本’のなかから浮世絵関連本3冊について少し解説をしてみたい。

★大久保純一著 ‘カラー版 浮世絵’ (岩波新書 08年11月)
★近藤史人著 ‘歌麿 抵抗の美人画’ (朝日新書 09年1月)
★浅野秀剛著 ‘浮世絵は語る’ (講談社現代新書 10年7月)

大久保純一氏(国立歴史民族博物館教授)の岩波新書本は大変よく書けている。浮世絵に関心があり展覧会にもでかけるが忙しくて本を読む時間がない方やこれから浮世絵をみてみようかなと思われている若い方に、是非お奨めしたい。浮世絵の歴史、ジャンル、浮世絵の題材、どのようにつくられたか、そしてどこで売られたか、浮世絵の技法についてポイントをおさえ、わかりやすく述べられている。

この本の売りは75点のカラー図版。色もよくでており、図柄のセレクションのセンスがいいので、とても愛着を覚える。もうひとつ他の一般的な浮世絵本ではあまり書かれてないのが浮世絵の制作現場。歌川国貞の‘今様見立士農工商 職人’を使って彫師や摺師の仕事場をていねいに説明している。また同じ絵をみせて版元の店先で錦絵がどのように売られていたのか、誰が買っていたのかを読者にイメージづけている。

‘歌麿 抵抗の美人画’は読みごたえ充分。こういうおもしろくて浮世絵の新情報が詰まった本はそうない。近くにいつも置いておきたい本のひとつになった。近藤史人氏は
07年春、放送されたNHKスペシャル‘歌麿 謎の紫’のプロデューサー。この番組は当時海外旅行中だったので、みれなかった。だから、この本によって歌麿の色彩の秘密を知った。

ボストン美にあるスポルディングコレクションによって、歌麿が紫を多用していたことがわかったのである。歌麿は自ら‘江戸絵師 紫屋 歌麿’といっていたことがやっと証明された。こういう一大発見に立ち会える専門家が羨ましい。興奮ぶりが本から伝わってくる。紫の秘密は興味深々といったところだが、熱く語られるタイトルの‘抵抗の美人画’が腹にぐっとくる。さて幕府が次々と繰り出す規制に歌麿はどう‘抵抗’したのか?

今年7月にでた‘浮世絵は語る’の著者浅野秀剛氏は現在、奈良の大和文華館の館長。長く千葉市美におられて浮世絵の研究者として高く評価されている方。どうでもいいことだが、以前一緒に仕事していた後輩がこの方によく似ているのでつい話をしてみたくなる。

浮世絵の専門家は絵を目の前に出されればこれがいつごろ描かれ、何を描いているかについて、はっきり特定できなくても、可能性の幅をもたせながらいろいろ述べなければならない。この本は考証をどうやって進めるかという方法論をいくつかの浮世絵を例にとり述べている。

学会で発表する論文のように詳細に書かれてはいないが、合理的な推論がきっちり行われているので、内容をしっかり頭のなかにいれようとすると時間がかかる。でも、この本は情報がつまっているから、浮世絵のことを本格的に知ろうと思っている方には最適かもしれない。

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