とことん好き! ‘江戸の英雄Ⅱ’展(後期)
豊洲のUKIYO-e TOKYOで開催中の‘江戸の英雄Ⅱ’展(後期:10/1~24)をみてきた。作品の数は57点。浮世絵は小さな絵だから、ここのあまり広くない部屋でもこのくらいの数が展示できる。
前期(拙ブログ9/17)同様、インパクトのある役者絵を存分に楽しんだ。数の多い歌川国貞(1786~1864)の絵で一番みたかったのが‘嵐冠十郎の武蔵坊弁慶’。これは役者を弁慶に見立てて描いたもの。衣装の輪宝の黄色と隈取の赤、頭髪の黒の組み合わせが鮮やかで、気分がぐっとハイになる。いい絵をみた!
市村座の‘里見八犬伝’をもとに描かれた‘放龍閣之場’は屋根の三角形構図が目をひく。小さいころ見た時代劇は忍者がこういう屋根の上で闘う場面がよくでてきた。犬塚信乃と犬飼現八は忍者ではないのだから、こんな足場の悪いところで戦うことはないと思うが、月を背景にすると絵になるから演出的にはこういうところのほうがいいのかも。
国貞はほかにも収穫があった。それはなかなかみる機会がない五枚続の2点。画面の上部に桜や梅を描き、横に男女を横に並べるという構成はとても見栄えがする。しかも役者が身につけている衣装の模様と色に力があるので、華麗な舞台を間近でみているような気持ちになる。
月岡芳年(1839~1892)は前後期1点ずつ。この‘鳥居又助’は初期に描かれたものだが、青地の衣装に施された大きな黒の点々がこの時代のものとは思えないほど斬新。寄り目よりこの黒点の意匠と垂直にのびる線の束で表現された雨をしばらく息を呑んでみていた。
黄色の水車を背景に立て看板を両手にもち上に振り上げている男を描いた絵は豊原国周(1835~1900)の作品。これは三枚続の右二枚で、左にもう一人男がいる。話は絵金が描いたのと同じ‘播州皿屋敷’(10/6)。浅山銅六はお菊を殺した播州細川家の家老、浅山鉄山のこと。場面は浅山鉄山が左にいるお菊の夫、舟瀬三平(ここでは戸奈瀬三平)に討ち果たされるところ。迫力のある人物描写なので、夢中になってみてしまう。
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