大作はないが楽しめる明治神宮の‘横山大観展’!
明治神宮文化館では現在、明治神宮鎮座90年記念展‘横山大観’(10/2~
11/28)が行われている。作品数は45点(習作は除く)なので、回顧展としてはこじんまりしたもの。大観(1868~1958)は一生付き合う画家だから、前後期(作品は全部入れ替わる)2回でかけるつもり。
前期(10/2~27)にでている21点のなかに懐かしい絵が交じっている。じつはこの展覧会は1993年、京都文化博物館で開催された大観の回顧展を再現しているのである。これを企画した横山大観記念館が今回も同じ役まわり。で、17年前同様、播磨屋本店(8点)や永青文庫(5点)や福岡市美(2点)、滋賀県美(2点)に声をかけ(8割は同じもの)、これに自分のところの作品(習作を含めて11点)やほかの美術館、個人蔵を加えて展覧会を構成している。
こんなわけで、楽しみの多くは再会した絵となったが、はじめてみる絵にもいいものがあったから、ヴァリエーションを1点でも増やしたい大観好きにとっては○の回顧展である。お気に入りの絵をいくつか。
‘竹雨’は東博や足立美にも別ヴァージョンがあるが、最も好きなのが今回でている横山大観記念館にあるもの。見とれるのが竹林を表現する墨のグラデーションと縦長の画面に人物と道を巧みに配置する構成。埼玉近美が所蔵する‘春雨・秋雨’は急勾配の山の斜面にある楓の木が印象深い。これが横物の掛け軸だったら楓をこれほど横には倒せないだろう。
目にやさしい緑が画面の大半を占める‘八幡緑雨’(滋賀県美)と‘喜撰山’(個人)は回顧展の常連作品。そして、今年の春にあった‘細川家の至宝展’に登場した‘柿紅葉’(拙ブログ4/9)の習作(大観記念館)にも足がとまる。習作でも柿の葉の橙色にはとても惹きつけられる。
播磨屋本店のコレクションには中国古典を題材にした絵がいくつもあるが、前期にでているのは下村観山との合作‘蝦蟇仙人・鐵拐仙人’。大観が描いた鐵拐仙人はハットする場面だから前回の記憶がよく残っている。空中に吐き出す息のなかにいる自分の分身はどこへ行くのだろう?
後期(10/29~11/28)に展示される‘鍾馗’(播磨屋)と‘宝舟’(長田神社)がとても気になるのでまた訪問しようと思う。
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