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2010.10.18

アートに乾杯! 微笑みの美学 Ⅲ

2034_5           伝顔輝の‘寒山捨得図’(重文 東博)

2035_3           岸田劉生の‘寒山風麗子像’

2036_3      仙厓の‘福釣恵比寿画賛’(出光美)

2037_3      藤井松林の‘百福之図’(部分 三の丸尚蔵館)

西洋と違って東洋では人々は笑いにつつまれた人物画や彫刻に慣れ親しんできた。中国で描かれた笑いの絵で最も有名なのは‘寒山拾得図’。中国から日本に入ってきたもの、日本の絵師が描いたもの、いろいろある。

これまでみたなかでお気に入りは東博蔵とMOAにある梁楷作(拙ブログ07/2/14)。元代前半に活躍した顔輝の一派が描いたとされる‘寒山拾得図’はその明るくて大きな笑いにわけもなく惹かれる。二人は唐時代の僧、右の経巻をもつのが寒山で、左の箒をもっているのが捨得。口の大きさは京唄子、ティナ・ターナー級。

これに対し、南宋の画家梁楷の描いた寒山捨得は口の大きさは同じだが、その笑いは大笑いではなく‘うふふふ、、’といった感じ。目じりの垂れ下った顔の表情がじつにいい。この絵同様、口元がついゆるんでしまうのが東博にある因陀羅が描いたもの(国宝)。これは梁楷よりぐっとくだけて‘布袋’(根津美、4/10)と似た調子の絵で、漫画チックに描かれた満面の笑みが目を楽しませてくれる。

日本で描かれたものでは曽我蕭白(1730~1781)と岸田劉生(1891~1929)が印象深い。蕭白は2点あり、屏風のほうが‘対決 巨匠たちの日本美術’(08年、東博)で展示された。顔輝のグロテスクな画風にとりつかれたのが劉生。墨画の‘寒山風麗子像’と‘野童女’(07/11/7)を描いている。岡本神草や甲斐庄楠音のデロリ系女性画は好きになれないのだが、劉生のデロリ麗子には惹かれている。2点とも‘ゲゲゲの鬼太郎’に登場するお化けや妖怪のような雰囲気が漂っており、とてもおもしろい。

仙厓(1750~1837)のゆるキャラ、恵比寿さんの絵も心を和ませてくれる。仙厓の描く人物は口を大きくあけて幸せ気分を爆発させる。‘みてくれたかい、この大きな鯛を。わたしゃ、嬉しくってヨイヨイ気分でね。一緒に歌でも唄おう!’と誘われているよう。すぐ‘福の神、恵比寿さんの顔をみるだけでいいことがありそうなのに、こんな大きな魚を釣られたのだから、あっしらにも大きな福がやってくるような気がしますよ、ありがたや、ありがたや’と返したくなる。

福を呼ぶお多福が大勢いる‘百福之図’は3年前の正月、‘福やござれ’展(三の丸尚蔵館)でみた。これを宮内省の命により明治22年(1889)に描いたのは福山の画家で円山派の流れをくむ藤井松林(1824~94)。おでこと頬がふくれた丸顔のお多福は笑わなくても、ただそこにいてくれるだけで楽しくなる。子供から老人まで、お多福尽くし。これだけのお多福に会えば2,3年分の福を引き寄せただろうと真に思った。

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