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2010.10.25

‘岩澤重夫展’にひきあわせてくれたミューズに感謝!

2062_2      ‘渓韻’(1992年 日本芸術院)

2063_2      ‘雪の朝’(1993年 日田市)

2064_2      ‘天水悠々’(2003年 日田市)

2065_2       ‘浜の朝’(2005年 大分県立芸術会館)

現在、日本橋高島屋で開かれている‘岩澤重夫展’(10/20~11/1)のことは今月5日に美術館めぐりをしているとき、どこかの美術館にあったチラシで知った。この画家の絵はまだほんの数点しかみたことがないのだが、その雄大な風景画に前々から関心があったので、何かの縁だと思い初日に寄ってみた。

岩澤重夫(1927~2009)は昨年亡くなっていた。享年82。図録の略年譜をみると、昭和2年(1927)、大分県日田市に生まれている。大分県出身の日本画家というと、すぐ思いつくのが福田平八郎と高山辰雄(ともに大分市の生まれ)。2人とも文化勲章をもらっているが、岩澤重夫は昨年文化功労者の顕彰を受けている。文化功労者になると数年後に文化勲章を受賞することが多いから、岩澤ももうすこし長生きをしたら受賞したのではなかろうか。

今回の鑑賞でその思いを強くした。これまでみたのは1992年の日展に出品し翌年日本芸術院賞を受賞した‘渓韻’とプラス2点くらい。岩澤は遅咲きの画家で画業の後半にすごくいい絵を描いている。‘渓韻’を描いたときが65歳。日展とか院展とかへ毎年でかける習慣がないので、岩澤の60歳以降の作品ははじめて接したが、大きな風景画はどれも心を打つ。

‘渓韻’は画面いっぱいに描かれた木々の緑が目にしみるすばらしい絵。この光景は遠くからしかみられないから、腕のいい写真家がズームで撮った写真を拡大したような感じ。こういう山深いところに入った経験はないが、勢いよく流れる川の水の白さとまわりの緑の美しい対比を目の当たりにすると、すごくテンションがあがるような気がする。

これまでこの絵に魅了され続けてきたが、今回これと同じくらい感激した絵にお目にかかった。03年、76歳のときの作‘天水悠々’。声を失い、思わず体が震えた。拡大図でみていただきたいが、本物はさらにグッとくる。この滝はどこにあるのだろうか?

雪一色の絵がこれまた心を揺すぶる。大作が2点あったが、‘雪の朝’を立ち尽くしてみていた。自然の厳しさと美しさに身が引き締まる思いである。もうすこしすると東北や北海道はこんな光景になるのだろうか。

5年前の作‘浜の朝’は岩の島を縦に描く構成がとてもいい。海も島も金泥一色できりたった岩に打ち寄せる白いさざなみが島全体を浮き上がらせている。08年に描かれた‘天水’も見事な絵だが、これは残念ながらここには展示されてなかった。いつかみてみたい。

岩澤重夫がこんな豊かな才能をもった風景画家であったことを教えてくれた回顧展にミューズが導いてくれた。犬も歩けば棒にあたるである。

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コメント

岩澤重夫という画家を私は今回初めて知りました。金閣寺襖絵のあとに並んだ大作の数々。私はただただ驚きと感動で心揺さぶられました。“雪の朝”には心洗われるような厳粛な思いで陶然としてみとれてしまいました。今まで知らなかった画家の心に残る作品に出遭えること・・この快感がたまりません。

投稿: ヨッコ | 2010.10.28 08:55

to ヨッコさん
すばらしい風景画でしたね。今、余韻に浸ってます。
‘雪の朝’と‘天水悠々’はエポック的な鑑賞体験
になりそうです。

65歳をすぎてからこんな傑作を描くのですから、
まったくすごいと思います。体力的には相当キツイ
はずですが、見事に仕上がってますね。本当にいい
画家に出会いました。

投稿: いづつや | 2010.10.28 12:42

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