なんでも鑑定団 堆黒盆に驚愕の1億円!
今日午後1時から放送されたテレビ東京の‘なんでも鑑定団’(再放送)に超サプライズのお宝が登場した。8/31の放送は番組欄に‘仰天高額に一同絶叫!!中島大興奮、「世紀の大発見です」’とあったので‘観るぞ!モード’になっていたのにブログを書いていて、不覚にも観忘れてしまった。で、そのお宝をなんとしても見たくで毎週、日曜日になると番組欄とにらめっこしていた。
ようやくリカバリーの機会がやってきた。鑑定士、中島誠之助さんが‘世紀の大発見!’と叫んだものは中国の堆黒盆(ついこくぼん)だった。ついたお値段は驚愕の1億円!この盆の鑑定を依頼したのは小松市で農業をやっておられる57歳の浅野さん。浅野さんは今から30年前、27歳のとき骨董店でこれを500万円で買ったという。
本人の評価額は1000万円だったが、鑑定結果を聞いてみるとナ、ナント、10倍の
1億円!本人はもちろんのこと、奥さんや家族も唖然としている。すごいことになった。
5年前、ドイツに住む資産家が所有している初期柿右衛門様式の壺に5億円の値段がついたとき(拙ブログ05/9/30)のように、会場全体が大きく揺れている。
実際の堆黒盆(口径37cm)をここでおみせできないのは残念だが、文様のイメージとしては一番上の画像に近い。牡丹と5羽の鳥が彫られ、浮き彫りになっている。堆黒というのは木胎に黒漆と朱漆を何層にも塗り重ね表面を黒漆塗りにし、これに刃物で彫り込んで文様をつくったもの。中島さんの解説によると、これがつくられたのは今から630年前の明時代初期、洪武帝の太祖朱元璋のころだという。
これと同じ物が朱元璋の第十皇子の墓から出土しているというから驚き。中国の漆工芸界の最高レベルのものが小松の農家からでてきたのである。中島さんは室町時代に足利幕府により輸入され、将軍家から戦国大名に渡り、前田利家の手によって石川県に運ばれたのではないかと推察している。
過去に行われた展覧会で体験した堆黒、堆朱をレヴューしてみると、04年の‘南禅寺展’(京博)に金地院や南禅寺が所蔵する元時代の堆黒盆や明の永楽帝の時代につくられた堆朱の香合など6点が展示され、03年の‘建長寺展’(東博)では南宋時代の‘酔翁亭堆黒盆’など4点(いずれも重文で円覚寺の所蔵)をみた。数はまことに少ない。あとは東博の平常展にでてくる‘花鳥堆朱長方形箱’など数点。
堆朱で印象深いのは18年前東京都美で開催された‘北京故宮博物院展’に出品されたもの。龍や瑞雲や宝珠の文様が力強く彫られた香合(明・永楽帝時代)が今でも目に焼きついている。また、台北の故宮でも堆朱をいくつもみたような気がするが、記憶はだいぶ薄い。
浅野さんの堆黒盆が最高峰のものなら、一度みてみたい。すぐ銀行の貸し金庫に収めないで、東博の平常展(京博は現在休館中なので)でみられる機会をつくっていただけると嬉しいのだが。東博の学芸員さん、動いて!
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