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2010.09.04

前田青邨の‘唐獅子図’と嬉しい再会!

1918     前田青邨の‘唐獅子図’(右隻)

1919     ‘唐獅子図’(左隻)

1920          山崎朝雲の‘擲禅杖’

1921          沼田一雅の‘陶彫唐獅子’

三の丸尚蔵館へ出かけ‘虎・獅子・ライオンー日本美術に見る勇猛美のイメージ’展の後期(8/14~9/5、無料)をみてきた。前期のお目当ては応挙の‘群獣図’(拙ブログ8/1)だったが、後期(12点)の楽しみは4年ぶりにみる前田青邨(1885~1977)の‘唐獅子図’(六曲一双)。

この絵は岐阜県美に2回でかけ、長年の思いの丈をようやく果たした(06/9/28)。こういう傑作はそうしょっちゅうはでてこない。次の展示まで5年くらい間隔があくと思われるので、関心のある方は是非!展示は明日まで。

右隻が雄獅子で、左隻が雌獅子。子獅子は左に2頭、右に1頭いる。どちらの隻に目がいくかというと、右隻のほう。色彩のバランスをとるため親と子は違う色にしており、ともに顔をぐっと横にまげた姿がとてもユーモラス。雄獅子は体つきや緑のたてがみ、尾っぽが雄らしくがっちり、荒々しく表現されているのに対し、左の雌獅子は悠然とした構えで遠くを眺めている。

皇室へ献上する絵だから、高価な材料が惜しげもなく使われている。雄雌獅子ともたけがみに金粉が散らされているが、より目立つのは緑のたてがみのほう。こういう金粉や金泥がこれほどみられる絵は滅多にない。雌獅子の胴体に使われているのは銀泥ではなくプラチナの泥。銀だと酸化すると黒になるから、青邨はこれを避けるため高価なプラチナを用いている。

三菱一号館美で待ち続けた橋本雅邦の‘龍虎図屏風’をみることができ、三の丸では青邨のこの傑作に遭遇した。今年の干支が虎なのでこうした展示が実現したのかもしれないが、まさに‘待てば海路の日和あり’である。青邨の絵をみせたかった隣の方もおおいに反応してくれたのでちょっぴり嬉しい。

木彫で熱心にみたのが山崎朝雲(1867~1954)の‘擲禅杖’。猫みたいな虎がひっくり返り、顔のすぐ前までやってきた龍と対峙している。おろしろいことに杖が龍に変わっている。なぜ?中国で修行していた道元禅師はあるとき虎に遭遇した。で、とっさに投げた杖が龍に変じて虎をやっつけ事なきをえた。この話、西洋にもない!?そう、モーゼの杖マジック、こちらは蛇になる。

沼田一雅(1873~1954)の‘唐獅子’はブロンズ作品ではなく、やきもの。その姿は中国風の唐獅子のようでもあり、ライオンのようでもある。獅子や鷲は置物の定番だから、これのミニチュアを玄関に置いておくと防犯システムを利用しなくても‘家のセキュリティーはもう安心!’とつい思ってしまう。

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コメント

前田青邨のこの絵は始めて拝見してます。
存在すら知りませんでした。
すばらしいですね。
‘金・白金が豊富に使われてる’のですか。
拝見してて気持いいでしょうね。

投稿: Baroque | 2010.09.04 20:52

to Baroqueさん
この絵は三菱財閥の岩崎家からの依頼ですから、
金泥、金粉、プラチナ泥を惜しげもなく使い、
見事な唐獅子に仕上げてます。なかなかでてこ
ない作品ですから、再会がとても楽しみでした。

投稿: いづつや | 2010.09.05 10:21

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