心をとらえて離さない‘現代の茶 造形の自由’展!
智美で行われている‘第3回智美術館大賞展 現代の茶 造形の自由’(7/31~
11/7)をみてきた。この大賞展は06年からはじまり今回が3度目。そういえばやっていたなァー、というくらいの気持ちでとくに関心が高かったわけではないが、チラシに載っている大好きな楽吉左衛門の作品に引かれて入館した。
観覧料は1000円だが、ぐるっとパス券を使ったから300円引きの700円。これまで3回来たが、いつも1300円くらいとられたので、今回はすごく安くなったなという感じ。この料金で現在第一線で活躍する陶芸家29人の最新作68点がみられるのは幸運というほかない。
作品はすべて今年つくられたもの。大賞はなく、優秀賞が5点ある。確かに賞をとった作品は惹きつけるものがあるなと思うが、そのほかの出来がすごく劣るという話でもない。ここに出品している29人はキャリア、実績ともピカピカの面々なので、賞は理事長と館長の特別な眼力により‘今回はこの5点にしましょうか!’と決められたものと理解しておくほうがいい。こういうコンペではどの作品も楽しめばいいのである。
お目当ての楽吉左衛門(1949~)は3点。ここで作品を見るのは06年にあった‘我が心の陶芸展’以来。‘焼貫黒楽茶碗’はいつも形は光悦の直線的に立ち上がる黒楽茶碗を、色彩は河井寛次郎の三色打釉を連想する。15代がすごいなと思うのは現代感覚にあふれていること。造形は思いっきりシャープでその色は幽玄的であるとともに装飾性にも富んでいる。息を呑んでみた。
鳥取県の河原町で作陶している前田昭博(1954~)も贔屓の陶芸家。この作家のつくる白瓷は本当に美しい。今回はじめてお目にかかる捻りのきいた水指に痺れた。これは大収穫。
ほかで足がとまったのは優秀賞をとった小川待子(1946~)の‘灰青釉碗’。うすい青緑と灰色の対比とやわらかい丸のフォルムにわけもなく魅了される。今の茶陶にピッタリはまっているという感じですばらしい。
目の覚めるような丹波焼の赤が目に焼きつくのが市野雅彦(1961~)の‘丹波赤ドベ采器’。同じタイプのもう一点とともに立ち尽くしてみていた。
ここの展示空間にいるととてもいい気分になるのは照明の使い方が上手いから。この光の演出が作品の自由な造形性、色彩同士の響き合いを浮彫りにし、見る者を現代の茶の湯に誘ってくれる。鑑賞時間は20分くらいだったが、名品が予想以上にあったので心はいつになく高揚した。
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コメント
こんばんは。
ここはぐるっとパス使うと3割り引きになるのですか。
僕が行ったときは、途中からお偉いさんだなんかが入ってきて、この人もまだまだなんだよなあ、この茶碗でお茶飲む気になれないとか大声で話すから、興ざめすることおびただしい。
近代美術館工芸館の現代の茶事、ですか、はそんなことないでしょうが、いづつやさんもう行かれましたか?
投稿: oki | 2010.09.20 22:53
to okiさん
今回700円で観れたのでびっくりしました。
楽さんをみたくて出かけたのですが、ほかに
もいいのがあったので、二重丸です。
工芸館はまだです、上村松園の後期展のとき
寄ってみます。
投稿: いづつや | 2010.09.21 16:17