« 2010年8月 | トップページ | 2010年10月 »

2010.09.24

お知らせ

拙ブログはしばらくお休みします。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.09.23

いつか行きたい美術館! LA ポール・ゲティ美術館

1988_2      ラ・トゥールの‘楽士たちのいさかい’

1987_2      レンブラントの‘エウロペの掠奪’

1989_2           モネの‘花の絵’

1986_2       ルノワールの‘プロムナード’

アメリカの東海岸は何回か行ったのにロサンゼルス、サンフランシスコがある西海岸にはまだ足を踏み入れてない。最近の海外旅行は観光名所と美術館めぐりの楽しみが半々になっているので、いい美術館があるところの順番がどうしても先になる。で、西海岸行きがなかなか実現しない。

LAは観光気分よりも関心の80%は以前取り上げたロサンゼルス カウンティ美(拙ブログ09/5/7)とポール・ゲティ美で占められている。カウンティ美ヘ心が向かっているのはここにラ・トゥールの‘ゆれる炎のあるマグダラのマリア’があるからなのだが、今年のはじめ手に入れた週間‘西洋絵画の巨匠 ラ・トゥール’(09年10月、小学館)により、なんとポール・ゲティにもすごくいい風俗画があることがわかった。その絵が‘楽士たちのいさかい’。

カラヴァッジョ同様、ラ・トゥールの絵を全点みるのが夢だから、この絵の出現で俄然、LAへ行きたくなった。カラヴァッジョ、ラ・トゥール、フェルメールが好きになると、アメリカの美術館はやはりなんとかしなくてはと思うようになる。だが、アメリカは広いから名画を所蔵する美術館を訪ねるのは簡単ではない。

NYとワシントンへ出かけるとカラヴァッジョ1点、ラ・トゥール2点、フェルメール12点をみることができる。そして、西海岸のLAではラ・トゥールが2点。カラヴァッジョは大都市の美術館にはなく、フォートワース、クリーブランド、ハートフォードに3点。
ラ・トゥールは全米各地にあるという感じ。クリーブランド、フォートワース、ヒューストン(2点)、ノーフォーク、サンフランシスコ(2点)に7点もある。

ポール・ゲティは美術の好きなアメリカ人の間では人気の美術館という。だから、ここで紹介したレンブラント、モネ、ルノワールの絵のほかにもサプライズがかなりありそう。また、ここには絵画だけでなく、古代ローマ彫刻なども所蔵しているのでいろいろ楽しめるような気がする。あとは、どう計画をやりくりするかだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.09.22

もう一度行きたい美術館! NY ホイットニー美術館

1984_4      オキーフの‘夏の日々’

1982_2      ホッパーの‘2階の陽光’

1983_2   ジョーンズの‘3枚の星条旗’

1985_2          ベン・シャーンの‘サッコとヴァンゼッティの受難’

2回目のアメリカ美術館めぐりのため、展覧会情報などをいろいろ集めているが、計画はまだ具体化してない。これは欧州旅行が先行して決まっているのと気になっている展覧会の開催時期がわからないことも影響している。

08年訪問した美術館のうちいくつかは館内の一部が改築中だった。その工事も手元の美術雑誌によるとすでに終了している。シカゴ美は09年に増築棟がオープンし、ボストン美もアメリカ美術を展示する新館が今年完成する。もうしている?ワシントンのナショナル・ギャラリーもヨーロッパ絵画の展示室が閉鎖されていたが、現在は終了しているだろうか?

気になっている展覧会はボストン美で開催される‘日本美術展’。風の便りに聞いているのは所蔵する曽我蕭白作、‘雲龍図’の修復が終わるタイミングにあわせて、日本からも有名な絵を借りて日本美術の大展覧会をやるというもの。だが、肝心の開催時期が12年?なのかはっきりつかめてない。

この展覧会に美術史家の大御所辻惟雄氏が当然深く関わっておられる。となると、辻氏のことだから、日本に巡回することも考えておられるはず。というのも、以前‘雲龍図’をもとあった寺で再生させるPJをNHKが番組で取り上げたとき、辻氏は‘この絵を日本の方にもみていただきたいのですよね!’と話されていた。

もし日本での開催が実現するのであれば、美術館めぐりを12年にあわせる必要がない。で、今はそのあたりの情報をつかもうとしているところ。この展覧会をボストンで先行してみるオプションもありで、いずれにせよここ数年のうちにアメリカを再訪しようと思っている。

NYにある現近代アートを展示している美術館で最も行きたいのがホイットニー美。17年前、ここへ入ったことは入った。でも、今振り返ってもよくわからないのだが、当時企画展で展示室は占領されていて画集でお馴染みのジャスパー・ジョーンズ(1930~)の‘3枚の星条旗’に出会わなかったのである。また、週間‘ラ ミューズ ホイットニー美’(94年)に載っている作品もまったく姿を現してくれなかった。ひょっとして、まわる部屋を間違えたか!?

だから、この美術館は体験してないのと同じ。美術本から集めてきた作品の中で美欲(My造語)をそそるのがオキーフ(1887~1986)の‘夏の日々’とジョーンズの代表作‘3枚の星条旗’。08年のとき、ワシント・ナショナル・ギャラリーンとメトロポリタン美でオキーフ作品を運良く何点もみれた。これですっかりオキーフに嵌り、いつか大回顧展に遭遇することを夢見ている。その前に名作‘夏の日々’と対面しなくては。

ジョーンズはネオ・ダダを象徴する作品‘星条旗’をみないとやはり話にならない。大好きなリキテンスタインやポロックの絵は横において真っ先にこれに突進するつもり。

シカゴ美であった‘ホッパー展’にここが所蔵する‘日曜日の早朝’は出品されていたが、‘2階の陽光’はなかった。ホッパー(1882~1967)の光と影に回顧展以来魅了されっぱなし。4年くらい前、府中市美であった‘ホイットニー美展’でもホッパーは数点でていた。全部でいくつみられるか今から楽しみ。

アメリカの社会主義リアリズムを代表する画家、ベン・シャーン(1898~1963)の‘サッコとヴァンゼッティの受難’はとても気になる絵。絵のイメージがドイツ表現主義のグロスに似ている。シャーンの絵はまだほんの数点しかみたことがないから、この代表作をじっくりみてみたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.09.21

累計アクセス数200万を突破! 展覧会の華は回顧展

1980_2      ‘クールベ展’(08年、グラン・パレ&メトロポリタン美)

1979_3      ‘ホッパー展’(08年、シカゴ美)

1978_2      ‘プッサン展’(08年、NY メトロポリタン美)

1981_2      ‘カラヴァッジョ展’(10年、ローマ スクデリア・デル・クイリナーレ美)

本日、拙ブログは累計アクセス数が200万を突破しました。100万の大台に乗ったのは08/7/20、ブログをはじめて3年8ヶ月かかりましたが、つぎの100万はこれを大幅に短縮し2年と2ヶ月で到達しました。日頃みていただいている方には心より感謝申し上げます。これからも拙文は読み飛ばし画像だけをお楽しみいただきたいと思います。

200万アクセスという当初は思ってもみなかった大きな数字になりましたので、今日はアップしている美術感想記をどんな気持ちで書いているかをすこし述べてみます。

お気づきのように拙ブログは最初に画像を4点載せています。昨年11月のインド旅行記以降、3点から4点に増やしたのですが、今年は2月から嬉しいことにシステムの改善で画像の下の文字挿入がOKに、で、本文を読まなくても作品の作者とタイトルがわかるようになりました。拡大つきの画像が見る人の心に強く残るように腐心してますから、これはgood jobでした。

感想記では次の3点を心がけてます。
‘なによりも記事がinformativeであること!’
‘見る人のサプライズを奪わないこと!’
‘作品とコミュニケーションすること!’

ブログで展覧会の情報を入手する方は大勢おられると思いますので、これに少しでもお役に立ちたい。今はまとまった情報は年初と7/1の‘展覧会プレビュー’で、そして個々の展覧会についてはなるべく過去行われたものとの比較とか同時期に開催中の展覧会との響き合いにもふれることにしてます。

展覧会は事前の情報はできるだけ少なくして出かけるのがMy鑑賞スタイルです。柳宗悦の言葉‘見テ 知リソ 知リテ ナ見ソ’(先ず見よ、かくて知れ、知ってから見るな 09/9/23)を座右の銘にしてます。実物をじかに見て、素直に感動する、大きなサプライズに遭遇する、これが一番楽しい。美術を楽しむのに知識や理屈はいらないと思ってます。

感想記では章立てとかは美術館のHPにでているので申し訳ないがふれません。出品作は一から十までコメントせず、とくに感動したものを中心に書きます。名品は多く紹介したい気持ちはもちろんあるのですが、その一方でこれから出かけられる方のサプライズを奪ってはいけないとも思ってます。で、‘見てのお楽しみ!’としたり、あえて一切名品にふれなかったりします。

会場に入って、‘ワワー、こんなすごい絵があったのかー!’と大きなサプライズを体験するほうが他人の下手な文章を読むよりはずっと楽しいに決まってます。そうお思いになりません?

絵画、やきもの、彫刻をみて、色がきれいだとか構成がすばらしいとか形に惹かれるとか、感動の仕方は人夫々です。作品の前にある解説文はタイトルと作家の名前、制作年以外は読みません。ひたすらそこに表現された人物、生き物、草花、風景を見続けます。

この絵を画家はどういう状況で描いたのかといったことにはあまり興味はなく、惹きこまれた作品に登場する女性にのめりこんだり、すばらしい自然のなかに自分が今立っている風に想像をめぐらしたりします。人物や風景とコミュニケーションを交わすのはじつに楽しいです。

さて、これからの重点鑑賞作品のことを。常々展覧会の華は一人の作家の回顧展だと思っており、ビッグな回顧展に遭遇するのをいつも夢みてます。幸いなことにここ2年、海外の美術館でとてもいい回顧展に出会いました。

08年はクールベ、ホドラー、ホッパー、ホーマー、プッサン、今年はローマでカラヴァッジョ、デ・キリコ。今後、海外の美術館めぐりを加速させるつもりなので、大きな回顧展に恵まれることをミューズに祈っているところです。はたして?

日本画でどこかの美術館が開催してくれないかなと願っているのは‘池大雅、喜多川歌麿、白隠、菱田春草’。来年、東博で‘写楽展’(4/5~5/15)がありますが、北斎、写楽ときたので4,5年後は歌麿のような気がします。

| | コメント (12) | トラックバック (0)

2010.09.20

熱のさめる大リーグ、関心の的は岩隈の移籍問題!

1977今年はBS1で大リーグをみるのがめっきり減った。

本来ならば、残り少なくなったシーズン後半からポストシーズンへと続くこの時期のゲームが一番楽しいのだが、中継をじっくりみようという気にならない。

それもこれも、日本人選手のいるチームが川上憲伸のブレーブスを除いてどこも地区優勝やワイルドカード争いに絡んでないから。

期待の大ハズレはイチローと松井が所属するマリナーズとエンゼルスがシーズン半ばで首位のレンジャースに大きく離されてしまったこと。だから、2チームの対戦カードも盛り上がらない。これはまったく予想してなかった。イチローは今年も200本安打は達成するだろうから期待通りの活躍でいいのだが、チームが再び最下位へ戻ってしまうとマリナースの応援に熱が入らない。

打撃力復活の可能性は高いだろうと思っていた松井は期待したほど活躍できなかった。やはり膝の状態が影響しているのだろう。来年、松井はどこでプレーするの?

開幕前、レッドソックスの松坂は10勝がいいところだろうと予想したが、その通りになった。投球が安定しないのがどうも気がかり。ひょっとするともう二桁の勝ち星は難しいかも?もともとコントロールのよさで勝っているピッチャーではないから、体調の波があるとどうしても勝ったり敗けたりの繰り返しになる。

2年目のブレーブス川上、オリオールズ上原はすっかり新鮮さがなくなった。上原は日本に帰ってタイガースかオリックスで投げたほうがいいのではないか。それとも、フォークとコントロールを切り札にして中継ぎで細く長く大リーガーを続ける?
ドジャースの黒田は10勝はクリアしたが、上積みがない。黒田を高く評価していたトーリ監督が退任するから、来年は期待のされ方がすこし変わるだろう。

今、関心の的は楽天岩隈のポスティングシステムを使っての大リーグ移籍問題。球団はOKするのではないか。すると、來シーズンは大リーガー、岩隈が誕生する。どこが獲得するか?日本ハムのダルビッシュはどうなるのだろう?スポーツ新聞には本人はその気で、ヤンキースなどが水面下で獲得に動いているとの情報もある。ダルビッシュが大リーグでプレーするのなら、ヤンキースで投げて欲しい。さて、2人の行く先は?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.09.19

心をとらえて離さない‘現代の茶 造形の自由’展!

1974    楽吉左衛門の‘焼貫黒楽茶碗’

1973    前田昭博の‘白瓷捻水指’

1975    小川待子の‘灰青釉碗’

1976    市野雅彦の‘丹波赤ドベ采器’

智美で行われている‘第3回智美術館大賞展 現代の茶 造形の自由’(7/31~
11/7)をみてきた。この大賞展は06年からはじまり今回が3度目。そういえばやっていたなァー、というくらいの気持ちでとくに関心が高かったわけではないが、チラシに載っている大好きな楽吉左衛門の作品に引かれて入館した。

観覧料は1000円だが、ぐるっとパス券を使ったから300円引きの700円。これまで3回来たが、いつも1300円くらいとられたので、今回はすごく安くなったなという感じ。この料金で現在第一線で活躍する陶芸家29人の最新作68点がみられるのは幸運というほかない。

作品はすべて今年つくられたもの。大賞はなく、優秀賞が5点ある。確かに賞をとった作品は惹きつけるものがあるなと思うが、そのほかの出来がすごく劣るという話でもない。ここに出品している29人はキャリア、実績ともピカピカの面々なので、賞は理事長と館長の特別な眼力により‘今回はこの5点にしましょうか!’と決められたものと理解しておくほうがいい。こういうコンペではどの作品も楽しめばいいのである。

お目当ての楽吉左衛門(1949~)は3点。ここで作品を見るのは06年にあった‘我が心の陶芸展’以来。‘焼貫黒楽茶碗’はいつも形は光悦の直線的に立ち上がる黒楽茶碗を、色彩は河井寛次郎の三色打釉を連想する。15代がすごいなと思うのは現代感覚にあふれていること。造形は思いっきりシャープでその色は幽玄的であるとともに装飾性にも富んでいる。息を呑んでみた。

鳥取県の河原町で作陶している前田昭博(1954~)も贔屓の陶芸家。この作家のつくる白瓷は本当に美しい。今回はじめてお目にかかる捻りのきいた水指に痺れた。これは大収穫。

ほかで足がとまったのは優秀賞をとった小川待子(1946~)の‘灰青釉碗’。うすい青緑と灰色の対比とやわらかい丸のフォルムにわけもなく魅了される。今の茶陶にピッタリはまっているという感じですばらしい。

目の覚めるような丹波焼の赤が目に焼きつくのが市野雅彦(1961~)の‘丹波赤ドベ采器’。同じタイプのもう一点とともに立ち尽くしてみていた。

ここの展示空間にいるととてもいい気分になるのは照明の使い方が上手いから。この光の演出が作品の自由な造形性、色彩同士の響き合いを浮彫りにし、見る者を現代の茶の湯に誘ってくれる。鑑賞時間は20分くらいだったが、名品が予想以上にあったので心はいつになく高揚した。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.09.18

日本民藝館で生誕120年記念展‘河井寛次郎’を開催中!

1969_2          ‘辰砂丸文角瓶’

1970_2      ‘三色打釉碗’

1971_2         ‘鉄釉白流蓋付壺’

1972_2            ‘呉須地筒描双手文陶板’

日本民藝館ではじまった‘河井寛次郎展’(9/14~11/23)を楽しんだ。例によって図録の作成はないが、作品は150点くらいでているから、河井寛次郎(1890~1966)の陶芸世界にどっぷりつかることができる。

回顧展を体験するのは05年京近美であった川勝コレクション展以来。この前の年に町田市立博物館で京都の寛次郎記念館の所蔵品を中心とする展覧会(拙ブログ04/12/2)があったが、東京で河井の作品をまとまった形でみれるのは6年ぶりのこと。

今年は生誕120年に当たるので、生地の安来などで記念展が開かれる。ちなみに安来は今人気の番組‘ゲゲゲの女房’(毎日欠かさず観ている、来週で終了)が生まれたところ。

・安来・和鋼博物館:9/16~11/23
・島根県美:9/23~11/7 → 富山県水墨美:11/12~12/19
・豊田市民芸館:12/7~2/20(日本民藝館から巡回)
・高島屋(日本橋):12/27~1/17→(大阪):1/20~31→(京都):4/20~5/5

日本民藝館にある河井の作品は4年前にあった‘民藝運動の巨匠’展や常設コーナーでお目にかかっているが、これだけ沢山みるのははじめて。お馴染みのものだけでなく初見のものも夢中でみた。

川勝コレクションにも‘辰砂文角瓶’と似たものがあるが、お気に入りはこちらのほう。うすい赤茶色の地に青で縁取った丸文がすごく落ち着いた感じを与えている。寛次郎の陶芸で最も好きなのが三色打釉の扁壺や碗。今回でている5点のなかで赤、緑、黒に心が震えたのは‘碗’。

鉄釉の壺は濃い茶褐色に流れる白の線がとても輝いていた。これまで何度かみていたが、この度は大変惹きこまれた。また、隣にあるうす青に黒が交じる色合いが魅力の‘呉須刷毛目重箱’や‘海鼠釉扁壺’の白のグラデーションにも魅了される。

陶板は6点、お気に入りは分厚い手のようにも花びらのようにもみえる青の地の陶板。同じ筒描きで手と花を表面に大きく描いた‘呉須扁壺’も陶板と同じくらいインパクトがある。

栃木県美の濱田庄司展(6/18)に続いて、河井寛次郎の回顧展にも遭遇できたのは大きな喜び。年末の高島屋に登場する作品に期待したい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.09.17

人気の歌舞伎役者が勢揃いした‘江戸の英雄Ⅱ’展!

1965_2              勝川春章の‘五代目市川団十郎の助六’

1966_2           歌川豊国の‘市川男女蔵 沢村東蔵’

1967_2         歌川国貞の‘公孫勝に比す幡随意長兵衛’

1968_2    歌川国芳の‘行司庄九郎と関取秋津島’

1月、ららぽーと豊洲内にある平木浮世絵美、UKIYO-e TOKYOでみた‘江戸の英雄’展(拙ブログ1/6)は思い出に残る展覧会だったが、なんとパートⅡをやってくれるという。で、期待して出かけた。

作品の数は通期で120点、前期(9/4~26)、後期(10/1~24)で半分ずつ展示される。これらは1月と同じく博覧亭コレクションのものだが、今回は役者絵が中心。役者絵で名をあげた勝川春章(1726~92)にいいのがあった。3点あるなかで思わずみとれてしまうのが団十郎が演じる‘助六’。黒羽二重の小袖は勝手に‘黒の美’と呼んでいる。蛇の目傘を持ち桜の下に立つ助六の姿がなんともカッコいい。

歌川豊国(1769~1825)の回顧展にいつか遭遇しないかと密に願っている。が、なかなかその気配がないので今は鑑賞できた作品をすこしずつ積み上げている。今回は前期4点、後期3点でてくる。足がとまったのは‘暫’と5枚続の‘江戸両国すヾみの図’。隅田川の川岸を歩く歌舞伎役者が何人も描かれた横長の5枚続きはみてのお楽しみ!

今年は歌川国貞(1786~1864)をみる機会が多い。静嘉堂蔵の美人画や役者大首絵についで、ここでも34点(通期)。ぐぐっと惹きこまれたのが背景に描かれた激しく上下に動く波に目が点になる伊達騒動を題材にした3枚続、五代目市川海老蔵が演じる‘幡随意長兵衛’の凄みのあるにらみ。図録をみると後期に登場するものにも夢中になりそう。

3点ある歌川国芳(1797~1861)は行司と2人の関取を描いた絵がよかった。こういう青地の背景は珍しく、紫色の衣装がなかなか洒落ている。国芳の弟子、月岡芳年は2点(前後期1点づつ)のみだが、これがなかなかいい。サプライズがあるのだが、それは? もう一点も是非みたい。

1月同様、パートⅡも大ヒット!楽しみはまだ続く。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.09.16

池大雅の‘比叡山真景図’とビッグなオマケ!

1961_2     池大雅の‘比叡山真景図’

1962_2     稲垣稔次郎の壁掛‘ソング・オブ・グリーン’

1963_2        稲垣稔次郎の‘木綿地型絵染壁掛 虎’

1964_2     稲垣稔次郎の‘一力の舞妓’

練馬区立美で池大雅(1723~76)が描いた掛け軸‘比叡山真景図’が半世紀ぶりに公開されるという記事が8/29の朝日新聞に載った。展示期間は9/14~10/24、回顧展の開催を心待ちにしている池大雅の絵がみられるとあらば、たとえ1点でも出かけるしかない。昨日さっそくみてきた。

この絵はあの‘柳生武芸帳’で知られる小説家、五味康祐が所蔵していたものだという。遺族から寄贈された練馬区美は2年かけて修復しこのたび公開にこぎつけた。この記事だけで足が動いたので、同時期に‘稲垣仲静・稔次郎兄弟展’が行われていることはTakさんの感想記を読むまで知らなかった。

掛け軸は企画展が終了する部屋の次に1点だけ展示してある。一目みてこれはいい絵だなと思った。たぶん、同じ感想をもたれる方が多いだろう。左が比叡山でその向こうが琵琶湖。水墨画だがところどころ薄い朱がみえる。手前から琵琶湖までには霧が木々を縫うように横にながくのびており、その穏やかな光景が心を深く静めてくれた。

池大雅の絵をみるのが目的だったから、すご帰ってもいいのだが、折角だから‘稲垣兄弟展’もみた。25歳の若さで亡くなった稲垣仲静(ちゅうせい、1897~1922)の日本画‘軍鶏’と‘太夫’(ともに京近美)を昔から知っているが、稲垣や岡本神泉、甲斐庄楠音らが描くデロリ系の女性画は好みでないので、いつもさらっとみて終わり。

この兄の絵に比べると5歳年下の弟、稔次郎(としじろう、1902~1963)の型絵染による着物、壁掛、屏風にはぐっと惹きこまれる。東近美の工芸館に2年前まではよく通っていたが、ここで稔次郎の着物や紙本額面をちょくちょくみていた。今回、予期せぬことに多くの作品を体験できたのは大きな喜びである。

ずいぶんシュールな感性に目を見張ったのが‘ソング・オズ・グリーン’。大勢の細長い人間と木の枝々がダブルイメージになっており、木全体が大きく左右に揺れている。下の階段をのぼって木のなかに入った人々はまん中あたりの幹からでてきて、上の枝に飛び移ったり、下へジャンプしたりしている。これは楽しい絵をみた!

虎をモティーフに使った3点組の壁掛の前に長くいた。画面のまわりに描かれた意匠は平板的なのに、中央の虎は対称性を少しズラし、奥行き感をもたせている。持って帰りたいような衝動に襲われた。欲しいなぁー!こういう壁掛。

京都の風景や風物を描いたシリーズにとても魅せられる。‘北野天神の市’、‘八坂の塔’、‘伏見稲荷’、‘一力の舞妓’、‘祇園祭’、‘夜の街’、‘桂川の風趣’などなど、どれも動きのある人物描写、豊かな色彩感覚が発揮された色使いが目を楽しませてくれる。ビッグなオマケに遭遇したから、足取りも軽い。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.09.15

ルブランの美貌に200%サプライズ!

1957_2         ルブランの‘マリー・アントワネットの肖像を描くルブラン’

1960_2          草間弥生の‘自画像’

1958_2           ベルニーニの‘自画像’

1959_2     ドニの‘家族といる画家の自画像’

損保ジャパン美で開催中の‘ウフィツィ美 自画像コレクション’展(9/11~11/14)をみた。とくに期待値の高い展覧会というのではなく、1点買いタイプの位置づけ。その絵とはヴィジェ・ルブラン(1755~1842)の自画像。

女性画や美人画の鑑賞をライフワークにしているから、チラシに載ったルブランの自画像にすぐ反応した。マリー・アントワネットはこんな美しい女流画家に肖像画を描いてもらってたのか!もうクラクラするような美貌である。本物の絵の前では落ち着きがない。こんなきれいな人にみられたら、平常心ではとてもいられない。顔は透き通るように白く、端正な目鼻立ち。この絵は一生の思い出になる。

肖像画は女性への思い入れが80%で男性のものは20%しかない。だから、館内での展示の順番(時代順)は無視して女性を描いたものが先になる。といっても、女流画家は少ないからその自画像は数点しかない。そのなかで、ルブランについで惹かれたのが草間弥生(1929~)が今年描いたもの。

日本人アーティストの草間弥生、横尾忠則、杉本博司の自画像がフィレンツェ美の‘ヴァザーリの回廊’に展示されることになったという情報はつい先日朝日新聞で知った。画面に吸い寄せられたのは草間パワーにあふれた自画像。草間は今年81歳、その創作活動はまったく衰えるところがない。衣服や顔に均質な筆致で明快に描かれた黄色や白の点々が目に心地いい。やはりヤヨイ・クサマは並みのアーティストをはるかに超えた全宇宙的な存在。

I LOVE ベルニーニ(1598~1650)だから、この大芸術家の自画像は見逃せない。画家や彫刻家たちの自画像を展示した‘ヴァザーリの回廊’は以前から知っていたが、普段は公開されてなくネット予約である程度人が集まると案内してくれることになっているから、一般のツアーだと鑑賞は難しい。幸運にもお目にかかれることになったこの絵は同じ年に描かれたボルゲーゼ美蔵のものとよく似ている。

チラシをみてルブラン同様、気になっていたのがドニ(1890~1943)の絵。斜めの線で構成する屋敷の壁のうすピンクと手前に大きく描かれた半身像のドニをしばらくいい気分でみていた。

今回やってきた60点のなかにウフィツィ自慢の絵が全部入っているかどうかわからないが、貸し出してくれないだろうと思っていたアングルもちゃんと入っているし、レンブラントもあるから、ひょっとすると‘お宝全部みせます!’のラインナップかもしれない。ほかにも、コーヒーを飲むジャコモ・バッラのいい自画像やデ・キリコ、フジタもあるから、◎の肖像画展に思えてきた。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2010.09.14

もっと見たいカイユボットの名画!

1956_2     ‘パリ、雨の日’(シカゴ美)

1955_2     ‘ヨーロッパ橋’(ジュネーブ、プティ・パレ美)

1954_2     ‘カヌー’(ワシントン、ナショナル・ギャラリー)

1953_2           ‘カフェにて’(ルーアン美)

ふだんはそれほど気にもしてなかった画家が突如、心のなかにどっと入ってくることがある。印象派のカイユボット(1848~1894)はそんな画家のひとり。

カイユボットの絵を最初にみたのはオルセー。リアルな床の質感描写に強く印象付けられる‘床のかんなかけ’をみてこの画家の名前は一応インプットされた。が、海外の美術館へはいろいろでかけたが、ほかの絵に出くわすことはなかった。だから、アメリカのシカゴ美を体験しなければ、カイユボットというと‘あのかんなかけを描いた画家ね’で終わっていた。

ところが、08年に訪問したシカゴ美で大作‘パリ、雨の日’(拙ブログ08/4/3)をみて、この画家の評価が一変した。この絵は館の図録の表紙に使われているが、その気持ちがよくわかる。シカゴ美へ行かれた方はおそらく同じことを感じられるにちがいない。このときほど印象派をもっと楽しむためにはパリやロンドンの美術館をみているだけではダメだなと思ったことはない。

この絵に接してからは画集に載っているカイユボットの絵への関心がいっそう高まってきた。実際にみれるかどうかは別にして、対面を夢見ているのは‘ヨーロッパ橋’と‘カヌー’と‘カフェにて’。斜めの線でつくる構図とりによって、橋の奥行き感が際立つ‘ヨーロッパ橋’は第二のふるさとジュネーブを再訪したとき是非、お目にかかりたい。

ワシントンのナショナル・ギャラリーでは‘カヌー’は事前に作成した必見リストに入れており、またシカゴの絵の余韻があったから期待していたのだが、どういうわけか展示されてなかった。次回の美術館めぐりでリカバリーできるとよいのだが。

‘カフェにて’はマネが傑作‘フォリー・ベルジェールの酒場’(4/7)を制作するとき霊感を得た作品といわれている。以前はこの肖像画をじっとみることはなかったが、‘パリ、雨の日’をみてカイユボットに開眼したから、見たい度がだんだん大きくなっている。グラン・パレとかでカイユボット展が開催されたから、飛んでいきたい気持ちである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.09.13

もっと見たいシニャック、ピサロの点描画!

1952_2        シニャックの‘ケール通りの帽子飾りの女工たち’(ビュルレ・コレクション)

1950_2      シニャックの‘フェリックス・フェネオンの肖像’(NY、MoMA)

1949_2     ピサロの‘私の家の窓からの眺め’(オックスフォード、アシュモリアン美)

1951_2     ピサロの‘落ち穂ひろい’(バーゼル美)

明るい色と静謐なイメージが心をとらえて離さない点描画にとても魅了されており、‘もっと見たいスーラ’(拙ブログ8/28)で紹介した絵などを中心に鑑賞エネルギーを体内に溜め込んでいる。今日はシニャック、ピサロの追っかけ画を。

スーラより5歳年下のシニャック(1863~1935)の絵はオルセーヘ出かけると、国立新美で開催された展覧会に出品された‘マルセイユ港の入り口’などをみることができる。日本の美術館にあるものはちょくちょくみるが、西洋美蔵の大作‘サン=トロペへの港’とポーラ美にある‘オーセールの橋’、大原美の‘オーヴェルシーの運河’の3点が強く印象に残っている。

こうした海洋画をみる体験が多いシニャックなのだが、もう何年も遭遇することを願っているのは点描で描いた風俗画、‘ケール通りの帽子飾りの女工たち’と装飾的に描かれたアメリカ人パトロンの肖像画。

シニャックに限らず印象派の絵に惹かれるのは日常生活の一こまを近代感覚で描いているところ。ドガは帽子屋での光景を2点制作しているが、シニャックは女性たちが帽子をつくっている様子を描いている。身をかがめてはさみをとる左の女性へ目が自然によっていく。本物はくっきりすっきりですごくよさそう。

NYの近代美術館にあるパトロンの横向き肖像画がみたくてしょうがない。新しいMoMAのなかにまだ入ってないが、これは常時展示してあるのだろうか?改築前に2回訪問したが、この絵を見た記憶がない。だから、いつもはでてないのかもしれない。すると、回顧展でしか縁がない?ところで、シニャックの回顧展は過去あった?これをみれる可能性は低いが、希望だけはもち続けるのがディレッタントの心意気というもの。

自分の息子みたいなスーラやシニャックがはじめた点描画に魅せられ、これに挑戦したのがピサロ(1830~1903)。3、4年前、大丸東京?でピサロ展があり、このときアシュモリアン美蔵の‘私の家の窓からの眺め’が出品されたような気がする。ピサロへの接近度はモネを10とすると5くらい。だから、このときは気乗りがせずパスした。が、この絵を見逃したのを今では後悔している。モネだったら気になる絵があったら1点でもでかけるのだが、ピサロではつい躊躇してしまった。

以前からピサロの点描画は悪くないなと思っていたが、3年前東京都美であった‘フィラデルフィア美展’(東京都美)で2点体験してからもっと点描風景画をみたくなった。大勢の農婦たちが仕事にはげんでいる農村風景を見事な構成で描いた‘落ち穂ひろい’にぐっと惹きつけられる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.09.12

名品をしみじみ鑑賞した‘茶道具の精華’展!

1945     ‘志野茶碗 銘 梅が香’

1947     ‘光悦赤楽茶碗 銘 十王’

1946     ‘井戸茶碗 銘 美濃’

1948     ‘唐物円座肩衝茶入 銘 利休円座’

五島美では現在、所蔵やきもの展の第2弾‘茶道具の精華’展(8/28~10/24)が行われている。前回の‘陶芸の美’(拙ブログ7/16)に出品された‘鼠志野茶碗 銘 峯紅葉’や‘長次郎赤楽茶碗 銘 夕暮’なども引き続き展示されているので、今回だけ出かけられる方でもおおいに楽しむことができる。

ここへ来るのは‘国宝 源氏物語絵巻’展(11/3~11/28)はパスなので、期待の‘唐物文琳茶入 銘 本能寺’が出品される後期(9/28~10/24)が最後の訪問となる。そのあと2年間は館の改修工事のためお休み。根津美が所蔵するやきものの名品は8回開催してくれた開館特別展でお目当てのものは全部みれたし、ここ五島美でも名品の数々を楽しませてもらった。

都内にある美術館が所蔵するやきものでコンプリートをめざしてきたのは東博、三井、五島、根津、静嘉堂、出光、サントリー、畠山、戸栗、松岡の10館。だいたい見終り、今残っているのは‘本能寺’と畠山の2点のみ。幸運だったは未見のものが多かった根津が特別展を実施してくれ、五島が休館前にお宝やきものを全部みせてくれたこと。

茶道具展は五島美の得意とするところだから、茶碗でも花生でも茶入でも水指でもすばらしいのがここにもあそこにもあるという感じ。志野茶碗の‘銘 梅が香’は乳白色と赤味の取り合わせが目に心地いい。そして、明るい枇杷色が印象的な‘井戸茶碗 銘 美濃’にも吸い寄せられる。朝鮮時代のものではほかにもっこりした丸さが魅力的な‘熊川茶碗 銘 千歳’などがある。

ここは光悦のいい楽茶碗があることで有名。‘黒楽茶碗 銘 七里’と‘赤楽茶碗 銘 十王’。腰が丸くてつるつるしている‘十王’をみているといつも柿を連想する。これよりずばり柿の茶碗がサントリー蔵の‘銘 熟柿’。直線的に立ちあがった形の‘銘 七里’はところどころに泥がかかったよう。これがじつに渋い。

今年、やきものでとくに関心を寄せているのは茶入。茶褐色の美となだれの虜になっている。今回の収穫は唐物の茶入3点、スッキリした形が心を打つ‘肩衝 銘 利休円座’とちょっと大き目の‘大海 銘 稲葉大海’と下が膨れた‘茄子 銘 宗伍茄子’。後期にでる‘銘 本能寺’も見逃せない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.09.11

‘日本美術のヴィーナス’展の上村松園も見逃せない!

1944_2      ‘桜下弾弦図屏風’

1942_2      勝川春章の‘遊里風俗図’

1943_2      歌川国久の‘隅田川舟遊図屏風’

1941_2      上村松園の‘青葉’

上村松園の絵をみるため、‘日本美術のヴィーナス’展(後期:8/24~9/12)が行われている出光美へ再度足を運んだ。前期(拙ブログ8/13)の作品と一部入れ替わり、後期だけに展示されるのは9点。このなかにどうしても見たい松園(1875~1949)の美人画が3点あった。

関心の大半は松園の絵にむかっているのだが、会期でずっぱりの絵にも挨拶くらいはしておくのが礼儀というもの。春の季節にみると心がいっそう高揚すると思われるのが風俗画の名品‘桜下弾弦図’。四角の画面に満開の桜の木を楽しむ女性たちの姿が生き生きと描かれている。

視線が集中するのはキセルをもった色白の女。下膨れを強調する顔はこの女だけでなく、まわりにいる女、子供も皆同じような顔をしている。この顔どこかでみたことがある!?ご存知、岩佐間又兵衛の絵にでてくる女。同じ下膨れ顔だけれど、又兵衛よりは大きな目をしているこちらのほうが好み。

大贔屓の勝川春章(1726~1792)は蚊帳の中の男女を描いた大作(後期展示)が見ごたえがある。でも、昼間だからあまり長くはみないほうがいい。2点ある舟遊びの絵(後期)はみてて楽しくなる絵。東近美から鏑木清方作、‘墨田川舟遊’を借りてきて、自館が所蔵する歌川国久の大きな絵と響き合わせるのだから、ここの学芸員は真にいいセンスをしている。ともにみている絵なのにこうして並べられると、ものすごくいい気分になる。

お目当ての松園は‘艶容’、‘静かなる夜’、‘青葉’(いずれも個人蔵)。これまで松園の回顧展を2回体験したのだが、この3点には縁がなかった。こういういい絵をみると、画集に載っからない隠れた名画が世の中にはまだ沢山あることを思い知らされる。どの絵も着物の柄がすばらしく、色がびっくりするほどあざやか。

とくに目にしみる色は‘静かなる夜’にみられる女性が読んでいる本の表紙の緑と‘青葉’の女性が身につけている着物の橙色。昭和20年に制作されたこの‘青葉’をMy‘好きな松園’に即登録した。ちなみに、東近美で開幕した‘上村松園展’(9/7~
10/17、9/8)にはヴィーナス展に出品された絵が3点展示される。‘四季美人図’(通期、前期:春夏、後期:秋冬)、‘冬雨’(通期)、‘灯’(後期、08/9/21)。

出光美は小杉放菴のコレクションでも有名だが、今回は‘天のうずめの命’(06/11/22)、‘湧泉’、‘七夕’、‘白衣婦人’の4点が会期中展示されている。‘天のうずめの命’は松園の美人画とは対照的に明るくて大らかなヴィーナスから発せられるオーラに引き寄せられ、顔がゆるみっぱなし。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.09.10

東近美平常展でお馴染みの名画と対面!

1938     川合玉堂の‘朝もや’

1937     東山魁夷の‘残照’

1940     小林古径の‘機織’

1939        関根正二の‘三星’

ここ数年、東近美の平常展はとんとみなくなった。理由は簡単でここの所蔵する代表的な近代日本画と洋画は全部みたから。上村松園展をみたあと、時間があったので平常展ものぞいてみた。

4階までエレベーターでいって、3階、2階と下ってくるのはいつもの流れ。久しぶりの鑑賞だから、お馴染みの名画がどれも新鮮に映る。洋画に比べると日本画のほうが展示と展示の間隔が長い。出品作の多くはこれまでみた絵だが、なかに初見のものも交じっている。でも、、画集とかここの図録に載っているものを超えるという感じではないから、サプライズの遭遇とはならない。で、よく知っている絵の前に長くいることになった。あらためて目を楽しませてくれた絵をいくつか。

川合玉堂(1873~1957)は‘朝もや’と‘二日月’。‘朝もや’は大きな松の木と家の後ろにある木々の配置がとても上手い。農夫と馬が進んでいる道の両サイドに等間隔で松を並べるのはまあなんとか思いつくが、朝もやにつつまれた中景の幹の細い木を奥にむかって描くのが並みの画家には難しい。また、手前から道までの距離のとりかたも近からず遠からずという感じなので、この風景がゆったりした気持ちでみられる。

山の景色より海の景色のほうが好きなので、山歩きをする習慣がない。黒部とか蓼科とか軽井沢など有名なところは一通り行っているのだか、いずれも一回のみ。これからも出かける予定がないので、山の自然はもっぱら東山魁夷や奥田元宋の絵で楽しんでいる。

東山魁夷(1908~1999)は一生付き合おうと思っている画家だから、数冊ある図録や画集を定期的にながめている。東近美が所蔵する作品では‘残照’は‘白夜光’とともにお気に入りの絵。これだけ透明感にあふれ遠くの山がきれいにみえるということは画家は相当高いところから眺めている。この澄み切った山の風景をみていると、山登りもいいかなと思うがここへ到着するまでが大変そう。

人物画で足がとまったのは小林古径(1883~1957)の‘機織’と20歳で亡くなった関根正二(1899~1919)の‘三星’。浮世絵師の歌麿も‘働く女たち’シリーズで機織りをする女を画面いっぱいに描いているが、古径は機を縦に二台置き右の機で仕事をする2人の女性を繊細な線で描いている。東博で開催された‘永青文庫展’で‘髪’(重文)と再会し、ここではこの絵と‘唐蜀黍’に遭遇した。東近美はやはり近代日本画の殿堂。名画が揃っているから気分がいい。

‘三星’は‘少年’(神奈川県近美、拙ブログ07/2/4)、‘子供’(ブリジストン美)同様、腹の底から魅せられている。3人とも同じような顔つきだが、中央が関根で右の女性が姉、左が恋人。ほっぺや唇、衣服の赤が目に焼きつくが、こちらをじっとみつめる関根のまなざしがとても気になる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.09.09

東博浮世絵エンターテイメント! 清長・北斎・広重

1934_2         鳥居清長の‘子宝五節遊・重陽’

1936_2      葛飾北斎の‘桔梗にとんぼ’

1935_2          歌川広重の‘名所江戸百景・神田紺屋町’

現在、東博の浮世絵コーナーにでている作品30点の展示期間は8/24~9/20。今年は5月の展示を見逃しただけで、ほかは皆勤。毎回30点前後だから、年間にすると330点くらい展示される。もう6年も通っているから約2000点みたことになる。

こんなにみているのに、まだ7割は初見のもの。ここのコレクションは本当に底なし沼。だから、いつも収穫があり気分は上々。ここの展示が気が利いているのは季節にあわせて、作品をセレクションしていること。五節句、9月9日(重陽)にちなんだ絵が2点ある。清長(1752~1815)の‘子宝五節遊’は2度目、子供たちが菊の花を奪い合ってじゃれているのが微笑ましい。もうひとつの北斎の絵ははじめてお目にかかった。

今年は北斎(1760~1849)が生誕してから250年の節目の年にあたるので、北斎の展示が多くなっている感じ。揃物では‘諸国瀧廻り’に続き今は‘琉球八景’(全8点)、‘泉崎夜月’など4点がでている。残りの4点はだぶん次回。北斎のいろいろある絵のなかで花鳥画をみるのは楽しみのひとつ。今回は‘桔梗にとんぼ’と‘菊花に虻(あぶ)’。

‘桔梗にとんぼ’をみるのは5年前ここであった‘北斎展’以来かもしれない。10点あるこの花鳥画シリーズのほかの8点は花だけが描かれた‘芥子’、‘檜扇’、‘百合’と‘芙蓉に雀’、‘紫陽花に燕’、‘牡丹に蝶’、‘杜若にきりぎりす’、‘朝顔に蛙’。

花プラス鳥などのものがとくに気に入っているが、雀でもとんぼでも虻でも、上空からまっ逆さまに花のところに飛んできたように描かれているので、花よりまずこちらに目が向かう。とんぼはこういう飛び方はしないので、横向きのほうがとんぼらしいのだが、雀と燕をスピード感豊かに描いたものだから、とんぼも垂直降下にしてしまえ、となったのだろう。

広重(1797~1858)は‘名所江戸百景’から‘神田紺屋町’と‘品川すさき’の2点。‘神田紺屋町’をみるたびに白と藍に染められた布は実際にこんなに長かったのだろうか?と思ってしまう。手前に対象を大きく描くからこういうふうに帯のお化けみたいにみえるのかな?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.09.08

珠玉の名画をずらっと揃えた‘上村松園’展!

1930_2            ‘草紙洗小町’(東芸大美)

1933_2              ‘楚蓮香’

1931_2         ‘新蛍’(東近美)

1932_2              ‘晩秋’(大阪市立美)

昨日、東近美へ出かけ期待の‘上村松園’展(9/7~10/17)をみてきた。会期は1ヶ月ちょっとだから、のんびり構えているとすぐ終わってしまう。‘長谷川等伯’展(東博)や‘伊藤若冲 アナザーワールド’展(千葉市美)と同じように、‘会期は短いが代表作は全部みせます!’タイプの大回顧展である。

作品の数は前期(9/7~9/26)、後期(9/28~10/17)ともに76点。前・後期だけの作品が各々9点ずつあるが、大半は会期中出ずっぱり。最近の日本画の展覧会はビッグな回顧展ほど会期を細切れにしない、スッキリ展示が多くなってきた。西洋絵画の展示に似てきたのは嬉しいかぎり。

上村松園(1875~1949)の回顧展を体験するのはBunkamura(96年)、広島県美(03年)に次いで3度目。今回のチラシで‘珠玉の決定版’と謳っているが、このフレーズに偽りなし!学芸員は多くの作品のなかから、1点々時間をかけて検討し、展示の構成を考えたにちがいない。これぞプロの眼力。画集に載っている有名な絵は全部あるのだから、なんとも贅沢な展示である。

例えば‘序の舞’(後期、拙ブログ09/7/9)、‘母子’(09/7/9)、‘鼓の音’(09/3/5)、‘焔’(前期、08/9/28)、‘草紙洗小町’(前期、09/4/15)、‘雪月花’(展示
10/5~10/17、09/7/9)、‘楊貴妃’(松伯美)、‘砧’(後期、山種美)、‘花がたみ’(松伯美)、‘虹を見る’(京近美)、‘夕暮’、‘晩秋’、‘待月’(京都市美)、‘灯’
(後期、08/9/21)、、、

名品揃いなので選択に苦労する。そのなかで絵の前に長くいたものをあげてみた。感激が半端じゃないのが‘草紙洗小町’。昨年、やっとみれた憧れの絵がまた最接近してみれるのである。うす青緑や土色の着物の柄を食い入るようにみた。

初見で大収穫の作品が2点あった。松園が描く女性をみているときの心情は西洋画でいうとラファエロの聖母をみているときの感情に近い。優雅で気品に満ちているから、なんだかほわんとし、心が洗われる感じ。だから、こういう女性に声をかけられる雰囲気ではない。ところが、今回つい話たくなる女性がいた。松園の美人画で心がザワザワしたのははじめて。

鏑木清方の絵をみているような気がして顔がでれっとした絵は‘楚蓮香’。これまで‘楚蓮香’は4,5点みたが、これが最もいい。こんなきれいな美人画があったのかというのが率直な感想。心を惹きつけてやまないのは丸っこい目。衣装の色も鮮やかだから、もう200%うっとり気分。

もう1点、目が同様に魅力的で親しみを覚えるものがあった。最後のコーナーに展示されている‘初夏の夕’。そして、女性の手のしぐさにぞっこん参っているのが‘新蛍’。蛍は松園の絵によくでてくる。お気に入りの‘楚蓮香’には3匹、‘娘’には4匹、‘初夏の夕’や‘新蛍’では中央に1匹。小さい頃、蛍の明かりを目を輝かせてみたものだが、蛍はもう何年もみたことがない。

大作の‘晩秋’は普通の家庭でよくみられる光景が描かれているので、じっとみてしまう。手先の器用な女性はこういう障子の破れたところを綺麗に修理するが、がさつなものがやると形がゆがんだ伸子張りになる。丁寧に糊付けする手と横向きの顔をじっとみていた。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2010.09.06

東博平常展に予期せぬ追っかけ作品が!

1928_3              与謝蕪村の‘山水図’

1929_3               浦上玉堂の‘山中結慮図’(重文)

1926_3             富岡鉄斎の‘二神会舞’

1927_3      今村紫紅の‘熱国之巻(朝之巻)’(重文、部分)

東博の平常展へ定期的に出かけているが、各部屋に対する気持ちの入り方は少しずつ変わってきている。今も熱い視線を送り続けているのは浮世絵コーナー、次が書画、そのあとが1階の近代美術といった具合。

この順番は出品作のなかに占める初見のものの多少によっている。浮世絵の場合、もう6年近く通っているのにまだみてないものがいっぱい登場してくる。1ヶ月弱で展示替えになるが、次はどんなサプライズがあるか?これを楽しみにせっせと足を運んでいる。

浮世絵に比べると、同じ2階のすぐ近くに展示されている書画は鑑賞済みの絵が多いのでだいぶ余裕のゆうちゃん。ところが、今回の展示(8/10~9/20)に思ってもいなかった追っかけ画があった。それは与謝蕪村(1716~1783)の43歳ころの作、‘山水図’。

昨年の10月に展示された‘山野行楽図屏風’(重文)はこれまで2度くらいお目にかかったのに、‘山水図’は6年間縁がなかった。これは蕪村が好みの南宋画を自分流に描いた絵。岩はごつごつしており、濃い墨で描かれた木々とともにぐっと押しでてくる感じだが、うす青でさらっと描かれた遠景の山に目をやるとすこし気持ちが和らぐ。

隣にある同じ文人画の浦上玉堂(1745~1820)の絵は久しぶりにみた。前回の展示は06年で、この年千葉市美で開催された‘浦上玉堂展’にも出品された。こういう戯画っぽい絵は‘筆に慣れれば自分にも描けそう’とつい思ってしまう。このあたりが素人のあつかましさ。南画は奥が深く、くだけたなかに見る者の心を揺すぶるものが漂ってこなければ絵にならない。玉堂の絵を時どきみたくなるが、いいタイミングで遭遇した。

1階の近代美術の部屋になかなかいい絵がでていた(展示は9/12まで)。ユーモラスな人物描写が魅力の富岡鉄斎の‘二神会舞’、河鍋暁斎の‘山姥’、鏑木清方の‘黒髪’(拙ブログ07/10/30)、そしてぞっこん惚れている今村紫紅の‘熱国之巻’。‘山姥’は4年ぶりの展示だが、ほかの絵はだいたい2年サイクルで登場。

‘熱国之巻’は嬉しいことに‘朝之巻’と‘夕之巻’(09/7/17)は一年おきに展示される。昨年インドを旅行したのでこの絵に描かれている牛や頭に物をのせて歩く人々に見入ってしまう。この絵の見所のひとつは金粉の装飾。前田青邨の‘唐獅子図’同等、場面の展開に切れ目なく使われた金粉に目を奪われる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.09.05

楽しみの尽きなかった根津美の新創記念特別展!

1923_2       円山応挙の‘藤花図屏風’(重文)

1925_2      明兆の‘五百羅漢図’(重文)

1924_2      ‘花白河蒔絵硯箱’(重文)

1922_2      ‘染錦菊花散文花形鉢’

根津美の新創記念特別展は現在行われている‘コレクションを未来へ’(8/21~
9/26)が最後。8回を皆勤したので、国宝や重文などをふくめ質の高いコレクションの相当数をみることができた。

開館したとき購入した図録に載っている名品が少しずつでてくるので、今回はこれが見れるぞ!と期待しながら展示室を回る。最初のサプライズは円山応挙(1733~95)の‘藤花図屏風’。これまで幾度となくみているのだが、今回はどういうわけか以前みたときの印象とは違ってみえた。

その原因は照明。過去こういう風に全体が暗いなかでこの絵と対面したことはない。照明の効果で垂直に垂れる花房が画面からボコッと盛り上がったようにみえるのである。紫の雲のごとき見事な藤の花が空中に浮かんでいるよう。琳派的な装飾性とはちょっと違い、生の美しい藤の姿が一層引き立つように余分のものはなくしていったらこうなったという感じ。

おもしろいのは枝や蔓は海中にある水草とか昆布のように平板で丸みがなくクニャクニャしているのに、量感のある藤の花はしっかり支えているところ。また、余白を多くとっているから横に並ぶ一つ々の花房に存在感があり、宝石がキラキラ輝いているようにみえる。応挙のこの見慣れた絵にこれほど感激するとは思ってもみなかった。

明兆(1351~1431)の描いた‘五百羅漢図’は衣装の濃い赤、緑、青が印象深く、3年前開催された‘京都五山 禅の文化’展(東博)に出品されたほかの羅漢図(6点)を見たときに味わった感動が蘇ってきた。修復後、初公開というから貴重な体験である。

初見の作品で見たい度が強かったのは蒔絵の硯箱。満開の桜の下に公達を立たせる構成にとても魅せられるが、こればかりに見とれていると、幹と公達の足元の土坡(どは)に‘花・白・河’の文字が描かれているのを見落とす。こういう葦手絵を見るにつけ、われわれの先祖のデザインセンスは本当にすごいなと思う。

旧根津美で10年くらい前やきもの展があり、山本コレクションの名品を沢山みた。そのなかで最も惹かれたのが色鮮やかな‘染錦菊花散文花形鉢’。久しぶりの対面に再度胸が高まった。また、隣にある‘色絵荒磯文鉢’にも足がとまる。

ここの所蔵名品はこれで一休みできる。で、次なる期待は‘南宋の青磁’展(10/9~
11/14)。国内にある青磁の国宝、重文でまだみてないのが1点残っている。これが出品されるのではないかと、開幕を心待ちにしている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010.09.04

前田青邨の‘唐獅子図’と嬉しい再会!

1918     前田青邨の‘唐獅子図’(右隻)

1919     ‘唐獅子図’(左隻)

1920          山崎朝雲の‘擲禅杖’

1921          沼田一雅の‘陶彫唐獅子’

三の丸尚蔵館へ出かけ‘虎・獅子・ライオンー日本美術に見る勇猛美のイメージ’展の後期(8/14~9/5、無料)をみてきた。前期のお目当ては応挙の‘群獣図’(拙ブログ8/1)だったが、後期(12点)の楽しみは4年ぶりにみる前田青邨(1885~1977)の‘唐獅子図’(六曲一双)。

この絵は岐阜県美に2回でかけ、長年の思いの丈をようやく果たした(06/9/28)。こういう傑作はそうしょっちゅうはでてこない。次の展示まで5年くらい間隔があくと思われるので、関心のある方は是非!展示は明日まで。

右隻が雄獅子で、左隻が雌獅子。子獅子は左に2頭、右に1頭いる。どちらの隻に目がいくかというと、右隻のほう。色彩のバランスをとるため親と子は違う色にしており、ともに顔をぐっと横にまげた姿がとてもユーモラス。雄獅子は体つきや緑のたてがみ、尾っぽが雄らしくがっちり、荒々しく表現されているのに対し、左の雌獅子は悠然とした構えで遠くを眺めている。

皇室へ献上する絵だから、高価な材料が惜しげもなく使われている。雄雌獅子ともたけがみに金粉が散らされているが、より目立つのは緑のたてがみのほう。こういう金粉や金泥がこれほどみられる絵は滅多にない。雌獅子の胴体に使われているのは銀泥ではなくプラチナの泥。銀だと酸化すると黒になるから、青邨はこれを避けるため高価なプラチナを用いている。

三菱一号館美で待ち続けた橋本雅邦の‘龍虎図屏風’をみることができ、三の丸では青邨のこの傑作に遭遇した。今年の干支が虎なのでこうした展示が実現したのかもしれないが、まさに‘待てば海路の日和あり’である。青邨の絵をみせたかった隣の方もおおいに反応してくれたのでちょっぴり嬉しい。

木彫で熱心にみたのが山崎朝雲(1867~1954)の‘擲禅杖’。猫みたいな虎がひっくり返り、顔のすぐ前までやってきた龍と対峙している。おろしろいことに杖が龍に変わっている。なぜ?中国で修行していた道元禅師はあるとき虎に遭遇した。で、とっさに投げた杖が龍に変じて虎をやっつけ事なきをえた。この話、西洋にもない!?そう、モーゼの杖マジック、こちらは蛇になる。

沼田一雅(1873~1954)の‘唐獅子’はブロンズ作品ではなく、やきもの。その姿は中国風の唐獅子のようでもあり、ライオンのようでもある。獅子や鷲は置物の定番だから、これのミニチュアを玄関に置いておくと防犯システムを利用しなくても‘家のセキュリティーはもう安心!’とつい思ってしまう。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2010.09.03

田中一村は日本のアンリ・ルソー!

1914_2          ‘アダンの木’(部分)

1916_2       ‘不喰芋と蘇鉄’(部分)

1915_2              ‘初夏の海にアカショウビン’

1917_2      ‘枇榔樹の森’(部分)

千葉市美で開催されている‘田中一村 新たなる全貌’展(8/21~9/26)に200%感動した!奄美に住んで花や蘇鉄の絵を描いた画家、田中一村(1908~1977)の名前は知ってはいるが、みた絵はほんの数点だから、ほとんど知らないに等しい。

7,8年前広島に住んでいたとき、駅前にあるデパート福屋で回顧展があったのだが、当時は関心がうすくパスした。その後、06年東芸大美で開催された‘日曜美術館30年展’で‘枇榔樹の森’など3点みた。このときでも、まだ絵に対する反応はいま一つ。

だから、この回顧展に対しては期待で胸が膨らむということもなく、登場する絵が亜熱帯植物図鑑のようだとおもしろくないなと思っていた。ところが、入館して初期のころの絵や千葉に移り住んで描いた水墨山水画や花鳥画をみているうちに、これはすごい展覧会に出会ったなという気になってきた。

そう思いつつ奄美時代の絵に気がはやる。最後の2つの部屋にお目当ての絵があった。その予想をはるかに上回る一村の奄美ワールドにテンションは一気にあがる。とにかく興奮した。奄美へ行ったことはないが、蘇鉄をみるとここは本州とはまったく違う南の島だということを即納得する。1.3~1.5mもある縦長の絵が全部で15点。いずれも奄美にある田中一村記念美が所蔵するもの。

記念館にある大作はおそらく全点やってきたのだろう。東芸大美ではわずか3点だったが、これだけ揃うと田中一村が並外れた高い技量と豊かな想像力をあわせもったすごい画家であることはすぐわかる。これはエポック的な鑑賞体験だと、心のなかで叫びながら1点々食い入るようにみた。

画集かなにかでこの絵をずっと前にみておれば、一村にもっと早くから心が向かっていたなと思ったのは‘アダンの木’。チラシにも使われているが、これに最も魅せられた。亜熱帯の植物にまったく詳しくないが、このパイナップルのような実と先が細くなった葉をみて、一瞬ルドンの蜘蛛の絵を連想した。アダンの木が大きくのびのびと描かれているのとは対照的に、背景の浜の石ころや海の波はとても緻密に表現されており、静謐な印象を与えている。

隣にある‘不喰芋と蘇鉄’も傑作。この絵の前では今、最接近中のアンリ・ルソーの熱帯シリーズの絵、例えば‘蛇使いのの女’(拙ブログ6/12)とか‘不意打ち!虎のいる熱帯の嵐’(08/2/8)がダブってきた。緑でうめつくされた画面に鮮やかに映える赤やうすピンク、黄色のつぼみや花びらが目にとびこんでくる。

一村の花の絵は種類はそれほど多くなく、葉や実を大きく生き生きと描くのが特徴。その花同士の重ねあわせ方が上手いので、画面がビジーで窮屈な感じがしない。とても惹かれるのは鳥や花を配したあとに残された狭い空間から遠くの風景を垣間みせるところ。向こうは海かな?、太陽の輝く空かな?と夢想するのはじつに楽しい。

花に囲まれて登場するのは鳥、フクロウ、蝶、蛾。鳥は岩の上にいる口ばしがやけに長いアカショウビンが印象深い。緻密な写実力に吸い込まれるのが‘枇榔樹の森’。前後左右に重なり合う枇榔樹は神秘的な森のイメージ。全体が暗いから、ここへ入り込んだら神秘の世界に酔いしれるどころか不安な気持ちのほうが頭をもたげそうだが、左にいる一匹の美しい蝶をみて、ほっとするかもしれない。

ミューズが田中一村に会わせてくれたことを心から喜んでいる。そして、千葉市美に
拍手! 展覧会はこれを共同企画した鹿児島市美(10/5~11/7)、田中一村記念美(11/14~12/14)でも開催される。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2010.09.02

お馴染みのポンピドー蔵シャガール展でも収穫あり!

1910          ‘日曜日’

1911     ‘虹’

1913     ‘彼女を巡って’

1912     ‘モーツァルト・魔笛’

東芸大美で開催中の‘シャガール ロシア・アヴァンギャルドとの出会い’展(7/3~
10/11)をみてきた。開幕して2ヶ月も経って出動したのは、出品作の多くをみているため期待値が普通だから。会期中に行けばいいと軽い気持ちなのである。

展覧会で出かけるのは画集や美術本に載っている名画や名品をみるため。だから、作家の有名な作品でまだみてないものへの期待が心のなかの8割を占領し、主催者が練りに練ったテーマについては2割しか関心がない。今回も東芸大美には申し訳ないが、シャガールとロシアアヴァンギャルドとの響き合いには心が向かわず、ポンピドーにあるシャガールコレクションのプラスαを期待していた。

シャガール(1887~1985)の絵は19点。これにビッグなオマケがついている。シャガールが1966~67年に制作したNY,メトロポリタオペラの上演作品であるモーツァルトの‘魔笛’の舞台装置と衣装デザイン50点、これは日本初公開。

オマケはさらっとみたが、そのなかでここに取り上げた‘背景幕第Ⅱ幕第30場フィナーレ’の目の覚める赤に足がとまった。音量を落として‘魔笛’を流していたが、このオペラは楽しいからとてもいい雰囲気。

最後の部屋にいい絵が揃っている。3点ある大作のひとつ‘日曜日’は‘ロシアとロバとその他のものに’(拙ブログ08/2/15)とともに今回の目玉作品。これは何年か前、世田谷美であったポンピドー蔵回顧展にやってきた。真ん中にみられる平坦な黄色の色面がとても印象的で、男女が寄せ合う丸い顔におもわず肩の力が抜ける。

タイトルに書いた収穫は‘虹’。これははじめてお目にかかった。馬の背に乗っている男と上で横を向いた鳥の間に白の半円帯が3つある。これが虹?なかなかおもしろい構成。右では鮮やかな赤の地にエッフェル塔がくにゃっと曲がった姿をみせている。

大作の前に並ぶ絵もシャガールの画集に載っているお馴染みの名画。‘家族の顕現’、‘赤い馬’、‘彼女を巡って’、‘空飛ぶアトラージュ’(これだけは福岡市美蔵)、‘村の魂’。‘彼女を巡って’はみるたびに左にいる男の顔にドキッとする。逆さにくっついているのである!

シャガールは体の一部を分離するのが得意。‘ロシアとロバ’では女の頭部は体から離れ、後ろ髪をなびかせて空をさまよっており、‘彼女を巡って’では男が顔を逆さにして何事もないかのように手に絵筆を持っている。

シャガールのような大画家の絵、それもポンピドーの一級のコレクションのなかから18点だから、これは贅沢すぎる展覧会。何度もみているとはいえ、いいものはいい。出動は遅くなったが、久しぶりの‘日曜日’と初見の‘虹’が心を晴れやかにしてくれた。
どうか、ポンピドーの誇るシャガールの傑作をお見逃しなく!

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2010.09.01

もっと見たいモネの名画!

1906_2      ‘オランダのチューリップ畑’(オルセー美)

1908_2      ‘キャピュシーヌ大通り’(プーシキン美)

1907_2      ‘鉄橋 アルジャントゥイユ’(フィラデルフィア美)

1909_2     ‘ポプラ’(ケンブリッジ、フィッツウィリアム美)

国内で印象派の展覧会がある場合、高い人気を誇るモネとゴッホの絵を中心に構成されたものが圧倒的に多い。今日はそのモネの追っかけ作品を。

ここ3年間に行われたモネ関連の展覧会をレビューしてみると、
07年 ‘大回顧展 モネ’:国立新美(拙ブログ07/4/154/16) 作品数97点
08年 ‘クロード・モネの世界’:名古屋ボストン美(08/6/1) 24点
10年 ‘ボストン美展’:森アーツセンターギャラリー(4/28) 11点
10年 ‘オルセー美展’:国立新美(6/9) 5点
10年 ‘ストラスブール美展’:Bunkamura(6/14) 1点

今年の3つの展覧会にモネの絵は17点登場した。このほかにも横浜美でポーラ美蔵の印象派絵画展が開かれているから、これも加えると20数点が一気に鑑賞できたことになる。‘選択と集中’が大事なのは仕事でも趣味の世界でも一緒、こうした展覧会を通じてモネに開眼、あるいは虜になった方が結構おられるかもしれない。

モネの展覧会は国内外でいろいろ体験した。5月、カラヴァッジョ展をみるためでかけたローマではフォロロマーナ近くにある美術館で‘モネとコロー展’というのをやっていた。寄ってみたかったが、‘デ・キリコ展’を優先したので仕方なくパス。

オルセーにはモネの傑作が何点も展示されているが、数が多いため常時みれないのもある。まだ縁がない絵でいつかこの目でと願っているのは‘オランダのチューリップ畑’、‘アルジャントゥイユの橋’、‘アルジャントゥイユの鉄道橋’。フィラデルフィア美蔵の‘鉄橋 アルジャントゥイユ’はオルセー蔵の別ヴァージョン、どちらが先にみれるだろうか?

賑やかなパリの都市風景を描いた‘キャピュシーヌ大通り’は三色旗の赤が目に焼きつく‘モントルグイユ街、1878年パリ万博の祝祭’(07/4/15)と同様、みているだけで体全体が浮かれてくる。右の端にホテルの窓から体をのりだしている男性を大きく描いているのがおもしろい。浮世絵の描き方を、モネは使ってみたかったのだろう。

連作シリーズで‘積み藁’とともに惹かれているのが‘ポプラ’。このシリーズはフィラデルフィア(07/4/16)、メトロポリタン、西洋美などにいい絵があるが、イギリスのケンブリッジにある絵もそのS字のフォルムと明るい空に心を揺すぶられる。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2010年8月 | トップページ | 2010年10月 »