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2010.08.10

アンリ・ルソーの‘赤ん坊のお祝い’と対面!

1825_2     アンリ・ルソーの‘赤ん坊のお祝い!’

1826_2        ゴッホの‘郵便配達人 ジョセフ・ルーラン’

1827_2         ホードラーの‘自画像’

1828_2          シスレーの‘朝日を浴びるモレ教会’

アンリ・ルソーの期待の絵をみるため、世田谷美へでかけた。8/7からはじまった‘ザ・コレクション・ヴィンタートゥール’(10/11まで)は美術館にとっては相当気合の入る展覧会のようで、東急田園都市線・用賀駅からは美術館直通のバスが特別に運行されている(平日は30分、土日は15分間隔)。

館内にはびっくりするくらい子供がいる!?8月中、小中学生は無料とのこと。この盆休みには親子連れがふえそう。この展覧会のチラシを手に入れたとき、ヴィンタートゥールはコレクターの名前?美術館名?なんかはっきりしなかった。じつはスイスにある街の名前。チューリッヒの北東25km、人口10万の小さな街である。

スイスのジュネーブに若いころ住んでいたことがあり、チューリッヒにもクルマででかけたことはあるが、そのころは美術に今ほど熱が入ってなかったから、ここからそう遠くないところに美術ファンには名の知れた美術館があることは知る由もない。

その美術館が改築のため、しばらくお休み。で、コレクションのうち90点が日本ではじめて公開されることになった。チラシに載っている絵のなかで、とりわけ気になるのがルソー(1844~1910)の‘赤ん坊のお祝い!’。この絵にすごく惹きつけられたが、手元の美術本にはなかった。が、昨年10月に購入した小学館の週間‘西洋絵画の巨匠・ルソー’にこれが大きく紹介されていた。

本物は期待に違わぬいい絵だった。ルソーの絵には今、国立新美に展示されている‘蛇使いの女’のようなジャングル画のほかに、画面の中央に人物を馬鹿デカく描くものがある。これまで体験したこのタイプの絵は‘人形を抱く子供’(オランジュリー)と‘女の肖像’(オルセー)の2点。

おもしろいのは‘赤ん坊のお祝い’も‘人形を抱く子供’も大人の目つきをしていること。‘赤ん坊’は足元の草、白や赤の花びらがかなり丁寧に描かれており、後ろに立つ木の葉っぱも裏表を緑に濃淡をつけて表現している。そして、感心するのが画面の構成。赤ん坊は左手を横にあげて色鮮やかな赤、黄色、青の衣装をつけた大きな人形をもっているが、そのデブっとした体と人形の間に木を配置している。さらに、白い服にはさんだ花の隣にクリスマスツリーのような三角形の木を描いている。構成といい精緻な描写といい、絵の完成度はかなり高い。

ゴッホ(1853~1890)の‘ルーラン’は‘赤ん坊’とともにこの展覧会の目玉作品。背景の黄色に郵便配達人の青の制服がとても映える。‘オルセー美展’には‘星降る夜’、‘ウジェーヌ・ボック’、‘アルルのゴッホの寝室’が出品され、ここには‘ルーラン’、そして秋には国立新美の‘ゴッホ展’にまた傑作がやってくる。日本にいながらゴッホの名画を何点も鑑賞できるのだから、これほど幸せなことはない。

想定外のサプライズはホードラー(1853~1918)の‘自画像’。このスイス人画家は気のいい親父さんという感じ。2年前、幸運にもオルセーでホードラーの回顧展に遭遇した(拙ブログ08/2/22)。そこに自画像が5点でており、そのひとつに再会したと思った。が、家に帰って図録を確認すると別の絵。ホードラーは同じ1916年にもう1点制作していた。

印象派はゴッホのほかにモネ、ルノワール、シスレー、ピサロ、ゴーギャンもあったが、最も心に響いたのはタイトルの通り光の描写がすばらしいシスレー(1839~1899)の‘朝日を浴びるモレ教会’。

あまりみる機会のないドニやヴァロットンらナビ派の絵に出会ったのは収穫だったが、今回感動の袋を大きく膨らませてくれたのはなんといってもルソーの赤ん坊の絵。どうか、お見逃しなく!

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コメント

やっと行けました!
無料ということで子どもたちも大勢来ていましたが、はしゃいで台の上に乗ったり監視員も大変ですね。
ルソー、良いですね。
おっしゃるように大人みたいな顔つきしてますが、ルソー意図的なのでしょうか?国立新のオルセーではルソーはかなり戦略家だという解説聞いた気がします。
いやあドイツとスイスの画家も堪能できましたし、本当に日本にいながら美術を堪能出来る喜びとまだ自分は何も知らないんだなあという感慨と。
フェルメール地理学者の片面チラシもう出来ていて驚きました。

投稿: oki | 2010.08.27 23:06

to okiさん
この美術館の自慢の絵、NO.1はルソーの
赤ん坊の絵でしょうね。TASCHENにも
大写しで掲載されてます。

モネやルノワールはアベレージですね。ゴッホ
のルーランはとてもいい絵ですが、画集には
でてきません。

スイスの美術館ですから、ホドラーとかヴァロ
ットンはさすがにいいのがあります。また、
ココシュカやドニ、マルケもよかったですね。

Bunkamuraのシュテーデル美展は関心はあり
ますが、‘いつか行きたい美術館’でとりあげ
た絵がでてこないので、期待値は中くらいです。

フェルメールの地理学者を目玉にしたいのでしょ
うが、この美術館の一番のお宝はの日本にもやっ
てきたレンブラントの‘目を潰されるサムソン’
です。Bunkamuraに確認するとやはり来ない
ようです。

私はフェルメールが描いた絵で男性がでてくる絵
にどういうわけか心が動かされないのです。
ですから、地理学者が目玉だとおもしろくありま
せん。フェルメールの全点鑑賞(残り5点)をめ
ざしてますが、‘マルタとマリアの家のキリスト’と
‘取り持ち女’を除いて、男性がでてくる絵は興味
半減といったところです。

投稿: いづつや | 2010.08.28 11:53

いづつやさん今更ながらですが、このルソーの赤ちゃんが神戸の県立美術館に巡回してきました!この絵をいづづやさんのブログで観た時から観て見たいなぁと思っておりました。今日逢ってきました。迫力が凄い!帰りに絵葉書も買いました。なんだか元気がもらえる絵のような気がします。

投稿: licoluise | 2010.11.12 21:44

to licoluiseさん
神戸でルソーの赤ちゃんをみられましたか!
満足感を共有できて嬉しいです。

この絵が間違いなく美術館一番のお宝です。
TASCHENにもでてますし、1987年の
‘アサヒグラフ別冊美術特集 ルソー’にも
ちゃんと載ってます。

ルソーの情報をひとつ。来年4月、横浜美で開催
される‘プーシキン美展’にTASCHENにも
アサヒグラフにも載っている‘詩人に霊感を与える
ミューズ’がやってきます。とても楽しみです。

投稿: いづつや | 2010.11.12 23:23

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