もっと見たいアンリ・ルソーの名画!
‘飢えたライオン’(部分、バーゼル、バイエラー財団美)
今年国内の美術館で開催される展覧会は西洋絵画が大当たり!印象派、ポスト印象派、素朴派のアンリ・ルソー、そしてブリューゲル。どれをとってもワクワクする展覧会なので、アートフルマインドは常時プラトー状態にある。
こういう名画に多く出会えるときは絵画に対する感じ方、見る力はだいぶ上がったような気になる。これまでの鑑賞体験を振り返ってみると、絵画への思い入れはリニア的に大きくなったのではなく、ステップ関数のようにエポック的な展覧会に遭遇するたびにぴょんと跳ね上がったという感じがする。
また絵画との親和度だけでなく、大展覧会は特定の画家に開眼する、そんなきっかけをつくってくれる。さしむき今年はルノワール、マネ、ルソー、ドガ、ゴッホかもしれない。一気に好きになり、画集に載っているほかの名画への鑑賞欲がこれまで以上に強くなる。
ルソー(1884~1910)の‘蛇使いの女’と‘戦争’(拙ブログ6/12)が国立新美に展示されるだけでも200%サプライズなのに、TASCHEN本に大写しで載っている‘赤ん坊のお祝い!’(8/10)が世田谷美にやってきてくれた。この赤ん坊の絵をみるためにスイスの小さな街ヴィンタートゥールまではとても行けないから、嬉しくてたまらない。今、その余韻に浸っている。
と同時に、次のターゲットに心は向かっている。2年前、アメリカの美術館へ出かけたとき、ルソーが多くの美術ファンに愛されていることを思い知らされた。シカゴ美蔵の‘滝’とワシントン・ナショナル・ギャラリーにある‘岩の上の少年’と‘猿のいる熱帯の森’はいずれも貸し出し中で展示されてなかった。ルソーの絵は世界中の美術館から引っ張りだこなのだろう。
計画中の2回目のアメリカ美術館めぐりにはそのリカバリーも当然入っている。今、最も見たいのはまだ訪問してないフィラデルフィア美にある‘カーニバルの夜’。これは有元利夫が‘一人の夜’(8/12)を制作するにあたって参考にした絵。驚くのはここにはもう2点ルソーがあること。3年前日本にやってきた‘陽気な道化たち’と‘ピンクの服の少女’。対面が待ち遠しい。
NYのグッゲンハイムは17年前に体験したが、体のおもしろい動きが目をひく‘フットボールをする人々’をどういうわけかみたという実感がない。もうひとつの‘砲兵たち’はよく覚えているから、展示してなかったのかもしれない。その残念な思いをずっと持ち続けている。‘カーニバルの夜’同様、期待値は高い。
今年の2~5月、スイスのバーゼルにあるバイエラー財団美でルソーの回顧展が開かれた。その目玉作品が‘飢えたライオン’。クリーブランド美蔵の‘虎と水牛の戦い’によく似ており、すごく惹きこまれる。いつか遭遇できることを夢見ていたい。
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